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私と決別する日に【序章】

女は男の腕の中で素肌の温もりを感じながら無表情で彼の甘い言葉を復唱していた。
この時間が続けとも終われとも願わない。
それは女の人生に対する見解と同じだった。

「つけなくていいよね。大丈夫。男の子でも女の子でも可愛いはずだよ。」

男が快楽を得たいが為だけに放った言葉ではなく、きちんと妊娠を望んでの発言だと女は理解した上でピルの飲み忘れがないことを頭の中で再確認した。

「中に出していいよ。」

男は責任感のある男だった。
女もそれを十分認識している。
そして女はそんな男のことを愛している。

行為を終えると男は女を優しく抱き寄せ、額にキスをした。
男は肉体的にも精神的にも満たされている。
女も同じだった。

〝一生私たちの心が通じ合うことはない〟

女は、ほんの僅かに男から離れた。

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