lishogi最新情報(12月8日夜時点)

少し時間が開いてしまったけれど、久々にlishogi関係の記事を投下していこう。なお数日前に同じような記事を書いたのだが、同期とかの関係で消えてしまった。でも、その後に気づいたこともあるのでその点を追加して書いて行こうと思う。

lishogi人口

グローバルに少しずつ増えているだろうが、対局数は全体としてまだまだ少ない。対局募集がかかる時もありアクティブなユーザーの確保にもやや苦労しているが、それは逆に言えば期待しているユーザーがいることの証左でもある。そんな中でlishogiに入り浸り、かつ貢献している(と思われる)日本人の一人が僕ではないかと思っている。日本人グループの中で普及に貢献している中では、同じくkarakoroさんもよく見かけるし、lishogiの発展に協力をしていただいている。余談だが、将棋の実力は先方が上なので、僕が挑むと結構泣かされる展開を迎えることが多いのが僕のkarakoroさんへの印象の一つであるw

そういうエピソードもあるが、正直言って身内でこもっていても何も広がらない寂しさはある。少しずつ、地味でいいから広がっていってほしい。

開発陣もブログ投稿で言っているように、lishogiはまだまだ初期であり、ベータ版的な趣が残っている。それでも最低限盛り上がる程度に人口は欲しい所。配信活動されている方のバズりにも期待したい所。もーっと変則な将棋もできるからまた面白い。そう、こんな感じでね。


lishogiデバッグ情報

大事な所。

打ち歩詰めで勝ってしまうことのあるバグが解消されたよ。

・持将棋の処理で、トライルールが実装。宣言法は実装に向け準備中。

・盤面編集機能で持ち駒を設定できるようになった。この機能の搭載は切望されていた。しかも研究機能でも直接盤面編集できるようになった。SFEN形式も継続してサポートされているので、さらに強力な機能が追加されたと見るべきである。


lishogiに期待するところ・しているところ

これは上記karakoroさんの記事にも詳しく書かれているが、僕も私見を述べてみようと思う。lishogiに期待することはたくさんある一方で、実は今現在の機能でも十分に代替となる方法が存在することに気がついた。書きたいことはこれだけではなかったはずなのだが、もう思い出せないので、覚えている範囲で書いていく。

1. 次の一手問題自動作成機能

本家lichessにはこの機能が実装されているが、個人的には賛否両方を内包していると思っている。というのも lichess版では駒得が確実にできる、あるいはチェックメイト筋を中心に出題がなされる。ただそれら問題は上位プレーヤーの棋譜から自動生成されており、解答者のレートに合わせて出題がなされる。すると問題になるのがその質である。

機械が自動生成する以上、そして答えが実戦譜に従って進む関係もあり、想定していない解や、妙に腑に落ちない手が示されることもあったりする。その代わりに短時間で多くの出題や回答が可能になっている。この記事を読んでいるlichessユーザーも、隙間時間に50問くらい解くなど結構あったりするであろう。ただどこかに不満が、少なくとも僕には出てきたのもあり、自分の棋譜から問題を作成するようになった。そうした時に思ったのが、チェス、将棋、バックギャモンとか盤を問わず、次の一手的な問題を人の手で揃えているサイトって、日本語だと特に少ないように思える(もちろん僕が単に知らないだけなのも大いにあるだろう)。

てことで、このnoteを使って次の一手シリーズを作り始めていった。この場合、人の手で問題から解説まで作成する以上、一問あたりの作業量は非常に多くなる。しかしながら、その中で自分の考えた一手について、改めて見直すことにもなるし、AI解析をかければ他にどのような良い手があったかを教えてくれたりする。そうして反省を加え、問題に取り組み、実践に役立たせるという正のフィードバックができれば、実力の向上には役立つのではないかという信念を抱いている。ただそれは一定程度の実力を持った人が取り組むような事案かもしれない。

そもそも級位者が実力を一定程度まで引き上げることに注目すれば、機械生成の問題でも数多く解くことは、実力をつける一つの目安や自信につながると思われる。そうなると技術的な問題として、提供できるだけの十分な棋譜収集とプログラムの作成が急がれるところであろう。

2. 擬似的な感想戦機能

実はGitHubのIssueにもあるのだが、81道場ライクの厳密な感想戦機能はlishogiにはない。しかし、対局後の棋譜解析から研究を立て、そこで少し設定を加えるだけで、81道場の感想戦とほぼ同等のことができる(視聴可能範囲や同期、コメント権限など)。そして個人的に配信者向けだと思っているのが、lichessベースのlishogiは矢印や円マークが大きくて見えやすいだけでなく、その色までバリエーションに富んでいることである。キーボードとマウスボタンの組み合わせで、4種類の色が設定できて、かつ簡単に盤に入力できるのは、配信者にはうってつけの機能である(元から備わっているのはlichessもその精神があるからなのだろう)。

使わない手はもったいない。方法も披露したので、もしやるなら積極的にこの機能を活用していこう。

3. 将棋総合サイトとしてのlishogi

lishogiは、恒久的な無料、広告なしを絶対的な売りとしている。そこには海外の、特にプログラム界での思想が大きく反映されていると思っている:有益な財産は共有すべきものであると。lishogiについては良くも悪くも日本将棋連盟の後援を受けていない(出来たばかりで当然の節でもある)ので、利害関係にさえ気をつければ、かなり自由な活動ができるはずである。

そのような活動の一つが、lishogiサイト内でのオンライン対局の棋譜データベースである。本家lichessでは2020年になると通常ランク戦で100万局単位、テキストデータで毎月数十GB分のデータが蓄積されている。将棋の棋譜保存にかかる容量と単純比較はできないし、認知度も含めると十分広がってもそこまで伸びることは厳しいかもしれない。しかし仮に1万局が毎月行われ、その完全な棋譜データが無料で公開されるとなれば、これを利用しない手はないであろう。他のサイトではユーザー名から対局検索を行うことが多いと思われる中で、全対局を一元管理するlishogiは強みであるに違いない。現在は開発重視であることや、フォーマットが未整備のために、十分な機能提供ができないものの、その可能性には注目すべきものがある。そしてデータベースこそがいずれはlishogiの第一の強みとして生きてくることを期待している。

さて将棋総合サイトとしてのlishogiと書いたが、そこにはもう一つの大きな理由がある。例えば将棋に興味を持った人、特に少年少女がルールを覚えたいところから始めるとしよう。オンラインで基本ルールから説明してくれ、最後はオンライン対戦までできるサイトがあるだろうか?知っていたら教えて欲しいくらい、僕は寡聞にして知らない。lishogiはこの壁を超えられると信じている。すなわち、駒の動かし方からルールまで、全てを一括で順序だって教えてくれる、しかも実際に自由に駒を動かしながら。そしてルールを一通り学習したら、AIと対局して自信をつけ、そしてオンラインへと導く。

実力強化は一つ目で述べた次の一手を解き、感想戦や特定戦法の勉強は「研究機能」を使う。ここまで一貫して完結できるのはlishogiの絶対的な強みである、と確信している。他のサイトの猛者がlishogiへと流れてくるかはわからないが、逆にlishogiで強くなって猛者の巣窟へ突っ込んでもいいと思っている。そうすれば自然とlishogiへの注目度も上がり、良い関係ができるに違いない。

ここで付け加えておくことと言えば、今のlishogi界の実力はかなり高い人が揃っている。レートは1500スタートなのだが、初段前後の実力でも結構初期より落とすところがある。むしろレート1500を保っている時点でかなり強い節がある。この記事を見ている将棋に自信のある君、lishogiはいかがだろうか?そこにはもっと広い世界が待っている。

4. When in Roma, do as Roman do. の精神

訳が「ローマではローマ人の振る舞うように振る舞え」である、英語のことわざである。日本語では「郷に入っては郷に従え」が対応している。

さてなぜこんな話題を出したのか。ふと文化の違いを感じたからである。日本と海外では大きく文化が違うのはある意味で当然であり、それゆえにDiscordサーバー内でも戸惑いや熱い議論に発展することも多々ある。そんな時に日本人グループから、「日本の文化的考え方」を話したりするのだが、それでもすぐには納得できない場合も多い。でもそれは仕方のないことであり、やはり現地の文化は現地で感じ取らなければわからないところである。そういう意味でタイトルのことわざを考えていた。

そして同じ意味合いなのに、ここでも実は文化的な違いがあるのではないかと思ったのである。英語では「周りに合わせて振る舞え」であるが、日本語的には「従え」である。もし自分がどこか異国の地へ行ったとしたら、前者の方が楽ではないかと思うのである。つまり「周りと同じことをすれば良い」のである。日本語ではそもそも「従うべきルール」を知るところから始めなければならない。この段階でスタート地点が違う気がしている。どちらが自分により適応しやすいかは、それこそ成長時の文化的背景が大きく影響するであろう。

では本題に戻ろう。この話題を出した理由というのが、lishogi開発陣が将棋だけでなく、日本的な文化を非常に尊重しつつ意見を聞いているところである。もしそのような視点が欠けていたり不足していたとしたら、絶対どこかで問題を生じたか、いずれ生じさせたかのいずれかに違いない。特に日本特有で、日本人でもなかなか理解が難しい「ふんわりとした周囲の空気を読み取る文化」や「合法だけど明文化されていない、慣習や周りの感情に配慮して避けておくべきこと」がどれだけあることか。その難しさの中で、常に日本的文化を気にかける注意と、その敬いの精神を非常に大事にされていることに、一人の日本人として、率直に感謝している。ただでさえ開発運営も難しく、ユーザーの要望も多い中で、その一線だけは守り、自分達だけで判断に迷うことがあれば必ず日本人グループ(その場合、僕にメンションが飛んでくる場合が多いけれども)に意見を求めて来られる。この姿勢については、それこそ我々現代の日本人も見習うべき点が多いのではないかと思う。


今まで述べてきた中で、特に最後の項目は表立って目に見えることはまずないと思う。しかしいくら機能が充実したところで、それらを支持してくれるための信用がなければ話が始まらないし、進まない。lishogi開発/ユーザーの精神で一番大事なところが、この一点に集約されていると思う。

人が増えれば、思わぬところでトラブルなども増えていくであろう。その際は毅然とした態度も取らざるを得ない。それでも守るべき一線を守った上で、相手やその文化的背景まで尊重して今後も発展していくのであれば、その姿勢を応援しない手はないというものである。lishogiの今後に、是非とも注目してもらいつつ、自分もできる範囲のことをしていければと思う。

lishogiで他に頑張っているところ

日本語訳!はい、僕が頑張って日本語へ翻訳しています!というのは言い過ぎで、他の日本人メンバーと作業を行いました。そして運営側から公式投稿記事翻訳の依頼などされています。訳に違和感を感じた際は、僕に十分な責任があると思っています。その時は読んでいるあなたも訳してちょうだいとだけ言っておこう。


あと貪欲とも言えるくらいの変則将棋に対する愛着である。Discordで非常に活発な議論が行われている中で出てきたのだが、かなり多くのバリエーションを取り込みたいと思っているようである。

安南将棋は初耳な様子であったが、どうぶつしょうぎや中将棋、四人将棋など、もうやれるものはすべて搭載してやるかの精神が垣間見える。その中でも81道場との差別化も図る上で、中将棋への期待感がかなり高い。とは言え、まさか「摩訶大大将棋」という単語まで飛び交うとは、、、現代本将棋に慣れきった身としては少し不思議な感覚も抱いた。(流石に盤面サイズの都合とかもあって、実装は厳しそうであるけれど。)日本人すら忘れかかっている、あるいは注目されていない変則将棋に、海外から光が当てられるのは文化継承の意味でもすごく重要であろう。それぞれがそれぞれ独立に存続していけば、新たな楽しみが増えてより活発となるに違いない。


長文となったが、たまにはこれくらい文章を書いても良いだろう。また何かあれば記事にしたいと思う。そろそろ次の一手シリーズも書かなければいけないとも思っているし。

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