全国知事会への反論文

<以下の文章を全国知事会に送付します>

 7月12日に「文化部活動の地域移行に関する検討会議提言(案)」が公表されたことを受け、8月9日、全国知事会が同検討会議に対し意見書を出した。
 私たちは、教職員のことを2番手・3番手とする発想から未だに抜け出せていないことに強い失望と怒りを覚える。これ以上我慢できないという思いを込めて、下記の通り、意見書に対する反論を行う。

1 地域の実情に応じた地域移行の実施について
 地域移行の必要性は、第一義的には、教職員を違法に時間外労働させることによってしか成り立たない部活動のあり方から生じている。地域の実情に応じた実施が望ましいことは言うまでもないが、違法状態の解消よりも優先されるべきではない。

2 国における広報のあり方等について
 国においては、部活動の教育的意義ではなく、前項で述べた部活動の違法性について重点的に周知すべきである。部活動が教職員の労働によって成り立っている以上、その教育的意義は、法律(労働法)に違反しない範囲内において語られるべきである。

3 財政措置について
 「新たに生じる保護者等の費用負担の課題」とあるが、現状は、我々教職員が、労働に対する正当な報酬を得られないまま、健康をも犠牲にしながら部活動を支えているのである。新たな負担のことより、すでに我々の身に生じている負担を何とかしてほしい。保護者等の費用負担を減らすための財政措置を国に求めるのであれば、まずは我々に正当な報酬を支払うための財政措置を求めてほしい。

4 兼職兼業のあり方について
 顧問を断りたくても断れないという声(内なる声も含む)があふれている中で、兼職兼業が「円滑に」認められるようになれば、自主的・自発的という名の下で兼職兼業が事実上強制されることは目に見えている。いかなる圧力も受けず、教員が真に自分の意志で兼職兼業を選択できる仕組みの整備こそが必要である。

5 誰の意見を反映させるか
 「教職員の働き方改革」という言葉はまやかしである。地域移行も含めた部活動改革は、何よりもまず違法状態の解消のために行われなければならないという点をまず認識すべきである。部活動が教育活動である以上、保護者や生徒の意見が反映されるべきことは言うまでもないが、法律(労働法)に違反しない範囲内に限定されるべき点を忘れてはならない。

以上

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