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Sentinel-2から影の影響を減らす法(1)-SNAPによる地形効果補正、大気補正-

Introduction

こんにちは。
いきなり本題ですが、以下の4つの画像をご覧ください。

Sentine-2画像比較 甲府盆地西方 富士川町付近 2019/5/8取得 Trueカラー表示
Sentine-2画像比較 甲府盆地西方 富士川町付近 2019/5/8取得 Falseカラー表示
Sentine-2画像比較 本栖湖付近 2019/5/8取得 Trueカラー表示
Sentine-2画像比較 本栖湖付近 2019/5/8取得 Falseカラー表示

左下の1枚の小さい画像はサムネイルですが、右の3枚の画像はそれぞれプロダクトが違います。これらは、次のようになっています。

  • Level-1C Product: DEMによるオルソ補正済みのTop Of Atmosphere (TOA) 反射データ、ダウンロード可能。

  • Level-2A Product: Level-1Cに対して大気地形効果補正をかけたBottom Of Atmosphere (BOA)データで、これもダウンロード可能。

  • Level-2A相当のオリジナルProduct: Level-1Cに対して国土地理院の10mDEMを使用し、SNAP上で動くSen2Corという大気地形効果補正モジュールで変換をかけたBottom Of Atmosphere (BOA)データ。これは自分で計算。

2019/5/8の取得画像なので、太陽高度は高く、影の影響の比較的少ない、時期ではありますが、それでもLevel-1Cでは地形の影の影響が西側斜面でみられるのに対して、Level-2AやLevel-2A相当のオリジナルプロダクトでは減少しているのがわかります。
Level-2AやLevel-2A相当のオリジナルプロダクトの違いはよく視ないと分かりづらいですが、Level-2A相当のオリジナルプロダクトでは地形によってできる影の"シワ"が小さくなっていて、よりなめらかになっていることがわかります。

画像で一部写っていますが、これらはESA(欧州宇宙機関)などが作成、提供しているSNAPというツールの中のSen2Corプラグインで解析作成したものです。

初めから日本語ベースで説明しているサイトはあまりないようです。
そこで皆さんの参考になればと思い、ちょっと細かめに説明することにしました。
全部を説明していると、大変長くなるので、これから何回かに分けて、環境構築から、実際の解析設定などについてご案内します。

必要な材料

まずは必要な材料です。材料入手と調理?の方法は次回以降で説明します。

  1. SNAPツール https://step.esa.int/main/download/snap-download/ からダウンロードします。Sentineには1から5までのいろんなシリーズが有り、個別にもインストールできるのですが、一番下のAll Toolboxesを選ぶと楽かと思います。OSは適当なものを選んでください。Windows, Mac, Linux用があります。私はWindows版をWindows11環境で使用しております。以下そのOSでの説明になりますので、ご注意ください。

  2. Sen2Cor https://step.esa.int/main/snap-supported-plugins/sen2cor/ このページにリンクされているのはスタンドアローンのコマンドラインで動くツールです。なおそのホームページにはこうあります。"Sen2Cor creates Bottom-Of-Atmosphere, optionally terrain- and cirrus corrected reflectance images; additional, Aerosol Optical Thickness-, Water Vapor-, Scene Classification Maps and Quality Indicators for cloud and snow probabilities. " 私はそれも使ったことがあるのですが、やや扱いづらいので、今回のシリーズでは割愛します。代わりにSNAPをインストールすれば、そのソフトの中でプラグインとして使用することが出来ますので、そちらで説明します。なお、ドキュメントなどは上記リンクにあるのでそれを参考にしてください。(追記:プラグインとして設定する際に自動でプログラムをダウンロードするのですが、アプリの中でダウンロードするよりも、直接ダウンロードしたほうが早い場合がありました。その方法も次回以降紹介します。)

  3. DEM Sen2CorではデフォルトでSRTM-3を使用します。90mのDEMです。Level-2Aのプロダクトでも同様です。最新のSen2Cor 2.10ではその他に、PlanetDEM(有償)やCopernicus DEM(90m)も使用できるようになっているようです。ただ、日本の場合はもっと分解能の高いDEMが地理院から提供されています。Sentine-2の分解能は最高で10mですが、正にそれとぴったりな標高のデータが、基盤地図情報数値標高モデルとして提供されています。それを入手して使われるのが良いと思います。私の関わっている、コンサーベーションGISコンソーシアムジャパン(CGISJ)でも、以前より標高データを提供しています。最近は緯度経度座標としているデータも提供し始めたので、それも使えると思います。この地理院のDEMを使うには、一手間必要なのですがそれは次回以降で説明します。

  4. (大事なものを忘れてたので追記)Sentinel-2のデータ。これがないと始まらないのでした。Geotiffではなく、オリジナルのデータを使用してください。Copernicus Open Access Hubにてアカウントを取ってOpne Hubからデータを検索、ダウンロードしてください。検索には少し癖があるので、別途説明はしようと思いますが、結構な量になるので、ここでは省略します。データダウンロードにもかなりの時間がかかります。ご注意ください。圧縮した状態になっていますが、それでもLevel-1Cで800MB、Level-2Aで1.1GB位あります。PCの空き容量にも注意してください。補正に使うのはLevel-1Cのデータですのでそちらをダウンロードしてください。

まとめ

今回はSentinel-2の地形効果補正、大気補正を行うツールの概要のみ説明しました。画像の見た目を良くして判読に使えるようにするだけでなく、分類の元データとして使ったりもするのですが、補正処理の向かないケースも出てきます。これは私の長年の経験でそう考えていることなので、必ずしも一般論ではないのですがそれについても今後説明します。

いつもは北海道に本拠地を置くNPOに所属し、環境保全を主な題材としてGISやリモセンに関する仕事をしています。
コンサベーションGISコンソーシアムジャパン の活動もその1つです。

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