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流域界と開度のGISデータを使ってみませんか?

こんにちは。
今日はコンサベーションGISコンソーシアムジャパンホームページで提供しているデータの中から、流域界と地上開度のデータを取り上げます。
この流域界は、ホームページを作るときに、何よりもまず公開しなければと思ったデータです。
一般にはあまり馴染みがないデータですが、環境、水文、防災分野などでは解析を行う範囲のベースとして非常によく扱われるデータとなっています。

流域界とは

国土交通省国土技術政策総合研究所(通称 国総研)の河川用語集によれば、以下の説明があります。
「降った雨や溶けた雪は地表を流れて川に流れこみます。雨や雪が流れ込む範囲をその川の流域といいます。(以下略)」。
そして、例として、利根川流域、石狩川流域などが示されています。

とはいえ、明確な線引の定義があるわけでなく、県境、市町村境界などのように地図に線が書いているものでもないので、わかりにくいですね。

流域界と他のデータを重ねてみてみる

コンサベーションGISコンソーシアムジャパンホームページでは、この流域界データを提供しています。
仕様はそちらを見ていただきたいのですが、国土交通省不動産・建設経済局の国土数値情報 流域界・非集水域データ を元に、河川名や流域界名の属性を独自に追加したものとなっています。
この流域界データをそのまま使うことも出来ますが、地形と併用することで、その線引の意味がより理解しやすくなるので、おすすめです。
そのデータの1つとしてここでは地上開度データを紹介します。元としているのは、基盤地図情報数値標高モデルデータで、それを解析計算して作成しています。

地上開度については横山・白沢・菊池(1999)「開度による地形特徴の表示」を参考にしてください。

地上開度図は、尾根線が明瞭に表現された図となります。
図1は山梨県の大菩薩嶺を中心に、河川(青線)と地上開度(白黒の図)を表示した地図です。細かい葉脈のように見える中で特に白く見えるのが尾根線です。

図1 河川と地上開度
標高、地上開度データは、国土地理院長の承認を得て、同院発行の基盤地図情報数値標高モデルデータを使用しました(承認番号 平24情使、第109号)。河川、流域界データは、国土数値情報(国土交通省)の河川(線)、流域界・非集水域(面)データを使用しました。いずれも元データに対してコンサベーションGISコンソーシアムジャパンが加工編集作業を実施しています。以下同様。

ここで改めて流域界を赤線で重ねると、その線が引かれている場所の意味がかなり明瞭になります(図2)。ここで注意は流域界の元図は昭和52年に作成されたものであるということです。当時はGISも普及しておらず、基本的に紙の図で判読で作成されていたものなので、多少位置が違っていたりするのはやむを得ません(とは言ってもここまで出来ているのは凄いと思います)。

図2 河川、地上開度と流域界(赤線)

上の絵の背景に標高を混ぜてみました(図3)。赤の境界は分水界、分水嶺とも言いますが、その川がどの場所から生まれてきているのかよくわかりますね。下流域を生態系のユニットとして考えるといろんなことが見えてきます。そのためのデータとしても活用いただけると幸いですし、成因として地上開度のデータも活用いただけると幸いです。

図3 河川、地上開度、標高と流域界(赤線)

この開度データに限らず、地形表現には様々なものがあります。NHKのブラタモリなどでは地形を表現するのに模型やCGなどが駆使されていますのでそれを見比べてみるのも面白いのではないでしょうか?

おわりに

このnoteではコンサベーションGISコンソーシアムジャパンの中の人をやっている私が、本来業務である環境分野での長年のGIS業務経験をもとにデータやサービスの使い方などを中心に情報の提供を行っています。
GIS業務、リモートセンシング業務のほか、関連データ作成、データ処理、研修活動なども行っていますので、もしお困りのこと、ご質問などがあれば、遠慮なくご連絡ください。

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