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にゃむ❤️の『看護まがじ〜ん』

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30年以上、自分のスタイルでやりたい看護を自由にのびのびとさせて頂いています。緩和ケアや認知症に関する記事が主になるかなぁと思います。
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#note

看取り / あなたの言葉をちゃんとご家族に伝えますね

「小さい頃はね・・・可愛すぎてねー、いつも家まで女の子がついてきてたのよ。本当に可愛かったの」と 80歳のご婦人は涙ぐんだ目で仰った。 マスクをしていても目鼻立ちの整ったご婦人だと分かった。 あー、彼はお母さんに似ていたんやなぁと思った。    * その可愛いすぎた小さなマコトさんは、40歳半ばになっていた。 マコトさんと出会ったのは、その1ヶ月くらい前。まだその頃は、ベッドのところに1時間座って話すことができていたけど、食事量は、かなり減っていた。 沢山の辛い治療

本当のことなんて誰もわからない

何の不自由もない暮らしをして おしゃれな家に住む 素敵な家族が まさか 深い悲しみに暮れてることなんて あの窓の光を見ただけじゃ 誰も気付かない… まさか大好きなママが 誰からも愛されてたママが 天使になってしまったなんて… 外から見ただけじゃわからない 本当のことなんて誰もわからない …… ✳︎ …… ✳︎ …… ✳︎ …… 美しい天使になっていったお客様の家 少しまわり道をして通りかかってみた 他の家と同じように幾つかの部屋

コ・ウ・カ・イ(後悔) / あの時が最初で最期になるなんて・・・

“1時間半”・・・。 彼と一緒に居たこの1時間半が、最初で最期になるとは思わずあの時間を過ごしていた。 彼は、50歳代の独身男性の剛(つよし)さん。 薄暗い部屋の中でも彼の中肉中背の体が黄色く(黄疸)見えた。 そして異様なほどの大きなお腹(腹水)をみれば、“がん”が、彼の意思に反して体を占領していることが一目でわかった。 受診した時には、既にエンドステージの状態だった。 ついこの間までバリバリとサラリーマンをしていた彼が、この短い期間の中でこれだけの体の変化を簡単に受け入

だれかの「新大陸」を見つける

<はじめに>コロンブスは、1492年10月12日に『新大陸』を発見したのかも知れないけど、負けずに私は、2021年6月1日(昨日ね)に町子さんの『新大陸』を発見した。 2つの共通点は、コロンブスの新大陸も町子さんの新大陸も元々そこに在ったものだったということ。つまり、誰かがそれを発見して認識してくれなきゃ、無いってことになってしまうということ。 <町子さんのこと>町子さんは、70歳代の女性。息子様一家と暮らしている。脳梗塞後の言語障害(構音障害)や誤嚥性肺炎がある。現在、

『部屋とYシャツじゃなくてサルマタと彼』

その彼は、トトロの庭の主人。 彼は、トトロの庭を潜り抜けたところに住んでいると聞いていた。 噂通り、庭は、トトロな感じだった。そこそこ都会の住宅街にこんな空間があるなんて。 季節ごとの果実をつけてた樹々が生い茂っているトトロの庭をくぐり抜けたらメイちゃんたちが住んでいる家があるはず。 ・・・出てくると思わせといてぇ・・・ バーン、出てきたのはモノに溢れたお屋敷だった。勝手に気分を盛り上げといて騙された感あり。 そこには80半ばの彼・・・「とと助」さんとしよう(仮名が雑