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にゃむ❤️の『看護まがじ〜ん』

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30年以上、自分のスタイルでやりたい看護を自由にのびのびとさせて頂いています。緩和ケアや認知症に関する記事が主になるかなぁと思います。
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#訪問看護

看取り / あなたの言葉をちゃんとご家族に伝えますね

「小さい頃はね・・・可愛すぎてねー、いつも家まで女の子がついてきてたのよ。本当に可愛かったの」と 80歳のご婦人は涙ぐんだ目で仰った。 マスクをしていても目鼻立ちの整ったご婦人だと分かった。 あー、彼はお母さんに似ていたんやなぁと思った。    * その可愛いすぎた小さなマコトさんは、40歳半ばになっていた。 マコトさんと出会ったのは、その1ヶ月くらい前。まだその頃は、ベッドのところに1時間座って話すことができていたけど、食事量は、かなり減っていた。 沢山の辛い治療

イメージセラピーのシェア/がんと闘わないver.

<はじめに>これからの時代は、『治る病』と言われている“がん”。 今回は、“がん”のかたにイメージを用いて関わらせて頂いた時のことについてまとめてみた。どなたかのお役に立てるかもしれないと思い、少し前から大切にあたためていた記事でもある。 今は、生涯で日本人の2人に1人は、“がん”になると言われている。だから私だけではなく多くの人にとって身近な疾患だとも言えると思う。とはいえ、世間では、まだまだ重い感じはあるような気がする。 病院の中では、3大治療法【外科療法(手術)・放

¥100

コロナ禍での看取りのヒント〜逢えない愛する家族への工夫をシェア〜

【はじめに】2020年1月から日本でもコロナ感染の報道が始まり、はや1年4ヶ月が経った。感染リスク回避の為、病院の中での「面会」や「看取り」の事情も大きく変化している。訪問看護の中でもコロナ禍においてもたくさんの看取りがあった。 看取りの場は、大きくは、「病院」か「施設」か「在宅」に分かれる。介護者のマンパワー不足であれば、ご本人が家で過ごしたいと思ったとしても叶わないこともある。それぞれの家族の事情や環境によって選択が変わってくる。 それに加えて今はコロナ禍。病院や施設で

届け!海の向こうの家族に 〜コロナ禍での看取り 第2弾〜

<はじめに>コロナ禍の看取りの第2弾となる。第1弾の記事はこちら。 前回の記事にも書いたように感染予防という観点で、家族の人生の最期なのに逢えないというケースもよく伺う。当たり前のように諦めなくてはいけないことになりつつある。最期の瞬間を見届けることも辛いことではあるけれど、逢えないことは、もっと辛い。今回は、海外在住のご家族がいるかたのお話をしようと思う。 国内でも中々、家族に逢えない状況の中、海外に住むご家族にとっては、大きな苦しみではないだろうか。 <アキラさんのこ

仙人が最期に選んだのは<ヘアゴム>

出逢いあの瞬間、ヘアゴムを指さしたあの仙人を 私は、心からかっこいいと思ったし、 足元にも及ばないと思った。 と同時にこれまでの人生の寂しさも感じた。 その仙人には、その日初めて会った。 俗っぽい世間から離れて 独特の世界を持たれている空気があった。 白い髪が伸びた齢を重ねた男性だった。性別も男性とも女性とも違う中間の感じがした。 まるで「仙人」のようだったので敬意をもって このようにここでだけ呼ばせて頂くことにした。 初めて会ったのにウエルカムな感じだった。 昔から

だれかの「新大陸」を見つける

<はじめに>コロンブスは、1492年10月12日に『新大陸』を発見したのかも知れないけど、負けずに私は、2021年6月1日(昨日ね)に町子さんの『新大陸』を発見した。 2つの共通点は、コロンブスの新大陸も町子さんの新大陸も元々そこに在ったものだったということ。つまり、誰かがそれを発見して認識してくれなきゃ、無いってことになってしまうということ。 <町子さんのこと>町子さんは、70歳代の女性。息子様一家と暮らしている。脳梗塞後の言語障害(構音障害)や誤嚥性肺炎がある。現在、

認知症/「忘れん坊だけどなにか?」って世界になればいいな

昨日、久しぶりに朗子さんの訪問に行った。 今日は、朗子さんとお散歩に行った時のことをちょっと書いてみようと思う。 朗子さんの病名は、アルツハイマー型認知症。 私たちは、受け持ち制ではないので、訪問がしばらく開いてしまうことがある。1年ぶりに会った朗子さんは、1年前とそれほど大きな変化はなかった。 4年前に訪問が始まった頃から私たちの顔も名前も覚えられない状態だった。 5分前のことを覚えていられない短期記憶障がいがあった。 “短期記憶障がい” 短期記憶障がいとは、認知症の

『部屋とYシャツじゃなくてサルマタと彼』

その彼は、トトロの庭の主人。 彼は、トトロの庭を潜り抜けたところに住んでいると聞いていた。 噂通り、庭は、トトロな感じだった。そこそこ都会の住宅街にこんな空間があるなんて。 季節ごとの果実をつけてた樹々が生い茂っているトトロの庭をくぐり抜けたらメイちゃんたちが住んでいる家があるはず。 ・・・出てくると思わせといてぇ・・・ バーン、出てきたのはモノに溢れたお屋敷だった。勝手に気分を盛り上げといて騙された感あり。 そこには80半ばの彼・・・「とと助」さんとしよう(仮名が雑

モノに溢れるモノ屋敷

訪問看護におけるモノ屋敷の世界以前のnoteでも 片付けられないシンドロームについては投稿した。 上記の記事は、2年前の記事だったが、その後、モノ屋敷の住人のかたがお客様になることが続いた。 今までの方々もすごいと思っていたが、それを超える最強メンツが揃っていた。 ご自分達の世界の中に他人に出入りされるのは本当に嫌だったと思う。 それでも私たちに足を踏み入れさせて頂いたことはご本人達にとっては<革命>に近いモノだったと思っている。 出会いは必然なんて、よく耳にする言葉だけ

私が93歳になったらどうなるか問題 〜認知症のミチさんの訪問より〜

はじめに私たち看護師は、実に色々な方と沢山出会わせて頂いている。 30年以上も看護師をしているともはや何千人、何万人の人にお会いしているのかもわからず。星の数ほど・・・という表現をしておこうと思う。 こうやって出逢わせて頂いた人のことや仕事で経験した事を最近は特に書き留めていきたいと思う気持ちが強くなっている。 その時、私はどんな事を感じたのか、その折角の出逢いを私だけに留めておくのが勿体無いような気がずっとしていた。 以前、違うblogでは書いていたことがあったが、このn

老々介護で垣間見た「いつもの朝」に感動〜緊急訪問にて〜

〜 訪問看護の緊急訪問でみた光景 〜 朝5時半の緊急電話 布団の中から夢か現実かよくわからないまま、 電話の着信音に反応し、舌がこんがらがりながらも会社名と自分の名前を名乗る私。 電話の向こうでは、 「忙しい時間にごめんなさいねー」と女性の声。 いやいや、忙しくはない(笑) ご主人がベッドからずり落ちて 尻もちをついてしまい、何度か頑張ってみたけど 無理だったから来て欲しいとのお電話。 認知症のAさんの介護をされている奥様からのお電話だった。 ご夫妻二人暮らし。

シュールなしゃべくりが聴ける/訪問看護ならでは

【蜘蛛とのしゃべくり編】こんな光景をみた時に私は肩を震わせほくそ笑んでしまう。 おじぃちゃんの老々介護をしているおばぁちゃん。 部屋に入ってきた虫を何日か前から順番に捕まえて容器に入れて閉じ込めてた。 (どんな趣味や) おばぁちゃんの解説によると1番目と2番目に小さな虫を捕まえて招き入れたらしい。最後にゴミかと思って捕まえのが蜘蛛だったらしい。 と言うことで住人は、3匹だと丁寧に説明してくれる。 痛い腰をかばいながら、ベッドに座りその虫たちを観察して話しかけていた。 「

真夜中の緊急コール はこんな感じ/医療・看護

<夜間緊急コールを固定電話にかけていた時代>まだ携帯電話が普及していない時代の病棟夜勤をふと思い出した。 当時勤務していたのは外科系の病棟が多かったので術後の急変など度々だった。 スマホが普及している今では、考えられないけど当時は夜勤で何かあれば、ドクターのご自宅の固定電話に電話をしていた時代だ。 多くのドクターの場合、奥様が電話口に出てくれていた。 このドクターの奥様に夜間電話するのは、いつも機嫌が悪いから電話するのは気が重いなぁと思う時もあった。 一方、恐妻家のドクタ

訪問看護 : 担当制とチーム制どちらがいい?

担当制とチーム制について病院の看護方式は、チームナーシング、プライマリーナーシングのところが主流なのかなと思う。 訪問看護ステーションの中では、担当制のところとチーム制のところとに分かれている。 折角、両方を体験させてもらったので備忘録的に書いておくことにした。もし、これから訪問看護で働いてみようかなというかたに少しでもお役に立てるなら嬉しい。 これを振り返るにあたり、3つの視点で考えてみた。 1.お客様(患者様)からの視点 2.働く側からの視点 3.経営側からの視点