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ようこそ「ペンキ塗りたての世界」へ

新型コロナウイルスの感染予防対策について、新しい生活様式という言葉が発信されるようになりました。

テレビ等で「ペンキ塗りたての世界」という言葉を用いて注意喚起がされています。

それらを見て思うのです。

いよいよ「ワタシの時代がやってきた!」のではないかと。


私が子どもの頃にいた世界

「ペンキ塗りたての世界」だと思ってください。

これは、椅子に座ったり手摺に触ったり、そういう行為をしたら触った部分にペンキがついたと思うようにという注意喚起です。

対面で食事をしないように。食事中は会話を控えめに。

食事中に飛沫が飛ぶことを懸念して、90度の角度をとって食事をすることが推奨されています。

これらは、私が今までずっと感じてきたこと&やってほしいと願ってきたことでした。


ペンキ塗りたての世界で生きてきた私

いわゆるOCD(= Obsessive Compulsive Disorder: 強迫性障害)ではありません。ですが、この感覚が異常であるとして、私は子どもの頃、周りから変人扱いをされました。

他人が座った椅子に座ることに抵抗がある。

公園の遊具に触ることを避けようとする。

給食の時間に会話をしたがらない。

鍋料理が食べられない。

病的ではないが普通の範疇に入らない気質。そういう状態を病気と決めつけられるのは不本意です。

だから私は、子ども心を傷つけてでも「人並み」に振る舞えるよう努力しました。


自分と他者との違いを認め「行動」を変えた過去

私は、全人生を通して「ペンキ塗りたての世界」で生きてきたのです。

もし何かに体が接触したら、その形は体に刻まれます。触れた部分に「多様な形の染み」が浮き上がる。そういう感覚になるのです。

体が感じた「圧」を、心が「図形」で記憶に残します。幼い頃は、そういう感覚を普通だと思っていました。

けれども、形の記憶が残ることは「普通の反応(=リアクション)ではない」と理解ができました。

他者と自分との違いを知り、違いを認めたことをキッカケに、私は普通に振る舞えるようになりました。ですが、形が体に残る体質であることには変わりありません。


ストレスと共存する道はある!

「ペンキ塗りたての世界」で生きること自体はストレスです。

今後しばらくは、「ストレスの許容範囲に応じて外に出かける」という生き方が、全人類に求められることになるのでしょう。

私の経験上からいえることですが、ストレスが許容範囲の間は、外に出かけることもできますが、許容範囲を超えてしまったら引きこもる生活をするしかありません。

ですが、そういうストレスとも共存していく道があります。

ストレスの許容範囲は時々刻々と変化するので、それに従って活動範囲を決めていくという方法です。


許容範囲で行動範囲を決める自律的な生き方

まず「許容範囲の変化」を意識するように心がけます。そして「どこまでなら耐えられるか」の「指標」を自分なりにつくるのです。

指標はあくまでも感覚的なものですが、それを自覚するためにメモ的記録をつけたりして自覚できる工夫をしました。

例えば、この日は接触後に体に残る「形」が消えにくかったという日があれば、その日の前後に何があったかをメモ的記録で確認するという方法です。

それを積み重ね、許容範囲を自覚しながら行動範囲をコントロールしつつ、外界に出かける術を身につけることができました。


新しい生活様式を自律的に取り込むとしたら

これを私と逆の感覚の人たちが、応用するとしたら次の方法があるでしょう。

まずは、自覚できるように自分を観察し、メモ的記録をつけること。この2つを行います。

そして、もし「ペンキ塗りたての世界」をあまり意識できなかった日があれば、その前後の自分の様子を確認します。

同じく「ペンキ塗りたての世界」を意識しながら生活しても苦にならなかった日があれば、その日の前後の自分を確認するのです。

それを積み重ねて、「ペンキ塗りたての世界」を意識しやすい日、意識しても苦にならない行動のパターンを見つけます。それを指標として行動範囲を決めるのです。


それでもなんとか生きていける

私の気質は、病気ではないけれど、普通ではない。

医療のサポートもなく「変人」として扱われ、ストレスの中で生きていた私ですが、それでも、旧来型の生活様式を身につけることができました。

ストレスの許容範囲を認知して、できる範囲で行動を起こすことを積み重ねてきたからです。

新しい生活様式に慣れることは、多くの人にとってストレスとなるでしょう。

けれども、私が旧式の生活様式に慣れることができたように、多くの方も新しい生活様式にも慣れることができるはずです。

いくらか心も傷つくでしょう。

面倒な思いもするでしょう。

それでも、なんとかやっていけるものです。

ようこそ「ペンキ塗りたての世界」へ。


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