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#ソシャゲの話をしよう。「『環境』というものについて思いを巡らす」

#ソシャゲの話をしよう
どうも、死に急ぐ生命の果実です。

みなさん、ガチャは引いてますか?
え、「ガチャで引いたキャラクターが次に活躍するかわからないから引くに引けない」……?
まぁ、そういう方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて今回は「環境」という概念と、それが織りなす環境の移り変わりというお話。

ざっくり以下のような構成でお話をできればと考えております。


「環境」とは?

元はTCGなどの対戦ゲームが由来だったと記憶している。
うろ覚えなので正確に言語化できているかはわからないので、詳細は各自調べていただくといいだろう。
本稿ではざっくりした意味合いとして以下のような定義で進める。

「ゲームにおいて、ユーザーの攻略法が確立して浸透している状態」
転じて、「現在の競技シーンや対戦で多く使われるデッキや代表的なカードの総称を指して『環境』と呼ぶことが多い」

諸説あります

よって、凡例として以下のような使い方をする。
「現環境では○○が必須」
「××によって環境が壊れた」
「△△は現環境では人権」
(※『人権』という言葉は、チョイスにおける品性の低さがあって好きな表現ではないことを断っておく。要は攻略に必須な要素である)

TCGにおける「環境」と、そこからの派生

TCGは基本的に二人対戦であり、相手のデッキがどう構成されているかを予測し、それへの対抗手段を考える必要があった。
故に、攻略法の流行り廃りが存在する。
新規カードによって、あるいは環境への対抗策が次の環境になるという具合だ。

いつしか次第に「ユーザーがリソースを入手する・かつ追加コンテンツで拡張されていくゲーム」にも使われるようになっていく。
まぁ、雑に言ってしまえばソシャゲがこの条件に当てはまる。
リソース入手はガチャによるため、プレイヤーの足並みはそろわない。
追加コンテンツでバランスは変わり続ける。

ソシャゲに「環境」という言葉が流入したのはこういった経緯であると推測できる。
攻略情報やSNSを見ていると「現環境で○○は人権」「環境ぶっ壊れ」などといったワードを目にすることは珍しくない。

さて、それでは「環境」という概念を受け入れた上で、運営の望ましいムーブを考えてみよう。

運営にとって、「環境」は味方か

「環境」はユーザー需要と直結した要素だ。
つまり、環境を分析することでユーザーの欲しがっているものを見出すことができるし、環境をコントロールできればユーザー需要のコントロールは可能である。理論的には。

ここがうまくできているコンテンツは、圧倒的に強い。

だが。

セオリーとして「環境は意図的に変えてはいけない」
環境の変化はもちろん起こるべくして起こるが、これを運営が意図的に起こすことは望ましくない。
正しくは「環境は変わってしまう」ものなのだ。
このあたりについて、ユーザーの非弊という要素も入れつつ説明してみる。

モデルケースでざっくり曖昧に説明する

現環境として「環境A」があったとしよう。
ここでは「ユニットA」が有効な攻略要素として需要を集めている。
すると当然、ゲームに勝つためにユニットAに需要が集まる。
ユーザーはそのために課金をしてガチャを回す。
ユニットAを手に入れることができれば、環境Aで快適に遊ぶことができる。
……という具合だ。

ユーザーにユニットAが浸透しきり、誰もが持っている状況になると、ここに「飽き」が発生する。

みな同じ手持ちで同じ課題を当たり前のようにクリアできる。

これが飽きだ。

この時初めて、運営が干渉して「環境B」に移行させる必要が出てくる。
運営もユーザーもそれを望むのでwin-winといっていい。

果たして、新しく「クエストB」がリリースされる。
ユーザーは前述の飽きの状態から刺激を得るため、自然とクエストBに挑戦するだろう。
環境AのクエストAとは勝手が違うため、現在の手持ちでは攻略は難しいはずだ。
だが、その挑戦の感覚こそが、ユーザーには楽しいはずだ。

苦労してテクニックで突破口を見出すユーザーも入れば、手持ちリソースが足りずに難しくて諦め始めるユーザーも出てくる。

ここで初めて「環境B」で人権となる「ユニットB」をリリースする。
前述までの仕込みでユーザー需要が上がっているため、ユニットBは売れるだろう。

こうして、 ユニットBがじょじょに浸透し →攻略が確立し →飽きからの需要が発生 →満を持してのクエストCのリリース →需要が高まったところでユニットCをリリース →ユーザーも運営もwin-win ……

こういった流れが理想と考えられる。あくまで理想論だが。

ところが、である。

うまくいっていないコンテンツも当然のようにある。

なぜだろうか。

要因は色々あるが、考えられるパターンをいくつか挙げてみよう。
ざっくり以下が考えられる。

  • 環境を把握していない

  • リソースの追加頻度が適正でない

  • ユーザーが少ない

  • バランスが崩壊している

【環境を把握していない】

そもそも「環境」という概念が運営に存在しない場合だ。
現在の環境において、何がトレンドで需要があるのかを調査していない。
理想であれば、クリアユーザーがどのユニットを使用していて、ユーザーの何パーセントがそのユニットを所持しているかを観測せねばならない。

そんな状況であれば、理想的なタイミングで新規ユニットをリリースできない。
そうなると、人権ユニットがユーザーに浸透する前に新規ユニットをリリースして機会損失をしたり、ユーザーが飽きや諦めで離脱してしまったりと、様々な取りこぼし・機会損失が発生する。

【リソースの追加頻度が適正でない】

前述と少しかぶるが、リソース追加のペースがユーザーと合っていないと、そもそも環境という概念は機能しない。
例えば季節イベントであったりシナリオ都合であったり、イベントの切り替えを運営的に余儀なくされることは多々ある。

イベントの切り替えごとにイベントの趣向を変え、その都度人権ユニットを変えていれば、それはユーザーのペースと合わないことは明白である。
たった2週間でユーザーの何割がガチャを回し、そのうち何割が人権ユニットを手に入れられるのだろうか。
また、人権ユニットが期間限定だったら?など、考えられる問題は多い。

手があるとするならば、イベントを切り替えても、環境を切り替える必要はない……ということだろうか。
イベントの追加が即イコール環境の変化ではないし、その必要はない。
イベントが切り替わってリリースされるユニットが、前のイベントの少しの上位互換、または趣味的なユニットであれば、環境は移行しない。

ヘタに環境を移行させてしまうと、ついてこられないユーザーが増える。
これはイコール全体のユーザー数が減ることを意味する。

前述したが、環境を切り替えはユーザーに人権ユニットが浸透したタイミングでおこなわなければならない。
でなければ、ついてこられないユーザーは離脱を余儀なくされる。
これは両者にとってマイナスである。

【ユーザーが少ない】

こうしてユーザーが減っていくと、そもそも環境というものが機能しなくなってくる。
ユーザーが10万人いれば1000人は誤差だが、ユーザーが1万人であれば、1000人のズレは許容できない。
そこまでユーザーを観測して環境の移行を検討しなければならないが、スケジュールと合うかは神のみぞ知る、といったところだろう。
本来は人権ユニットのユーザーへの浸透の速度なども考慮して運営スケジュールを立てるべきなのだが、ユーザーが少ないと(売り上げの都合などもあり)ここの誤差を許容できず、どんどん理想のスケジュールからずれることになる。
このずれはいずれ許容できなくなるだろう。

【バランスが崩壊している】

人権ユニットという話があったが。
人権ユニットとして満を持してリリースしたが、過去のユニットの方が適性があり、人権ユニットが思ったより売れない……ということはある。
人権ユニットが売れなければ浸透せず、環境のコントロールは難しくなる。

リリース初期段階であれば全ユニットを網羅的に把握して、人権ユニットを設計することも可能だろう。
しかし、年数を経てユニット数は膨れ上がり、さらにスタッフ交代によってすべてを把握できなくなった時、バランスは崩壊し始める。
時間が経てばどうしてもそれは起るが、立て直すのは難儀だ。

終わりに

こうして、理想的に運用できれば強い味方となる「環境」という概念だが、管理をしきれずに暴走してしまうと、なかなか立て直すのは難しい。
新ユニットの浸透率や使用率、クリアパーティの想定が適切か、上位互換が過去に存在していないかなどを見つつ、うまく運営してほしいものである。

以上、環境というものについてのお話でした。
本日僕から言いたいことは以上です。

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