見出し画像

セテラ作品の思い出⑬ セテラの異色作ナンバーワン!究極の『ファウスト』、見たら人生変わります...!?

2011年9月初めのヴェネチア映画祭で金獅子賞に輝いたのはアレクサンドル・ソクーロフの『ファウスト』でした。ロシアの巨匠ソクーロフの映画は、過去に2、3本は見たことあるけど、全くセテラとは無縁の大監督だと思っていました。でも同月のトロント映画祭でこの映画のマーケット試写があるので、哲学好きの当時のセテラ・ガールズの一人から、見ておいてください、と言われました。え、、、ソクーロフがゲーテのファウスト…しかも金獅子賞・・・これはハードルが高そう・・・と思って試写しました。そして、試写が終わった時には、もうほかに見た映画がすべてすっ飛ぶほど、この映画に心を奪われてしまい、衝撃を受けました。

オープニングの俯瞰のシーンで村に降りてくるカメラが家の中に入っていくところから、ゾクゾクして目がスクリーンにくぎ付けになり、2時間20分ソクーロフの圧倒的な映像美と壮大なミステリーの世界に打ちのめされました。言葉を失うほどのすごい映像とは、こういうのを言うのでしょうか。この映画は2011年のヴェネチア映画祭の審査委員長だった『ブラック・スワン』の監督のダーレン・アロノフスキーが、”一度見たら人生を変えてしまう映画だ。“と、受賞の時にコメントしたそうです。 

私はオペラが大好きでワーグナー好きなのですが、この映画は全体がワーグナーのオペラを見るような感覚で見ていました。私に見ておいてほしいと言ったスタッフは、まさか私が買うと思わなかったようで慌てていましたが、何とシネ・スイッチ銀座にブッキングしてきて、今度は私が驚きました。そして結果的にかなり健闘した好成績を残せて良かったのでした。今回、久々にこの映画のパンフレットを見て、書いてあるすべての言葉やコピーが、びしっと決まっていてかっこよく、大した映画を配給したものだ・・・と感心しました。

ドイツとロシアの俳優も皆素晴らしく、特にファウスト博士の色気のある俳優はオーストリアで活躍している俳優で、私はこの俳優がとても気に入りました。そして、マルガレーテの女優はまるでフェルメールの絵のような美しさで、画面から匂い立つようでした。こんな贅沢な映画をセテラで配給できたということ自体が夢のようでした。

画像2

(日本版ポスター。マルガレーテとファウスト)

この映画の前売り券特典としては、ドイツの都市ライプツィヒにある、ゲーテが「ファウスト」を執筆した店、アウアーバッハス酒場のファウストボールペンをタイアップでもらうことにして、当時ベルリンにいた時に、この今も観光名所として名高いライプツィヒの店まで行き交渉もしてきました。 「ファウスト」を最初に日本に翻訳したのは森鴎外で、森鴎外もこの店に行ったそうです。このアウエルバッハ酒場はとにかくファウストとゲーテが売りの店なので、ファウストグッズが山のようにあり、記念に買ってきました。

スクリーンショット 2020-05-28 11.07.46

ファウスト

(上:アウアーバッハス酒場 下:ボールペンなどのファウストグッズ)

この頃にドイツ語の映画の翻訳を現在一手に引き受けておられる吉川美奈子さんと初めてお目にかかり、それ以後セテラがドイツ映画を配給するときにはいつも吉川さんにお世話になっています。この『ファウスト』の膨大なセリフの字幕も大仕事だったと思います。

私もかなりミーハーで美しい男子が出る映画が好きですが、吉川さんもドイツ映画のイケメン俳優に超お詳しく、よくドイツイケメン君俳優論議をメールでしだすと止まらなくなります。

山中陽子

***
🇷🇺🇩🇪『ファウスト』をはじめ15本のセテラ作品がアップリンク・クラウド、セテラ見放題パックより視聴可能です👀至高のヨーロッパ作品をご堪能ください🎞🖥📱


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?