見出し画像

【カタールW杯】「あってはならないことが起きた」~ドーハの夜の奇跡

今夜のドイツ戦をご覧になった方は非常に多いと思います。
ありえない出来事が起きてしまいました。
このような”交通事故”のような試合はなかなかないでしょう。

◆試合前の予想を覆された

僕はこの記事を書く直前に、森保JAPANに否定的な記事を2つ投稿していました。

今でもこの内容に間違いがあったとは思ってはいませんが、
予想を覆すような出来事が今夜起きました。

結局のところ、理屈をいくら重ねても、現実はそれを超えてくるのだなと、改めて思わされた夜でした。

◆予兆

前半に関しては本当に予想通りの展開だったと思います。
その後に待っている展開など予想できないくらいに。

とはいえ、予兆はすでに表れていたのかもしれません。
前半8分ごろの、前田選手のゴールがオフサイドになってしまったシーン、
その際にギュンドアン選手がボールを奪われた場面、「ギュンドアン選手もこんな風にボールを奪われるんだ」と驚きました。
今大会の準備期間が短かったことも影響して、コンディションが整っていなかったのかもしれません。
あるいは、ワールドカップにも魔物がいるのでしょうか。

ただ、その後は一方的なドイツペース。
日本はボールを奪うことがなかなかできず、奪ったとしても前につないでいけない、あの久保選手もドリブルすらさせてもらえない状態というのは、圧倒的なドイツの力を見せつけるには十分だったと思います。
ドイツ代表は細かいミスはあるものの、チームとしては冷静で、日本のやり方を即座に分析し、すぐさまやり方を変えられる、さすがに強豪国とはいえ僕が想像していたものよりもはるかにすごいものを見せつけられました。
前半は特にリュディガー選手の守備が目立っていました。

◆なぜ前半は一方的な展開だったのか

そして、前半33分にPKによる失点。
PKを取られたあの状況を作られた時点で結果は見えていたと思いますので、権田選手は責められないです。

前半終了の笛を聞いた時点では、99%ドイツの勝利、とにかくこのまま失点を重ねないでほしい、そういう思いしかありませんでした。

前半の結果は、以前の記事に書いた通り、攻守の決め事を設定していなかったから、その一言に尽きます。
ドイツにあそこまでいいようにやられていたのは、根本はボールの出どころをつぶそうとするときに、どちらかのサイドにきちんと追い込めていないことで日本のプレスが回避されてしまっている事が原因で、それができていないのは、守備の際に連動した動きがチームとしてできていないからです。
だからプレスをかけてもはまらず、ボールを自由に回されてしまうのです。

ただ、それを4年間やってこなかったのに、本番でいきなりできるはずはありません。
むしろ1失点で済んだことが幸運だと思います。

◆土壇場でのシステム変更

ところが、後半開始時のメンバー交代から、状況が少しずつ変わっていきます。
久保選手OUT⇒富安選手IN
この交代により、日本代表のシステムは5-4-1になります。
ディフェンスを増やすことは一見後ろ向きに見えますが、実はサイドの選手が下がりすぎなくてよくなる、という利点もあり、実際右サイドの攻撃の軸となる伊東選手や、サイドバックの酒井選手が後方で守備ばかりに時間を割かれずに、高い位置をとれるようになりました。

3バック、もしくは5バックは僕も試してほしいと思っていた半面、森保さんが土壇場でこれを使ってくるとは思っていませんでした。

ただ、後ろを増やすことによって、より前からのプレスをかけにくくなるため、さらに押し込まれる展開になり、あれだけシュートを撃たれて入らなかったのが不思議なくらいでした。
ここは権田選手の頑張りに感謝すべきだと思います。
また、システムを変えても、ドイツはすぐさまに対応していました。

◆まるで別人のような采配

後半12分には前田選手に変えて、浅野選手、そして長友選手に変えて三苫選手を投入。
後半26分には田中碧選手に変えて、堂安選手投入、
そして、30分には酒井選手に変えて南野選手を投入し、
トップ下の鎌田選手がボランチの位置に、三苫選手と伊東選手がウィングバックの位置に入り、浅野選手の後ろに南野選手と堂安選手がシャドーとなる、これまでの森保JAPANの中で最も攻撃的な布陣が形成されました。

正直、森保さんがヤケになったのかと思うくらい、素早い判断と大胆な采配で、まるで別人が指揮をしているようにも感じました。
土壇場で、森保さんも腹をくくったのでしょうか?

その直後に堂安選手が同点弾を決めます。

◆最後まで理由のわからない勝利

ここからの8分間は怒涛の展開でした。
流れは完全に日本に傾き、ドイツ側も選手を変えて流れを変えようと焦っているように見えました。
そして板倉選手のFKから、するすると抜け出した浅野選手がまさかのスーパーゴール!(浅野選手ごめんなさい・・・)

こんな事ってあるんだなと、その時は茫然としてしまいました。
真面目に試合を分析するのが馬鹿らしくなってしまいますね。

それと不思議なのが、なぜか後半徐々にドイツの動きが悪くなっていった事。特にミュラー選手が抜けてからプレスがかからなくなった感があります。
ニャブリ、ハフェルツ選手の動きが悪かったのも何か関係しているのでしょうか?
あるいは、一方的な展開にチーム全体が慢心してしまったとか?
(後半に浅野選手の抜け出しを制した際のリュディガー選手の馬鹿にしたような振舞いなどは、確かに調子に乗っているようにも見えましたが・・・)

その後何度か危ないシーンがあったものの、そのまま試合終了、
日本代表にとっては大金星、アルゼンチン×サウジアラビア戦に続く番狂わせが起きてしまいました。

◆やはりサッカーはわからない

サッカーとは30本シュートを撃ったチームが、1本しかシュートを撃てなかったチームに負けることがあるスポーツです。
ですが、後半中盤まで質の高い戦いをしていたチームがいきなり立場が逆転してしまうというのが、未だに理解できません。

日本代表が勝ったこと自体は素直にうれしいです。
ただ、内容ははっきり言ってよくなかったので、これでいいと思ってもらっては困ります。
なので、試合後のあのはしゃぎようを見ていると素直に喜べませんでした。

もし、権田選手のスーパーセーブがなかったら、あの時点が入っていたら、その時点で心が折れて、その後の展開はなかったでしょう。
今日の試合のMVPは権田選手で間違いありません。
セットプレイで失点しなかったことや、なぜかドイツの選手がシュートを外しまくったことも大きかったです。

試合後のギュンドアン選手のコメントが印象的でした。
「あってはならないことが起きてしまった」
ドイツの選手からすれば、勝っていたはずの試合を落としてしまったという思いでしょう。

◆今後も勝てるのか?

この次のコスタリカ戦に向けて、ぜひこのシステムで継続してやってほしいと思っているのですが、1つ大きな不安がありまして、
ほかの守備陣が奮闘する中、1人ベテラン選手で判断ミスが多く、谷口選手など別の選手に変えてほしいと恐怖すら感じる選手がいました。
今日の試合でも危なっかしいパスや、あわやPKというプレーもあり、正直キャリアのピークは過ぎてしまった感は否めません。

ドイツ戦の後に行われた、スペインとコスタリカの試合では、コスタリカが一方的に攻められて、7失点の大敗を喫してしまいました。
この敗戦が次の試合にどう影響するかはわかりません。
コスタリカが開き直っていい試合をする可能性もありますし、負けを引きずってしまう可能性もあります。
ただ、どちらにせよ、大敗したからと言って、コスタリカを弱者と侮るのは早計です。

※ちなみに、次の試合で日本が勝てば、ほかの試合の結果に関係なくグループリーグ突破が決まります。

とにかく、この後の展望は本当にわからなくなりました。
サッカーって本当に面白いですね。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?