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「陰謀論」が荒唐無稽な理由

皆さんが「陰謀論」や「都市伝説」という言葉を聞いた時、
どのように感じるでしょうか?

恐らく一部の人を除く多くの人々が「嘘」「インチキ」
と感じていると思います。

ただ、なぜそういうものが世の中に広まっているのか?
なぜそういうものを信じる人が多いのか?
少し考えてみたいと思います。
(あくまで中立的な立ち位置でお話しします)

◆そもそも「陰謀論」とは?

「陰謀論」とは、ある出来事や現象が、利害関係者による陰謀の結果として発生するという説のことであり、偏見や不十分な証拠に基づいて陰謀の存在を訴えているという、どちらかというと否定的な意味合いを持って使われることが多い言葉です。

例えば、ある重大事件に政府がかかわっているとか、宇宙人と政府が密約を交わしているとか、一般の人たちからしたら大げさで信じがたい内容であることがほとんどです。

◆「陰謀論」は大抵、荒唐無稽であることが多い

「陰謀論」と呼ばれる説は概ね以下の3つの条件に当てはまります。

①誤った情報、認識を根拠としている
②論理が飛躍している
③語っている人物が信用できない

そもそも①のように一般常識とはかけ離れた内容で、
尚且つ②のように論理が崩壊しているような説明をされた上に、
それを話しているのがいかにもインチキっぽい人③のような人物だったら、
誰も信用はしないと思います。

ひと昔のUFO特番などで登場するUFO専門家と呼ばれる人たちは、
そのほとんどがまず外見からして怪しかったり、
話す内容が突飛すぎて笑えてしまうような方々が多かったので、
本気で信じる人はほとんどいませんでした。

◆何故、「陰謀論」は荒唐無稽なのか?

そもそも、なぜ荒唐無稽な陰謀論が世の中に蔓延しているのか?

否定的な見方をすれば、何か大きな出来事があると私たちはそこにまつわる偶然に気づき、偶然ではなく必然なのだと物語を作ってしまうという事かもしれません。
物語は陰謀論となり、自分が不満を抱いていること、憤っていることは何もかもが悪者のせいだということになり、それによって人々は満足します。

例えば、ブッシュ元大統領が9.11同時多発テロの首謀者だった、ツインタワーを破壊したと信じる人はほとんどが民主党支持者で、オバマ元大統領が出生証明書を偽造したと信じた人のほとんどが共和党支持者でした。
その割合は、どちらの党もほぼ同じだったのです。

一方で見方を変えたときに、いかにも嘘とわかるような「陰謀論」を、
何故広める必要があるのか、
本当に信じてほしい内容であれば、きちんとした論理に基づいた説明をする事で信用を得ようとするはずです。

そこで皆さんに質問です。

例えばですが、いつも嘘ばかり話している人と、
いつも本当の事ばかり話す人がいた場合、
あなたはどちらの言葉を信じますか?

ほとんどの人が後者と答えるはずです。

◆意図的に広められる情報

ここでさらに例え話をします。
誰かを陥れたいと思ったときに、その人がやっていることを誇張して、
わざと「陰謀論」じみた話に変換して広めた場合、それは嘘偽りとして認識され、実際にその人がそのような言動をしていたわけでもないのに、その人の事を誰も信じなくなるでしょう。

以前のアメリカ大統領選で、トランプ元大統領を支持した「Qアノン」というグループの実態が、実はTwitter上のボットと呼ばれる数千の自動化されたアカウントで右寄りの政治的陰謀を宣伝するためのものだったのでは?という疑いもあります。

その後、荒唐無稽な「陰謀論」で担ぎ上げられたトランプ元大統領は、徐々に信用を失っていきました。
トランプ元大統領がQアノンをどう思っていたのかはわかりませんが。。。

逆に全くのでたらめの噂を、本当の事を言いそうな人に広めさせたら、
皆がそれを真実だと疑わなくなるかもしれません。

実際、幼い子供に嘘の証言をさせることで、国を戦争に向かわせたケースもあります。

以前紹介したナイラ証言などが実際にそうでした。

「ナイラ」という15歳の少女が、アメリカの議会において、「イラク軍兵士がクウェートの病院から保育器に入った新生児を取り出して放置し、死に至らしめた」と、その経緯を涙ながらに語りました。

ですが、後に彼女はクウェート駐米大使を務めていたサウード・ナシール・アル=サバーの娘であり、米国で育ち、現地のクウェートにはいなかった事が明らかになりました。

◆嘘偽りが多い一方で・・・

それまで「陰謀論」だと言われていたものが、
実は本当だったという話もあります。
その中でも1番有名でインパクトが強かったのは、
「北朝鮮による日本人拉致」です。

小泉総理が拉致被害者を連れて帰って来るまでは、「陰謀論」や「都市伝説」の扱いをされており、特に「右翼の陰謀論」として最も陳腐で、卑怯で、差別的なものとみられていました。

中には拉致被害を捏造と主張する個人や団体もいて、
実際、2020年に拉致被害者の横田めぐみさんの父で、拉致被害者家族会初代代表の横田滋さんが亡くなった際の記者会見で、その息子の哲也さんが「40年以上も何もしてこなかった政治家や、『北朝鮮なんて』『拉致なんかするはずないでしょう』と言ってきたメディアがあった」と非難するコメントを発しておりました。

また、政治スキャンダルや、薬害、公害問題などにおいて、政府や企業側で都合の悪い事実を隠蔽しようという動きは、いつの時代も多少なりと存在するため、世の中で「陰謀論」とされるものがすべて嘘偽りだとは言えない部分もあります。

◆あくまで真実は自分で見つけるしかない

結局のところ、他者から得られる情報というのは、真実である場合も嘘である場合も両方あります。それは仕方のないことです。
むしろ、その嘘が巧妙に仕組まれたものであっても、それから身を守るために、真偽を見極める力を自分自身で養う必要があります。
自分で判断し、行動していくしかないのです。

そして、「陰謀論」とは信じるものではなく疑うもの。




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