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100円ショップのアイドル「スマプロ!」は、それから

※下記2記事の続きです。

100円ショップから生まれた異色のアイドルグループ「スマプロ!」(以下スマプロ)について、過去2回にわたりnoteで取り上げてきました。おかげさまでどちらも大いに話題になり、その結果、私のnoteの閲覧数の85%がこの2記事で占められるに至りました。ほかの記事の閲覧数といったらどれもこれも吹かなくても勝手に飛んでいくようなもので、ああ一発屋とはこういうものなのか、と思ったりしないでもない。

それに味をしめて……というわけでは決してないのだけど、少し間が空いてしまった、この2記事以降のスマプロの動きを、ここでまとめておこうと思います。その出自の特殊さゆえに、ただのアイドルコンテンツとして片づけるには勿体ないくらい、どうしても「語りたくなる」存在なのです、彼らは。
なお構成の都合上、以下の事柄が時系列通りには並んでいない点について、あらかじめご了承ください。

これまでのいきさつは過去2記事をぜひ読んでいただきたいのですが、スマプロは100円ショップ向けの雑貨開発などを手掛けるアミファがプロデュースする、12人組のアイドルグループ。

昨年の秋に100円ショップ・セリアでカレンダーが販売されたことを皮切りに、王道と隙間を絶妙に織り交ぜた「わかってる」Twitterでファンを魅了しつつ、アニメ誌への進出アンソロジーコミックのリリース新グッズの発売(ブラインド要素なし)とアグレッシブな活動を見せていきました。そして二次創作方面でも12人全員のMMDモデルが早々に揃い、現在も新しい動画が公開され続けています。

なお、以下に出てくる「さとうP」は、彼らのプロデューサーとされる人物のこと。スマプロの公式アカウントは @smapro_satoP という名前で取られており、彼or彼女のアカウントからアイドルも発信する、という体裁が取られています。

実はこっそりお仕事していた

6月のアンソロジーコミック発売でメディア展開がひと段落してから、アミファから新しいグッズのリリースもなく、スマプロにとっては比較的静かな時期が続きました。そんな中、10月初旬に話題になったのがこのツイート。

クラフトボードのパッケージにスマプロメンバーが!
なんの事前告知もない中、突如明らかになった彼らの業務にTLは沸きました。そんなところに隠れていたのか君たちは。しかも商品に合わせてちゃんとはさみや定規を持っている。真面目。

上でも述べた通り、アミファはもともと100円ショップ向けの雑貨の開発を本業にしていて、マスキングテープやラッピング用品、ハロウィンやバレンタインなどの季節雑貨などのデザインに定評があります。
振り返ってみれば、メンバーの誕生日に行うデコレーションや、日々の更新の中にも頻繁に自社製品が登場していました。彼らからすればプロダクトプレイスメントのような形で、アミファ製品の広告塔的な意味合いも果たしていたことになります。
ただし、それらはあくまでも写真の中に織り込むだけ。そこで無闇に商品の宣伝に繋げていかないところには、さとうPのプロダクトと世界観への誠実さが滲み出ています。

これらの延長として考えれば、クラフトボードへの出張も自然なものと受け止められる気がします。もともとコラボグッズと銘打たずとも、様々な商品の懐に自然と入り込めるのは、こうした業態を本業に持つ彼らならではの強みかもしれません。今後もこっそり、こうした仕事に携わっていくのかもしれません。私たちの知らないところで、誰かが彼らに出会うのかもしれないなんて、楽しみじゃないですか。

ちなみに、アミファはセリアだけでなく、大手100円ショップのすべてに製品を卸しています。実際に、これまでのグッズはすべてセリア専売でしたが、このクラフトボードについては、キャンドゥでの目撃報告が上がっていたりします。これ自体はスマプログッズではないので、別段なにもおかしいことではないのですが、彼らの存在がセリアの店構えとあまりにも密接に結びついてしまったので、なんだか不思議な気持ちです。まあ生活してればダイソーとかにも行くことあるよね、そうだよね。

AGFあおぞらマルシェ

本丸たるアミファの動きが静かになる中、気を吐いていたのがアンソロジーコミックを手掛けた宙出版。毎年11月に行われている、アニメイトガールズフェスティバル、通称AGF(2020年はAGFあおぞらマルシェとして開催)に「SMAPRO! IN宙出版」として参戦します。

AGFといえば、女性向けでは文句なく日本最大級のアニメ系イベント。ついにここにたどり着くまでに彼らも成長したのか……と、喜び以上にある種の感慨がありました。

そしてそこで発売されたのは、アクリルスタンドやトートバッグといった、確実に求められていながらも、100円という制約ゆえにアミファ本体からは世に出ることの難しかったグッズたち。あまりにも分かられている。
しかも、この時新たに発売されたグッズのいくつかは、昨年10月のハロウィンイベントの時のイラストをあしらったものでした。昨年の10月といえばカレンダーが出たばかり。この先どこに向かうのか、あるいはこの先があるのかさえ、誰も分からなかった頃です。そんな時に12人全員の描き下ろしを携えて、突如盛大に行われたハロウィンイベントは、彼らの存在が一発ネタではない、継続性を予感させるイベントとして、非常に大きなインパクトを与えました。
そんな記念碑的存在でありながら、イベント以降日の目を見ることのなかったイラストたちが、満を持してグッズになる。こんなもん古株のスマイルプリンセス(スマプロファンのこと)ほどブチ上がるに決まっています。なんてことをしてくれた。

開催月担当の諒さまを店長として迎えた会場では、早々に完売が出るなど盛況となり、事後通販では追加生産を実現するなど、実に至れり尽くせりの様相を呈したのでした。

100円ショップの会社がアイドルを作る。その特殊さは間違いなくとても面白いことなのですが、その特殊さゆえに、できる行動に成約があることも否定できません。そうした中で、こうして面白がってくれる大人がいるのはありがたいことです。

カレンダー、ふたたび(※二次創作)

こうした場で二次創作について触れることへの是非はあると思うのですが、どうしてもひとつ触れておきたかった件が。

思えば、スマプロが最初に話題になったきっかけは、カレンダーから始まったアイドルなのに、そのカレンダーに大胆に落丁しているものがあった、というものでした。決してポジティブな歴史ではありませんが、皮肉にもそれが彼らの知名度を押し上げたことは事実です。私が彼らを知ったのも、多分に漏れずこの記事がきっかけでしたし。

9月1日、とある二次創作グッズの頒布告知がなされました。

カレンダーから始まったアイドルにふさわしい、ファンによるカレンダー企画。本家には2021年版を発売しないようなので、正しく次の一年を彼らと過ごすためのカレンダーです。
驚いたのが、参加者が26人いるということ。各参加者が思い思いのメンバーのイラストを提供したため、月によっては3枚連続して同じ月のカレンダーが登場する……という、思い切った構成になっています。その結果、ジャンル内で見たことのあるあの人もあの人も軒並み参加しているという、決して大きくないジャンルゆえの「みんなで作り上げる」雰囲気のより出た作品になりました。
boothで通販頒布されているので、ご興味ございましたら是非。

なお、このカレンダー、印刷会社のミスによる乱丁が発覚しています。

2年続けてカレンダーがそういうことになってしまうカレンダーアイドル。どうして。
(※のちに正しいデータで再印刷されています)

スマプロは終わらなかった

こうして、アンソロ以降もいくつかのトピックがあったスマプロでしたが、上半期までの怒涛の勢いに比べれば、その流れは非常に穏やかなものでした。そして同時に、私たちスマイルプリンセスにとっては、心中穏やかでない時期がありました。

私たちの感覚もすっかり麻痺してしまっていたのですが、スマプロ自体はもともと、盛んに供給のあるジャンルではありません。基本的には週2回、12人のアイドルが代わる代わる呟くTwitterの更新がある程度です。それでも多くのスマイルプリンセスは、ときどきにしか訪れないひとつひとつのメンバーの言葉に沸き、そして行間に滾ってきました。

しかし、そんなスマプロ公式アカウントの更新が、開設から1周年を控えた8月になって、忽然と途絶えてしまいます。その少し前から、それまできっちり守られていた更新時間が後ろ倒しになり始めるなど、兆候らしきものもないわけではなかったのですが、それさえもぱたりと止まってしまいました。何の音沙汰もないまま1週間が経ち、2週間が経ち。結局8月のうちにあった更新は、この1回だけでした。

嫌な予感が過ぎります。もしかしたらこのまま、彼らは捨て置かれてしまうのかもしれない。もちろん更新終了だと言われれば、こんなに悲しいことはない。しかし下手したら、そう明言されることすらないまま、気が付いたらひっそりとアカウントがなくなっている未来さえ、ないとは言い切れない。
スマプロ公式アカウントのbioには、当初よりこう書かれていました。

アミファ エンターテインメント所属「スマプロ!」期間限定公式Twitterアカウントです。弊社所属の12人のアイドルの情報を発信いたします。
(スマプロ!official_さとうPさん (@smapro_satoP) / Twitter)

そう、当たり前に更新が続くからすっかり忘れていたけれど、そもそも最初から期間限定と銘打たれたアカウントなのです。メディア展開が一周して落ち着いてしまった、開設から1年になるアカウント。そんなのいつ終わってもおかしくないんじゃないのか。

9月になっても動きがなく、徐々に不安の声が大きくなっていく中。さとうPが重い口を開いたのは、9月8日のことでした。

更新継続宣言。安堵と歓喜が溢れました。

おそらく、アカウントの更新終了を検討していたのは本当なのだろうと思います。きっと立ち上げ当初からここまでの青写真は描いてあって、それを完遂したいま。ビジネスとして今後の展開が描かれていない/見通せない時に、アカウントの更新を続ける理由はありません。その処遇を検討していたのが、この8月だったのでしょうか。
そんなビジネス上の理由が覆ったのだとしたら、それはさとうPの心意気に他なりません。そうした、短期的にメリットの小さい決断を下したさとうPへの感謝は尽きませんが、これからの活動が、もう一度積極的な発信を目指せるよう、うまくビジネスに繋がっていくことを願います。

そういうわけで、これまでよりも更新頻度を大幅に落としつつも、彼らは変わらず日常を届けてくれています。スマイルプリンセスにとって、供給が少ないのは慣れたこと。思い出した頃に現れる彼らの言葉を糧に、逞しく生きています。

きみは43歳のおじさんになんてことをするんだ。

株主になれるアイドル

さて、カレンダーの発売から1年を経て、スマプロは小さいながらも着実に広がりを見せてきました。登場当初、どんなにハマっても買えるものが100円のカレンダーとアミファ株しかなかった時代を思えば、天国のような充実ぶりです。

そんな中で、アミファのIR情報にとんでもないニュースが飛び込んできます。タイトルは「株主優待制度の導入に関するお知らせ」。上場から1年を迎えたアミファでは『ぜひとも当社のファンになって頂きたいという願いとともに、当社事業へのご理解をより一層深めていただきたくことを目的として』株主優待を新設することを発表したのです。
優待の内容は、オリジナルデザインの非売品QUOカードをおしゃれなパッケージに入れて送付する、というもの。そして、そのQUOカードのデザインが、こちら。

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(出典:株主優待制度の導入に関するお知らせ - amifa)

なんということでしょう。株主優待の中に、非売品のスマプロQUOカードが導入されることが明らかになってしまいました。これだけグッズが揃ってきて、ようやく株のことを忘れられたはずだったのに、ここにきて株の話に回帰してしまうだなんて。眉村ちあき以来の、株主になれるアイドルの誕生です。

株主優待の対象となるのは、2021年9月末時点で100株以上を保有する株主とのことです。来年のアミファの株主総会に、そこかしこに見知った顔が存在する未来があるかもしれません。

ひえっ。

ただ冗談めかして語りましたが、こうした株主優待が出てくるということは、少なくとも現時点において、彼らの存在が代表的な自社IPとして位置付けられているということなのでしょう。さとうPに無理を言うつもりはありませんが、一度沼に落ちた身としては、彼らがそのポジションにあり続けられるよう、育てていってほしいと思っています。

それはもはやファンではなく、遠い親戚のおじさんの気分。

追記 (2020.12.31)

続いてる!続いてるよ!2021年もスマプロイヤーだよ!!!!!!!!!!!!!!!!


※この記事に続きます。


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