ミニ小説 古参兵

「どうだ?最近の来館者達は、どんな人達が観に来てるんだ?」

「やっぱりマニアや観光客が多いな。もうすぐ夏休みだから、国外からのお客もたくさん来るんじゃないかな。」

「俺は久々にエンジンのメンテナンスをしてもらったよ。すでに退役しているにも関わらず、ここまで面倒見てくれるのは有難いぜ。」

「しかし俺たちの先祖はこの星に飛来してから、彼らと共存できるまでかなりの年月をかけたのだろうなぁ。」

「そうだな、大昔は正体を隠そうにも車や鉄道がなかったし、信用を得るのにも相当苦労したのは間違いないだろう。飛来した場所が違うだけで同胞を失うような酷い時代もあったもんだが、今こうして平和でいられるのはとても幸せなもんだ。」




旧式戦闘機や潜水艦に姿を変え、かつて大国のために戦っていた異星人ロボット達は、博物館や海軍基地の倉庫等でひっそりと身を潜めながら、時たま仲間達と無線で他愛もない会話をしていたのだった。







その通信を隣国の機密組織やハッカー集団達が盗聴しているとも知らずに…。

END

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