これ以上は望めないほどのサイバーパンクの宝石箱―― 「Cyberpunk 2077」

このゲームほど発売までに良くも悪くも多くの話題を集めて、さらに発売してからも話題になったゲームは少ないのではないだろうか。

このゲームに対しては並々ならぬ期待を発売前から寄せていたから、度重なる発売時期の延期発表にはやきもきさせられた。特にマスターアップ発表してからの再延期には驚かされた。ゲームを発売してからも多くのバグ報告によって、これを書いている2021年1月現在でもCD Projekt REDは対応に追われている。だが僕はPC版(ver1.06)でゲームをプレイしていたので細々としたバグはあったものの進行不能などの致命的なバグや不具合には幸運にも出会わなかった。

クリアレビューのためネタバレを気にする人は注意されたし。

サイバーパンクは端的に言ってめちゃくちゃ面白い!僕はマトリックスでSF映画にハマり、攻殻機動隊でサイバーパンクを知ったので、Cyberpunk 2077を好きにならない理由がない。そしてクリアした勢いのままこうしてレビューを書いているわけだ。

ナイトシティという生きもの

ゲームの舞台となっているナイトシティは作りこみが半端じゃない。ナイトシティ自体はそこまで広くはないのだが密度が濃い。歩いている人はほぼ例外なくサイバーウェアで体を改造しているし、街は横だけではなく縦にも入り組んだ構造している。それだけで個人的にはワクワクが止まらないのだが、街を少し歩けば、そこらでギャング達がドンパチと撃ち合いをしているし、フィクサーがどんどん仕事を依頼してくる。だからギャング達を撃ち合いをしたり、依頼されたクエストをクリアしているうちにだんだんと自分がVとしてナイトシティで生きている!という気がしてくる。

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クイックハックという魔法

魔法は言い過ぎだが、サイパーパンクではクイックハックという戦闘にもステルスにも便利な能力がある。これによって攻殻機動隊が好きな僕はネットランナーとしてハッキングを主体としたロールプレイしていた。

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オプティクス再起動のクイックハックを使うことで一時期に視界を奪うことができる。攻殻で言うところの俺の目を盗みやがったな!ということもできるのだ。

最初こそPingで敵の位置を知るだけだが、知力を上げてクイックハックを揃えることでカメラで見た相手をシナプス焼却で脳を焼いたり、自殺させることだってできるようになる。レアなクイックハックを集めればウィザード級ハッカーだって夢じゃない。

サイバーウェアという力

クイックハックだけでも強いのだが、暴力の溢れるナイトシティではサイバーウェアも必要だ。脚にサイバーウェアを取り付けることで普通なら超えられないフェンスも軽々と飛び越えられるようになる。そうすることでステルスで誰にもバレずに侵入したいときなどに経路が増え、街を探索する際にもとても便利だ。他には目にはキロシ社の高性能なサイバーウェアが入っており手のサイバーウェアと組み合わせることで銃の跳弾の弾道を文字通り目にすることができるのだ。

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クリア時のVのサイバーウェア
全身にサイバーウェアが入っていてまるで人間兵器さながら。

サイバーパンクの物語について

ウィッチャー3で一躍有名となったCDPRが作る新作ゲームということで、当然のようにストーリーに期待していた人が多かったと思う。僕自身もその一人だった。メインの大きな物語となるVとジョニーの物語に関しては正直なところもう少し楽しみたかったというのが正直なところ。ウィッチャー3のような長大なストーリーを期待したら少し肩透かしを食らうと思う。それでもVとジョニーの最悪な出会いから一緒にミッションをこなしていく中で関係が変わっていくのは素直によかった思うしグッと来た。

このゲームでの選択はその後の展開に大きな影響を与えるという点ではウィッチャー3から変わってないとハッキリと言える。すぐに結果がわかるものから少し後になってそうだったのか……というものまでさまざまだ。

それに主人公Vの出自を決めるライフパスが3つあって例えばそのうちのノーマッドなら会話の際にノーマッド専用の選択肢が出てくるし、また別のストリートキッドなら専用の選択肢が出てくるためメインストーリーが短いということは周回しやすいとも言える。

サイドクエストやフィクサーからの依頼に目を向けてみると、メインクエストが控えめの代わりにたっぷりと用意されている。内容も面白いものが多かった。特に主要な登場人物であるジュディやローグ、リバーのクエストはどれも印象的で楽しかった。特にリバーのシリアスなクエストの後のアットホームなクエストはエッジで生き馬の目を抜くような生き方になりがちなナイトシティでは珍しくとても楽しかった。

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のどかな見た目からは想像もできないことになっていたエッジウッド農場

あと、とにかくジョニー・シルヴァーハンドがカッコイイ。荒事のシーンやバンドをしている過去のシーンではカリスマ性が垣間見えたりするのがよかった。

また、あるメインクエストでは綺麗なシーンがありスクリーンショットを何枚か撮った。

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サイバーパンクの宝石箱

サイバネティクスによるサイバーウェアやブレインダンス、クイックハックを使ったハッキングなどのサイバーパンク的な要素をこれでもかと詰め込んだサイバーパンクの宝石箱が「Cyberpunk 2077」であり、正直これ以上のものは望めないかもしれないとまで思った。それほどまでにナイトシティに惚れ込んでしまった。僕は間違いなくサイバーパンクを傑作だと思っている。

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