日本の平均貯金額はいくら?

こんにちは。今回は、日本の平均貯金額についてお話します。毎年のように平均年収について触れられることがありますが、貯金額について触れられることは、あまり多くありません。
そこで、今回は、日本人の貯金額を明らかにしていき、もっと細かく、年代別、家族構成別、都道府県別にも調べてみました。それぞれに当てはまるところの平均貯金額を見て、自分の状況と比較してみてください。

平均値と中央値の違いと見方

まずは、データの見方について解説します。学生時代に平均については学んでいるはずなので、平均の求め方を解説する必要はないと思います。実は、平均値は貯金額の真ん中を求めるのに適してはいません。なぜなら、桁違いに貯金をしている人がいると、平均額がぐっと上がってしまうからです。
実際、平均年収や平均貯金額を見てみると、ほとんどの人が、自分より多いと感じるはずです。これは、少数の桁違いに稼いでいる人や、貯金をしている人が平均額を押し上げているからです。
貯金額を見るときにおすすめのデータは中央値です。これは、貯金額を大きい順に並べ替えたときに、真ん中に来た人の貯金額のことです。その前後の貯金額が大きくても小さくても、中央に来た人の貯金額だけを見ることで、桁違いに多い人に引っ張られないため、より正確なデータを求めることができます。
もちろん、平均値を見ることにも意味はありますし、例えば、大きく上ぶれすることの少ない運動のデータを見るときは、平均値が使われます。100メートル走を10回走ったときの平均値を求めるとして、10回で数秒も早くなったり遅くなったりしませんよね。そういった、差が少ないようなデータのときは、平均値のほうが、より正確にデータを見ることができます。
桁違いの数字がある場合は中央値、データが均一に近い場合は平均値を利用したほうが、より正確にデータを分析できると言われています。

独身者の年代別平均貯金額を調査しました。

独身者の20代から50代までの平均貯金額を見ていきます。
まずは20代です。20代前半だとまだ働いていない人もいるので、20代という括りで見ると、大きなばらつきがあります。20代前半の人にとっては多いと感じるでしょうし、20代後半の人にとっては少ないと感じる人もいると思います。
20代の貯金額は、平均値が121万円、中央値が9万円です。また、約半分の人が貯金ゼロです。20代でまだ学生の人であれば、貯金よりも遊びや勉強にお金を使うことが多いでしょうし、平均の176万円という数字も、20代後半の社会人が押し上げていると思われます。
20代で独身であれば、中央値の9万円くらいが普通じゃないかと思います。もう少し貯金額を増やすのであれば、3ヶ月から6ヶ月分くらいの生活費を貯金できれば、より安心できます。ただ、健康に働ける人であれば、これから収入はどんどん増えていくので、自己投資にお金を使うほうが有意義だと思います。
次に、30代の独身者です。平均値が594万円、中央値が100万円という結果になっています。その中でも3分の1が、貯金ゼロです。30代であってもまだまだ働き盛りですから、貯金をせずに自己投資に使うのはありです。
ただ、社会人になって10年以上経っているわけですから、貯金も投資もしておらず、毎月の収入が全て生活費に消えてしまうというのはちょっと危険です。貯金をする習慣を付けたり、収入を余らせて、自己投資に使えるようになれば、貯金額は気にしなくてもいいと思います。
中央値の75万円くらいが、30代で最低限貯めておきたい金額になります。3ヶ月分以上の生活費になるはずなので、これくらいあれば、仕事がなくなったり、もしものことがあっても生活できるからです。
次に40代です。平均値が559万円、中央値が47万円となっています。注目したいのは、平均値と中央値の差です。30代よりも平均値が高く、中央値が低くなっています。40代になると貯金額の格差が大きくなっていると言えます。
これは、仕事のためにあえて結婚していない人と、結婚できない人が出てきて、同じ独身者でもその背景に差が出ていることが考えられます。40代になると、残りの仕事人生も見えてきます。投資をしたり、収入を増やすための行動をより明確に考えていく時期かもしれません。
最後に50代です。平均値が1391万円、中央値が80万円となっています。中央値は30代、40代と大きく差は無いものの、平均値が大きく上がっており、格差が広がっていると言えます。20代から収入を増やしたり、貯金習慣を続けてきた人と、何もしてこなかった人では、50代ではより大きな差となって表されるわけです。
50代で貯金ができていない人は、貯金額を増やすよりも、年金をもらうまでの期間を過ごすことや、今の仕事を続けていくことを考えるべきかもしれません。今から収入アップのために転職を考えたり、投資を続けるというのも難しいと思われるからです。貯金額を増やすのであれば、家計の見直しと、副業がおすすめです。

既婚者の年代別平均貯金額を調査しました。

独身者の場合は、稼いでいるけどあえて結婚しない人と、収入が低くて結婚できない人の格差が大きく広がっている結果になりました。
既婚者になれば、ある程度の収入があると思われるので、より中央値が実感しやすい金額になっているはずです。ぜひ参考にしてみてください。
始めに20代からです。平均値が249万円、中央値が30万円となっています。やはり中央値は独身者よりも高いですが、3分の1が貯金ゼロの状態です。結婚や出産、マイホームなど大きな出費のあるイベントが多いですから、貯金を使い果たしている人もいるのかもしれません。
今後は教育費などでもっと多くのお金が必要になりますから、貯金をしていない人は、家計の見直しと貯金習慣を始めていきたいですね。
次に30代です。平均値が601万円、中央値が150万円となっています。中央値が始めて100万円を超え、多くの人が貯金をしているという結果になりました。貯金ゼロの割合も少なくなっていて、30代の既婚者はちゃんと貯金をしているようです。
夫婦で働いている家庭も多いでしょうから、貯金できる環境があるのではないでしょうか。これから住宅購入を考えている人や、出産や育児を控えている人は、貯金がゼロにならないよう、計画的にお金を使っていきましょう。
次は40代です。平均値が889万円、中央値が220万円となっています。中央値が30代と大きく変わらないのは、やはり教育費などの出費が多くなり、30代以降、貯金ができていない人がいると思われます。
また、20代から30代というのは仕事を覚えて出世していく時期であり、収入も大きく伸びやすいですが、30代から40代にかけて、出世できなかった人は収入も横ばいになっているケースがあります。これから子どもの大学費用や、留学費用があることを考えると、さらに貯金は減っていくかもしれません。今のうちから、別の収入源を用意しておくなどの準備が必要です。
最後に50代です。平均値が1147万円、中央値が300万円となっています。子供が成人して、支出が少なくなった人もいるのかもしれません。平均値、中央値ともに増えていますね。
ここからは自分たちの老後のための資金計画が必要になってきます。中央値の300万円で、年金を足したときにどのような老後生活ができるのかをイメージしておきましょう。また、定年退職までにあといくら貯金すればいいのか、突然の出費は訪れるのかを考えておき、家計を見直していく時期です。

年代別平均生活費を考えてみる。

続いて、年代別に平均生活費を見ていきます。もし大きく超えている人は、生活費の見直しが必要ですし、少ない人は、より多くの貯金ができる可能性があります。参考にしてみてください。
まずは20代。平均生活費は16万円と、全世代で最も低い金額となっています。単純に収入が低くて、使えるお金が少ないというのは一番の理由だと考えられます。住居費に関しては、全世代で最も高く、これは独身者が多いため、一人当たりの住居費が高くなってしまうためだと思われます。
また、子供がいない人が多いため、教育費に使うお金がほとんど無いのも特徴です。
生活費が16万円となると、給料はだいたい20万円くらいは欲しいところでしょうか。月に3万円ほど貯金できれば十分ですし、自己投資に回す金額としても十分です。給料の残りが3万円以上になるような生活費を計算してみましょう。
次に30代です。平均生活費は24万円となり、各項目で、20代よりも大きく増加しています。結婚する人の割合が増えたことや、収入が増えてきたことが要因だと考えられます。家庭を持ったことで支出が増えてしまうのは仕方のないことではありませすが、この生活費の上昇に合った収入アップが見込めているかが問題です。
20代と比べて、手取りを8万円増やすというのは簡単なことではありません。収入が思うように増えなかった人にとっては、貯金を削って生活していくという人もいるのではないでしょうか。
次に40代です。平均生活費は29万円です。30代と比べると教育費が大きく上がっているものの、その他はほとんど変わらず、住居費が大きく下がっています。
子供が大きくなり、教育費がかかるようになってきていると思われます。住居費に関しては、マイホームにしたことで、毎月の支払金額を減らすことができているのではないでしょうか。持ち家と賃貸に関する意見は様々ですが、40代の支出が多い時期に住居費を減らせるというのは、マイホームを購入するメリットになっています。
最後に50代です。平均生活費は30万円で、内訳も40代とほとんど変わっていません。結婚する年齢や、子供が育つタイミングなどは、40代でピークを迎える人もいれば、50代でピークを迎える人もいますから、40代と50代では大きな差が生まれないのかもしれません。
やはり20代から30代にかけてが、もっとも大きな変化がありますし、年齢を重ねる事に変化は少なくなってきます。収入や貯金額を増やしたり、生活費を見直すなら早いほうが良さそうです。

世代別に貯金の壁があります。

貯金ができない人や、目標とする金額になかなか到達しない人は、貯金の壁があることを理解して、目標設定をしてみましょう。貯金の壁は3つあり、1つずつ壁を乗り越えていくことで、最終的には、理想の貯金額に到達できるようになります。
最初の貯金の壁は100万円と言われますが、これは世代や年収によって変わってくるので、20代前半の人であればもっと少ないですし、40代になればもっと多くなってきます。せっかく世代別の平均値と中央値を調査したので、もっと細かく貯金の壁について見ていきましょう。
ここでは、30代の人を想定して、貯金の壁を考えてみます。
1つ目の壁は、既婚者の年代別貯金額の中央値です。30代の人であれば、150万円が最初の貯金の壁になります。各世代の中央値を達成できれば、上位半分に入れることになります。壁を乗り越える鍵は、家計の見直しです。毎月の固定費を減らしたり、使いすぎている生活費を見直すだけで、数年で達成できる数字です。
中央値の金額は、生活費の半年分くらいになっており、仮に仕事を辞めることになっても半年間は生活することができます。また、失業保険が支給されるまでに3ヶ月以上かかることを考えると、半年間は貯金を切り崩し、その後は失業保険で数ヶ月生活できるので、最大で1年くらいは生活できます。
まずはこの金額を貯金できるようになると、家計に余裕が出てきて、余裕資金を自己投資や資産運用に回したり、仕事を辞めて、転職や独立にチャレンジすることができるようになります。
逆に言うと、これくらいの金額が貯金できていないと、収入を増やすための行動ができなくなり、今の仕事、今の収入を変えることができなくなります。収入や貯金を増やすためには一時的な投資が必要で、貯金額が減る時期もあります。減らせるだけの貯金額が、各世代の中央値となります。
2つ目の壁は、既婚者の1つ上の世代の貯金額の中央値です。今の世代の中央値を達成できたら、次の世代の中央値にも目を向けてみましょう。30代と言っても39歳の人もいますし、40代でも40歳となれば、その差は1歳しかありません。30代のうちに40代の中央値を達成してしまえば、49歳までは上位半分に入れることになります。2つ目の壁を達成する鍵は、貯金習慣です。大きな出費も計画に入れて、毎月赤字になることのないように貯金していくことで、壁を乗り越えられるはずです。
30代の人の場合、220万円が2つ目の壁の貯金額です。たった70万円増やすだけなので簡単に思われるかもしれませんが、30代から40代にかけては教育費やマイホーム購入費など、大きな出費があるので、意外と難しいです。その結果が、40代での220万円という数字なのです。
ボーナスのある人であれば、旅行などの大きな出費を減らせば220万円の達成は可能かもしれませんが、それを維持するのは簡単ではありません。旅行が好きな人が旅行に行くのを止めてしまっては、楽しい生活ができなくなってしまいますよね。毎月コツコツを貯金していき、大きな出費も定期的にやってきますから、それでもどうにか70万円増やした結果の220万円ですから、これが2つ目の壁になります。
3つ目の壁は、既婚者の年代別貯金額の平均値です。30代の人であれば、601が3つ目の壁です。220万円から一気に上がりましたね。1つ上の中央値を達成できた人は、貯金の習慣や家計の見直しができている人ですから、次に求めるのは貯金習慣の継続ではなく、貯金額になります。
さらに400万円の貯金額を増やすというのは、今の家計の見直しや習慣だけではどうにもなりませんから、収入アップが鍵となります。スキルアップや転職、副業といった収入アップのためにお金を使ったり、時間を捻出してみましょう。
もし、3つ目の壁を達成できたら、もう壁はありません。1000万円達成もすぐですし、そこから資産運用をしていけば、セミリタイア、リタイアも見えてきます。
世代別に壁は違いますが、年齢を重ねるごとに金額が変わってくるので、定期的に壁が現れることを忘れずに。

老後に必要な貯金額は?

ここまで、50代までの貯金額について触れてきましたが、60代以降の老後については触れてきませんでした。ここからは、老後に必要な貯金額について考えていきます。
調査によると、60歳以上の無職世帯の支出が約24万円なのに対して、収入は社会保障給付が約19万円です。約5万円足りないことになるので、毎月5万円ずつ、貯金を切り崩していく必要があります。
90歳まで生きるとすれば、必要な貯金額は1800万円になります。これが、老後2000万円問題と言われる理由です。多めに見積もって、2000万円の貯金額があれば、老後に必要な貯金額を満たせると考えます。
必要な貯金額を達成するために、先ほど紹介した3つの壁を乗り越えることから始めましょう。50代の3つ目の壁が1147万円になるので、50代のうちにここは達成しておきたいところです。そして、定年退職するまでの間に少しでも2000万円に近づけていきます。
50代のうちに子供が大学を卒業したり、マイホームのローンを払い終われば、貯金できるスピードは増えていきますし、勤続年数が長ければ、まとまった退職金が入ってきますから、これで2000万円問題は解決できるはずです。3つの壁を乗り越えれば、老後問題もある程度は解決できるようになっています。
それでも2000万円は厳しい、という人は、資産運用を始めてみることです。年利4%の配当金がもらえるとすれば、1500万円を資産運用すれば、年間60万円の配当金がもらえるので、貯金額は2000万円より500万円少なくて済みますし、何より、元本の1500万円も減りませんから、何年でも過ごすことができます。
ただ、資産運用にはリスクがあるので、毎年4%が一定でもらえるわけではありませんし、資産を減らしてしまう可能性もあることに注意してください。老後の資産運用となると短期運用になってしまうので、暴落にハマってしまうと、元本を取り戻せない危険性もあります。
資産に余裕があれば、比較的安全な債権への投資にして、年利2%くらいの運用にするのがベストですが、そうするためにも、老後までに貯金はしておきたいところです。

まとめ

今回は、日本人の年代別平均貯金額についてお話しました。平均値と中央値の違いを理解してから、実感に近い中央値を最初の目標にしつつ、最終的には平均値を上回る貯金額を達成することで、老後の不安を解決するような貯金目標を示しました。
近年は、男女関係なく多くのキャリアが用意され、仕事に就き始める年齢や、結婚観なども多様になっていて、平均を取るのが難しくなっています。平均値や中央値を満たしたからといって、価値観が全く違う人もいるでしょうし、貯金をせずに生きる人や、貯金自体を楽しんでいる人もいて、正解はありません。
その中でも、一般的な貯金額や生活費を示すことで、お金に対する不安を和らげて欲しいと思っていますし、貯金の壁を乗り越えていくことで、豊かな生活が手に入れていただきたいと思っています。
今回紹介したデータは、日本銀行の情報サービス局内にある、金融広報中央委員会が作成したデータをお借りしています。日銀のデータなので、ある程度信頼できるものになっています。

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