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ハリウッド俳優 石橋貴明

1994年、野茂英雄より先にアメリカに渡った石橋貴明。
3本のハリウッド映画に出演している。





『メジャーリーグ2』

『生ダラ』(1994.5.2)

銀幕の貴公子石橋貴明 ついにハリウッドデビュー!!

日本からの助っ人選手役として出演。


”HOLLYWOOD”の巨大看板が見える丘

福沢:ムービースターってことなんですけどもね。まずは何はともあれハリウッドデビュー、まことにおめでとうございます
石橋:ふっ、まあなんていうか、気がついたら俺はここにいたって感じ。
福沢:ふふふ(笑)。そうですか。

ハリウッド俳優になった石橋貴明、32歳。

福沢:これまでは“看板”というニックネームなのが、これからはどうすればいいんですかね?
石橋:大看板!
福沢:“大看板”(笑)。ははは(笑)。わかりやすいですね!“大”を付ければいい。
石橋:いいの。
福沢:“大看板”。

日本の”看板”が世界の”大看板”へ。

石橋:なんていうのかな、やっぱりこっちでなんか、やるべくして俺は生まれてきたって感じがしたね。
福沢:あ、ようやく。
石橋:水が合うの。
福沢:水が合うんですか?
石橋:うん。
福沢:ああ、なるほど。
石橋:スゴく。
福沢:ええ。
石橋:なんていうのかな、こう日本だとなんかもうジメジメジメジメ人の悪口だとか妬み嫉み。
福沢:あります。ええ。
石橋:そんなもんねえ、イヤだからね俺は。
福沢:ああ、そうなんですか。それを一番言ってたのアナタじゃないですか?
石橋:いやいや(笑)
福沢:ふふふふ(笑)。違いますか(笑)
石橋:イヤなのよ。
福沢:違うんですか(笑)

石橋貴明には「水」より「water」が合う。

石橋:まあ後、10年の間にアカデミー賞獲ると思うんで、アカデミー賞獲った折には、たぶん日本テレビとフジテレビの方には、まあ『スーパータイム』、それから『プラス1』。あれには出ると思うんで。そん時はリムジンでポーンと正面玄関つけるから、ジャストミートなんかもみんな降りてきて「タカさ~ん!」つってよ。
福沢:はい。わかりました。
石橋:「元気?」つって(素通りするから)。
福沢:はははは(笑)。あ、そうですか。そこまで人は変わってしまう。
石橋:変わるよ。
福沢:ははは(笑)。そうですか。
石橋:気安く今だけよ話せるの。
福沢:今だけですか?触れるのは。
石橋:触れるのも話せるのも。
福沢:ええ。

ハリウッドスターは手の届かない存在。



定岡正二登場

定岡:ウソだろ?俺ね、新聞で読んで「これ絶対ウソだ」と思ったわけよ。そんなさあ、たかがさあ、”いちコメディアン”がよ?そんな『メジャーリーグ』…
石橋:“たかが”って、よく言えるなコノヤロ―!

”いちコメディアン”のハリウッド映画出演に納得いかない定岡。

定岡:それで新聞見てたの。そしたら『メジャーリーグ』なんか出てるっていうから、「これはオカシイだろ!俺がまだ出てねえのに、なんで”いちコメディアン”が出るんだ」って。
石橋:だって、しゃべれねえヤツが出れるわけねえじゃねえか映画に!
定岡:俺ちょっとでもいいから出たかった、『メジャーリーグ』は。

巨人の元エース、定岡正二。
コメディアンより『メジャーリーグ』には出たかった。

第54代横綱、輪島も合流。



プレミアムショーのレッドカーペット

ハリウッドのチャイニーズシアターで開催されるプレミアムショーに参加。

そこに現れた忍者姿の定岡正二。
インディアンスのユニフォーム姿の輪島。背番号は4527(横綱)。

そして、紋付き袴姿の石橋貴明。デビッド・S・ウォード監督と再会。

日本人俳優としてレッドカーペットを歩いた。



ハリウッド映画出演の影響

『メジャーリーグ2』は初登場全米第1位。

この映画に出た影響は大きかった。

翌年の1995年、『生ダラ』で野茂英雄に会いにドジャー・スタジアムを訪問。

ドジャースのボールボーイは、石橋の姿を見ると”タカ・タナカ”のマネをしている。
ラソーダ監督も「Movie Star!」と、俳優として認識している。

野茂英雄は”タカ・タナカ”と同じ背番号16を着けて大活躍する。




『悪魔たち天使たち』

1997.6.21 日本公開

『めざましテレビ』インタビュー

今、ハリウッドで売り出し中の日本人役者といえば石橋貴明。
アンディ・ガルシア主演の映画『悪魔たち天使たち』に出演し、本格的ハリウッド進出をもくろむ。
今回の映画出演も『メジャーリーグ2』を観た監督が指名。
バブリーな日本人実業家役。

しかし、これまで俳優業については一切のコメントを差し控えてきた。
インタビュアーは、とんねるずと『Grade-A』で共演中の濱田典子。

石橋:“俳優”っていうほどお芝居をキッチリしてるわけでもないですし。まあ、寅さんでいうところの佐藤蛾次郎みたいな。
濱田:はははは(笑)
石橋:ちょこっと出て、ひと笑い取って去って行くみたいな。


撮影現場について

石橋:ものすごくみんなフランクで。まあ僕なんかは、いったいどこの国からやって来た誰なのかも、ほとんどわかんないという感じなんですけど。すごく気軽にですね、話しかけてくれますし。
濱田:ええ。
石橋:みなさんこう…なんていうんですかね、アンディ・ガルシアさんも「アンディでいいよ」みたいな。
濱田:ああ!
石橋:監督さんもアンドリュー・デイビスで、略して「アンディでいいよ」みたいな。アンディ&アンディで。
濱田:どちらも。
石橋:どちらもアンディ&アンディで。「タカ、寒くないか?」とか、すごく気使ってくれますし。


ハリウッドから見た日本人

日米経済摩擦をテーマにした『ガン・ホー』では七三分けにメガネの働き蜂。
一方、『クライング・フリーマン』では眉間に皺を寄せ、いまだにチャンバラ。
アメリカ人が日本人を描くと大抵こうなる。

石橋:やっぱり”サムライ”だとかそういう事を求めますよね、みなさんね。
濱田:ああ。
石橋:でも、それじゃあしょうがないですしね。チャレンジするスペースはありますよね。まあ、ちょっとでもスペースがあればそこにチャレンジしていくというのは、これは可能性0%じゃないわけですから、0.1%の可能性ですから。
濱田:はい。
石橋:その0.1%をそこにこじ開けてですよ、グーッと「なんだよ、お前こんななってんのかよ!」みたいな。
濱田:はははは(笑)
石橋:ええ。「なんだよ、結構こうなってんのかお前」。
濱田:ああ。
石橋:「中見せてみろよ!」って感じですよね。ハリウッドの全部を。


アンディ・ガルシアのインタビュー

アンディ:(石橋は)すごくおもしろいヤツだよね。撮影中もアドリブの連発で楽しかった。他の共演者も家族みたいに仲良くなって、石橋もその一員って感じだったよ。とにかく今までやった映画の中で一番楽しい現場だったね。


今後の目標

石橋:今年の秋にですね『メジャーリーグ3』を、ちょっとまた撮りに行きますんで。また来年ぐらいに『メジャーリーグ3』も公開されると思うんで。
濱田:楽しみですねえ。
石橋:とりあえず今のうちボディーを打っといて、40超えたら顔面打って、獲るでしょう!
濱田:そうですね。
石橋:アカデミー賞でしょう!オスカー像でしょう!今村昌平さんに負けられないでしょう!

この年、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した今村昌平監督『うなぎ』。



映画撮影中に『生ダラ』ロケ

『生ダラ』(1995.4.19)

アンディ・ガルシアと共演者に海老の天ぷらを振る舞う。
ロケ地:ファイブ・オーク・ランチ(カリフォルニア州 サンタ・バーバラ)。

福沢:”TAKAAKI ISHIBASHI”の俳優としての演技の方は今回どうだったでしょうかね?
アンディ:天ぷらよりも、もっと完璧だ。
福沢:しいて、これからの課題をひとつ何か彼に与えてやっていただきたいんですけど。
アンディ:もっとエビをくれないか(More,shrinp.Bigger shrinp)。
石橋:はははは(笑)
福沢:ああ、そんなにお腹空いてらっしゃるんですねえ。

インタビューよりも天ぷらが食べたい。


そして、『ブラックレイン』で共演した高倉健さんへメッセージ。

アンディ:How are you Kensan. We miss you.


最後、アンディ・ガルシアに一言。

石橋:『ゴッドファーザー4』で会いましょうね。

1992年12月23日、『ゴッドファーザー』シリーズのフランシス・フォード・コッポラ監督は『生ダラ』に出演している。



日本公開

『うたばん』(1997.6.24)

中居:先週ですね、先週の土曜日にタカさんのハリウッド映画。
石橋:ああ、ああ。
中居:『悪魔たち天使たち』。こちらの方が公開されたということなんで。
石橋:まあ、ちっとだけなんですよ。
中居:うん。
石橋:向こうのね、スターさんはみんなフランクだよ。
中居:あ、本当。
石橋:うん。どこの馬の骨だかわかんないじゃない、俺なんか。
中居:うんうんうん。
石橋:俺にすらね、スゴく優しく接してくれるしね。
中居:へ~。
石橋:うん。




『メジャーリーグ3』


『うたばん』(1996.12.3)
ゲスト:安室奈美恵

石橋:俺はまた来年行くからね。
中居:えっ、何?
石橋:『メジャーリーグ3』やるからね、来年。
中居:え!マジで!!
安室:本当ですか!スゴ~い。
中居:え、何で?何で?
石橋:「何で?」ってなんだよ(笑)。俺は評価されてるわけよ!
安室:わけよ(笑)
石橋:UNITED STATES OF AMERICAで!
安室:はははは(笑)
石橋:それでいつかオスカー獲るでしょ!オスカー獲って、それでスピーチする時に「今こうやってオスカー持ってますけど、昔二十歳の時オスカーのモデルと付き合ってました」みたいな。
安室:(笑)
石橋:それで日本人だけ(笑ってる)
中居:(笑)



撮影から帰国

『とくばん』(1997.10.7)生放送 NKホール
オープニングトーク

中居:タカさん、おかえりなさいですね。
石橋:そうなの。今日、さっき成田に着いて、今そのまんま成田からここだからね。
中居:うん。
石橋:まだ東京に帰ってないからね、僕は。
中居:え、まだ家とかに帰ってないんですか?
石橋:家帰ってない、まだ。
中居:直でこちらに来られたわけですか。
石橋:直で。
中居:あら!『大リーグ3』。
石橋:ええ。
中居:『大リーグ3』ですか。
石橋:『メジャーリーグ3』。
中居:『メジャーリーグ3』で。
石橋:今日帰ってきました。
中居:今日帰ってきました。おかえりなさい。
石橋:全日空のみなさんありがとうございました。
中居:そんな事はどうでもいいんですよ。
石橋:長谷川さん観てる~(カメラに手を振る)。
中居:(笑)



撮影秘話

『うたばん』(1998.5.5)
ゲスト:松田聖子

石橋:僕ねえ!僕ねえ!聖子さん聞いてくださいよ。
聖子:はい。
石橋:僕ねえ、去年のね9月にね、また『メジャーリーグ3』ってアメリカの映画撮ったんですよ。
聖子:ええ、ええ。
石橋:それで結構待ち時間とか多くて、キャンピングカーの中で待ってると、すっごい日本語が聞きたくなるんですよ。
聖子:ええ。
石橋:後から結構スタッフがロケで来たりなんかして、「何か欲しいものあるか?」。
聖子:ええ。
石橋:「聖子ちゃんのCD買ってきてくれ」つって。
聖子:本当ですか。
石橋:『BIBLE』をずっとかけてんですよ、僕。
聖子:本当ですか。
石橋:ええ。
聖子:ありがとうございます。

石橋貴明を支えた松田聖子のベスト盤CD『BIBLE Ⅰ~Ⅲ』。



日本公開

『うたばん』(1998.6.2)

中居:さて、『メジャーリーグ3』がそろそろ公開ということなんですけども。
石橋:ほう。
中居:もうハリウッド映画は、もうタカさんは3回目。
石橋:”出てる”という事は確かなんですけど。
中居:うん。
石橋:まあ、あの毎回言ってるんですけど、まあ、寅さんでいうところの佐藤蛾次郎さんのように。
中居:脇ですねえ!
石橋:ちょろっと帝釈天のシーンだけ出てくるみたいな。
中居:オイシイとこだよね。

映画の予告編を観る。

中居:打ってないだろ?
石橋:え?
中居:今のは打ってないだろ?
石橋:何?
中居:どういう機械使った!
石橋:今はねえ、時代がよくなってね、ああいうボールもね、コンピューターグラフィックになってるんだな。
中居:きったねえなあ!上手くみえるもん。
石橋:ちょっと今回は阪神の真弓を意識したフォームなんだよね。
中居:(バットが)顔より前なんだよね!
石橋:前にしてトーン(ナイスバッティング)。

『メジャーリーグ3』では、代打の切り札・真弓のバッティングフォームを意識。


海を渡って30年。
これらの映画に出演した事で、現役メジャーリーガーも石橋貴明を”Movie Star”として認識している。
そして、これからの野球少年も日本人メジャーリーガー”タカ・タナカ”を知る事になるだろう。


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