中心帰納との出会い(3)

1.無元塾、白石太志先生

前回の記事で書いた体験から数年の間、独自に色々と探究はしてましたが、やはり独学では厳しいものがあるのと、「意識の置き所」という微妙なところを探究するには、稽古相手にも理解がないと難しい(ここら辺は、間違えると忖度と暗示の方向に行くので注意は必要だが)というのもあり、
やはり、腰を据えて習ってみようと思って、再び成田伝合気道のことを調べたとき、なんと一元塾は解散になっていた!
これは、あの素晴らしい合気道が途絶えてしまったのか?とも思ったし、そもそもあの難しい合気道だから、続いていたとしても後継者は出ずに途絶える運命だったのかもと思い、PCを閉じようとしたとき、
成田伝合気道の一元塾の後継団体の「無元塾」の講習会が開かれることを知る。よし、これは行ってみようということになった。
無元塾代表の白石太志先生にさっそくメッセージを送り、講習会の日を首を長くして待つのであった。

▽白石太志先生と塩田将大先生のコラボ動画

2.中心帰納

その日の講習会には合気道から空手道、そのほかセラピストなどの多様な人がいらしてた。
今回、講習参加者に与えられた課題も、僕が前回一元塾を訪れたときに与えられた課題の天地投げ
▽無元塾の天地投げ

上の動画をまず見ていただきたいのですが、何か変わった特徴があると思わないでしょうか?
勘のいい読者ならお判りいただけると思いますが、相手が吸い寄せられているのです。
わたしも、白石先生の技を受けた時も、上の動画の受けを務めているOさんのように、吸い寄せられるように倒されました。

吸い寄せの技の図

上図に技の概要を示しました。前回の図のように、陽の作用と陰の要素を図示しています。
しかし、もう一つ重要な要素「中心帰納」を書き加えています。

これこそが最後の一ピースにして最重要なピース、陰と陽のバランスをもたらす基準「中心帰納」です。
上の概要図を見ていただけるとわかるように、この技は相手が踏ん張れば踏ん張るほど効きます。
また先生が突如として消え、間が詰まっている感覚は、前回遠藤先生から感じたものと一緒でした。
これは来てよかったと思ったものです。

3.すでに結構できる人がいる再現性

正直な話を言いますと、前回一元塾に伺った時、圧倒的にできる遠藤先生に弟子たちが四苦八苦しながら学ぶという印象が非常に強く、習ったからと言って出来るかどうかは正直よくわからない世界という印象が強かったのです。
ですが、無元塾に来て何が一番驚いたかというと、すでに体現できる人が数人いたことです。
以下は、白石先生から、中心帰納の指導資格を得た人達のリストですが、
体現できるという意味でいうと、もう数人いる気がします。

何が、今までと違うのか?

4.おそらく心法はこれからよりポップな世界になる。

無元塾の指導方法はかなりアップデートがされており、もちろん一元塾とは違うし、今の指導方法は、僕が初めて訪れた時とも違う。
具体的にどう違ってきているか?というと、

分解と中心帰納の強調だと思います。

成田伝合気道の技は、「意識遣い」「身体遣い」「イメージ」の三要素が同時に満足したときにあらわれるもので、この三要素は本来は不可分です。

しかし、この三要素を同時に満たそうとするのは、非常に難しいことで、最初からこれをやろうとするのは、梯子のない崖を登ろうとするようなもので、努力も必要ですが、才能の要素も大きく絡んでしまいます。

そこで、白石先生は
「腰で取る」「開き」などの身体遣い、「気発」「中心帰納」などの意識遣い、「廻り」などのイメージ
これらを分解して課題をあたえ、その変化を受けに感じ取ってもらい報告してもらい、変化による成功体験を小さく積んでもらうという方式に変えました。

これによって、今までまったく進まない稽古も小さくとも進むようになったんだと思います。

またもう一つ中心帰納の強調も大きな特徴で、

成田伝合気道には、前回紹介した「陰陽」、さらに他には「気、機、形」「抜け」「浮き」「游」「写し目」など抽象的でかつ意識遣いに深く絡む用語が数多くありますが、その中でも「中心帰納」を最重要項目として強調したのは、
「中心帰納」をしたとき、上で挙げた要素が過不足があるものの自動的に顕れるからだと思います。
また、技がうまくいったとき、結果的に「中心帰納」が現れることもあって、これは上記でも言った不可分性によるものだと思います。
ともかく、まずすべきことを一つに絞ったことで、とっつきやすくなったと思います。

しかし、その白石先生すらも、遠藤先生の存在がないと、体得はできなかったとおっしゃってまして、
つまり平井稔先生の実戦経験、長い修行から得た閃きが、成田先生のノート化で言語化され、遠藤先生がその抽象的な言語をかみ砕き実践し、白石先生がさらによりかみ砕くことで、
やっと一般人に理解が届くところまできたと言うことだと思います。

つまり、この武道は失伝するどころか、よりポップなものになりそうな予感がしております。
白石先生も「中心帰納」がある種のミームになったらいいなとおっしゃっております。

今の社会は色々と厳しいものがあります。何をしようとしても、そこに競争があり、意図せずとも我利我利に陥ってしまうものです。
でもその中にほんの少し「自分の間」を生み出せる方法があったらどうでしょう?
おそらく「中心帰納」はその助けになると思いますし、広げる意義があると思います。
そんな思いでこのブログをはじめました。

次回からは、稽古での気づきや技術的なメモ、日常生活での気づき、雑談などがメインになると思います。


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