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週刊プロフ

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中央アジアの炊き込みご飯「プロフ」を愛する人たちが、毎週プロフについてアツく語るマガジンです。
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2018年8月の記事一覧

トルクメニスタンにまつわるプロフの話3

4.2. プロフの食べ方 プロフの肉を分けるのは最高齢の男性の仕事。ビスミッラー(アラビア語で「神の御名において」の意。)と言って食べ始めるのも同様である。年配の人に対する尊敬の念を忘れないトルクメニスタンらしい習慣である。現代のトルクメニスタンでは一般的にはスプーンやフォークを用いて食事する家庭が多いが、プロフに限っては手で食べる方が美味とされている。トルクメンニスタンでは昔から「(スプーンで食べると)味がスプーンに残る(Tagam çemçede galýar.)」といわ

トルクメニスタンにまつわるプロフの話2

4. トルクメニスタンにまつわるプロフの話  前置きが長くなったが、本章ではトルクメニスタンのプロフの話を読者の皆さんにお届けしたい。ただ、私の知る限りのプロフ事情をご紹介することしかできないので、特に他国のプロフ事情と重複していることも多いと思うが、皆様がご存じのプロフ事情と対照しながら読んでいただけると面白い発見があるかもしれない。 4.1. プロフの作り方・地域性  プロフの説明はもはや必要ないと思うが、念のため説明しておくと、(中央アジアに関して言うと大量の油で)痛

トルクメニスタンにまつわるプロフの話

1. 序論  まず初めに断っておかなければならないことは、著者はプロフの専門家でも料理の研究家でもないということである。そのため、読者の皆様には浅はかな知識を露呈することになるかもしれないことをお許しいただきたい。ただ、トルクメニスタンという国に住む数少ない日本人として少しでも興味深い情報を集めようと努力し、情報の選択に関しては十分注意をしたつもりである。筆者はこの記事を拝読してくださっている皆様と同じ、もしくはそれ以上のプロフをはじめとした中央アジア料理のファンであるため、

また逢ふ日には、みんなでポロを!

 「あなたは、ポロ、食べたいですか?」  ひょんなことで知り合ったタタール人女性。彼女は、北京市内に暮らす大学生でした。  1996年夏、彼女の故郷であるグルジャ(中国語でイーニン)を訪問、彼女の家に泊めてもらったことがあります。ウルムチから北へ約700キロ、カザフスタン国境に近いその街には、ウイグル、カザフ、タタール、ロシア、漢、シベなど、たくさんの民族が暮らしていました。  彼女の家は閑静な住宅街にあり、ポプラ並木に囲まれた家々は美しい装飾で彩られていました。父親はタター

最初に油!次に入れるものは?

 「いい?たっぷり油を入れたら最初に玉ネギを炒めるのよ。色が変わるまでしっかりとね!」 そう教えてくれたのは、ウルムチの北部アルタイ地方出身の主婦でした。  「玉ネギ?そんなものは入れません。トルファンは葡萄の産地!入れるのは羊肉と人参、そして干し葡萄だけです!」 と、豪語するのはトルファン出身の男性留学生。  こんにちは。「グリシェンカフェ」のグリシェンです。  今回はポロ(プロフ)の作り方&食材にまつわるお話です。ポロを作る際、最初にたっぷりの油を入れるのは、皆さんも