見出し画像

輪島で誂えた名刺入れと、もうひとつの感動したこと。

石川県の震災で大変な状況。年末に能登の仲間と飲んだばっかりだったのでびっくりしました。今はそれぞれの情報からお手伝いできることを進めています。

以前、輪島で誂えた名刺入れに感動した短い話。

石川県輪島市で200年も前から木と漆の仕事にかかわってきた桐本さん。

各地の工芸の組合が「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」を定義したのですが、輪島塗として定義されている技法では下地塗り(中部分)にしか混ぜない輪島地の粉(能登半島で採れる珪藻土を焼き、精製された粉)を商品によって中塗りや上塗り(外部分)にも使う。

すべてを満たして初めて「輪島塗」が名乗れます。
(なので桐本さんは「輪島キリモト」で「輪島塗キリモト」と名乗れない)
石川県の輪島塗の組合が決めた定義技法とは違うということで『輪島塗』という名前を組合から許されない状況にあるものの、その伝統技法を大切にし、きちんと伝えていくことへの強い想いと姿勢に僕は感銘を受けています。

ちなみに石川の伝統工芸の定義は材料から道具や技法まで
他産地の工芸に比べてかなりストイックに定義している印象が僕にはあります。
(加賀友禅も材料や道具も技法厳しい。ちなみに京友禅は手描き、型友禅、インクジェットまで友禅の定義枠内)

僕自身も講演で現地伺った際に現地の方々との交流会の場で、従来の技法を進めてきた同業の方や周囲の方から桐本さんへの厳しいご意見も伺ったことがあります。
これまでの技術をきっちりそのまま伝えていくべきな伝承系の方々と新たなとりくみと流れを意識していくべき伝統系の考えは他の産地でも見かけますが、、、。

これを語りだすとなかなかの内容になるので、話は突然戻ります。

以前からいつか桐本さんところで誂えたいな〜と思ってはいましたが
まだ繋がりが浅かったこともあって遠慮しておりましたが、僕が講師を務めることになった石川県の開発ゼミ「Session石川」の一期生で桐本さんとしっかりつながる機会になりまして、現地に伺った際にお願いしましたら快諾!

で、2ヶ月後に私の会社ロゴのカラー"CEMENT BLUE"の紺色に仕立てた名刺入れが、『輪島キリモト』さんから届きました。

写真の名刺入れが入っていた箱を開けて、手にした瞬間、
驚きと感動がこみ上げました。

何がかと言いますと、封を解くと同時に箱の中に現れた「職人の誰が、どの工程を担当したのか」を記載したカードです(工房の職人個人の名前記載されているので写真は公開しづらいのでしませんが)通常、工房を知っていても、職人がどの工程を手がけたかまで知ることは難しいものです。

しかし、『輪島キリモト』さんはこのポイントにこだわり、製品に込められた人の手仕事を伝えています。その細やかな心遣いが、モノへの愛着を一層深めるものにしています。色々各地で工芸品を買うことがありますが、これには驚きました。

そして、ご存知の通り、輪島は震災の影響を受け、厳しい状況に直面しています。
僕の知っている工房も火災で全焼したりと悲しい話が入ってきます。

この機会に、残念ながら廃業せざるを得ない方もいるかもしれません。

僕らができることは、発信すること、次のステップを考えること、そして彼らの製品を買っていくこと、売っていくことだと思ってます。見えない声援や応援では復興は難しいです。

現在は対策対応フェイズで、できないことが多いかもしれませんが、
復興フェイズがやってきたら、猛烈に手伝いたいと考えています。
踏ん張ってほしいです。

年末に書き溜めていましたので、流れが変な文章でスミマセン。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?