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〜木の国・キラーニー編〜②悠久を感じる自然

①でひとしきりキラーニーでの感想を書いたのですが、アイルランドから戻り思い返す度にやはりこのキラーニーの地の事を書き残しておきたくなり、追記することにした。

前の記事で書いたように、キラーニーに残されアイルランドの人たちの手によって大切に保護されている自然は雄大で何年経っても大きな変化はなく、少しの時間その場で大自然を肌に感じただけでこの地がこの先も大切に守られ、ゆっくりと時間を刻んで行くんだろうと感じることができる。

「犬の散歩」のスケールが違う!(笑)

あまりにも雄大な自然の中に身を置くと、本当に言葉が出ない。
というより言葉が必要なくなる感じがする。ただ、風を感じて、時をゆだねているだけで満たされる。

ハープ工房からの帰り道、小雨が降っていたこともあってこのまま街に帰ってレンタルサイクルを返して宿に戻ろうか、と話していたのだが、自転車ごと車の後ろに乗せて送っていくよ、と車を出してくれた職人さんが連れて行ってくれたのは街ではなくキラーニー国立公園の入り口だった。

「せっかくキラーニーに来たんだから、ここはとてもいいから見ていくといいよ!」

と連れてきてくれたこの公園は、街まで歩いてきた際に遠くに見えていた湖の湖畔に広がる国立公園だ。古い古城跡や植物園、トレッキングルートやサイクリングルートがいくつもあり、地元の人も観光客も混ざって思い思いに散歩をしたりしている。

必要以上には補装しない道

公園に着いたと同時に雨脚が少し強くなってきていたが、またどうせすぐに止むだろうから散歩していこうか、という事に。

公園内に進むとすぐに馬車を発見してテンションが上がる三人(笑)

頑張り屋のお馬さん♪

近くの人に話しかけると、この先にある滝まで行って帰ってくる馬車のツアーをやっていて、大体40分ぐらい。一人15ユーロだよ、と教えてくれた。3人で45ユーロ(だいたい6,000円程)はなかなかの金額だがここはここでしかできない体験を買おう!という事で即決。湖畔を馬車に揺られて観光することにした。

馬車の乗り心地は思っていたより快適で、馬の蹄がカッポカッポとリズムよく響くのもまた心地いい。

滝への道は歩いている人たちもたくさんいて、馬車に乗っているとみんな手を振ってくれる。ちょっとしたセレブ気分?(笑)
すれ違う馬車には9人も観光客が乗っていて、馬が必死に馬車を引いていた。多人数で馬車をチャーターすれば一人当たりの金額が安くて済むシステムなので相乗りもよくあるらしいが、馬は大変だなぁ、と少し同情する(笑)

ガイドさんも早口なので理解半分(笑)

湖畔の景色はまた絶景の連続で、遠めに見える山も小高い丘もずっと見ていられる。馬車の終点は森の入り口のような場所で、そこから1キロほどは山道を歩いて登っていくとその先に名所の大きな滝がある。

アイルランド版『華厳の滝』!?

滝までの川沿いの道は苔むした岩や背の高い木々に囲まれ、日本の山とは少し感じが違う。本当にどこから妖精やエルフが出てきてもおかしくないような森の道だった。


川沿いの道を歩くだけでも気持ちがいい

キラーニーという町が僕にとって本当に特別に感じたのは、木々の生命力を感じる土地だという事もさることながら、自然と人とが本当にバランスよく生活していると感じたからかもしれない。
生活の充実や経済活動の効率化を求めて大都会がどんどん自然を淘汰していく土地は世界中にいくつもあり、逆に自然保護!と声高に叫んでいる人たちの中には目を血走らせて自分たちの生活を犠牲にしてでも自然を残せ!という人たちもいる。
でもキラーニーでは自然と共に人がごくごく普通に笑顔で生活し、自然の恩恵を享受し、そんな木々や湖や草花を当たり前のように敬い、大切にしている。もちろんそういう土地はここだけではないけれど、人間側の一方的な価値観でここの自然を残す残さないを決めているんではなく、まるで自然と会話をしながら生活しているような町。

樹齢を重ねた木から新たに芽生える木と苔

ぜひまた何度でも訪れ、その感じた自然と町と人々の歴史が悠久であることを何度もかみしめたいなぁ、と思うのでした。


少し黄色みがかった川
石の架け橋も年代物

by てんちょ

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