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ヴィブラートの話

少し、総論的な話が続いたので技術的な話を書いてみたいと思います。
ただ、総論的な考え方と言うのはどんな分野でも必要だと思いますし、身体の使い方等は文章で説明は出来たとしても実際演奏している時はそんな事全く考えていません。
と言うよりも考えなくとも出来る様にしておかないといけないもので、まあ、それが練習だと思います。

練習の2W1H)

練習には「What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)」という2W1Hが必要だと思います。

例えば「繰り返し」も非常に有効な練習の一つだと思いますが、「繰り返し」が方法のHowに相当するのであれば、その理由であるWhyが無ければ、無駄な時間になってしまいます。

アマチュアは仕事を別にしている為、プロの様に豊富な時間が有りません。
又、逆にプロは、それが仕事ですので時間は豊富にありますが、アマチュアと比較して膨大な量の楽譜を演奏しなければならないので、結局、何れにしても時間は有効に使う必要があります。

身体の使い方等の総論的な事は意図的に行う「繰り返し」と言うよりは「常時」頭の中の何処かの隅にでも置いておいて忘れない事が大切ですし、今から話をするヴィブラートにしても「繰り返し」は練習方法の一つなのですが、Whyと言う意識を持っている必要があります。

ちなみに、WHEN、WHO、WHEREも場合によっては必要となります。
この場合のWHENは時期や時間ですが、長い目で見た場合の時期=初心者の頃、楽器に慣れてきた頃など、長期的なスパンで見た場合に何をやるのか?というプラン的な事ともっと短期的に、本番を基準とした場合の譜読みの段階でやる事、ソロなら暗譜して弾くなら暗譜が出来る様になった頃にやる事、本番が近くなったらやる事等時間的に見てもやる事は異なります。

WHOは基本、自分がやる場合は不要ですが、誰かを指導する場合はWHOも必要となります。

WHEREは例えば、自宅で練習する場合、自宅以外で大きな音出しが出来ない場合、オケの本番前のステージでのルーティン等に相当します。

これらに関してはTipsとして今後の何処かで書くと思いますが、今回は割愛します。

ヴィブラートの基本的な話)

ヴィブラートに関する話題が上る場合、一番多いのは「掛ける場合は音程に対して下に掛けるか上に掛けるか」という事かと思います。

下の絵で音程を横線とすると、基本は一番上の掛け方、即ち、一番高くなった時に正しい音程となる様に低い方へ掛ける(振る)と言われます。
これは人間の耳が高い音と低い音が並んだ場合、高い方を聴くからと言われる人も居ますが、これに関しては自分は専門でない為良く分かりません。

実際に動かす場合、チェロやコントラバスだと押さえて上側、高弦だと手先側というのでしょうか。

これに対して、真ん中の絵の場合だと正しい音程に関して上下するので音程が安定して正しく聴こえないと言われますし、一番下の場合は、上ずって聴こえると言われます。

自分はこの3つの何れもアリだと思います。

つまりケース・バイ・ケースです。

コントラバスの名手ゲーリー・カーは以前インタビューか講演の中で、ハイポジションでは時には一番下も有り得ると言ってました。

確かに正しい音程に対してやや高めに振る事で明るく聴こえると思いますし、音が低いコントラバスの場合は尚更だと思いますし、チェロでも有効な話しでしょう。

これはスケール練習の記事で紹介している「Drone」と言う練習方法の中で確認する事ができます。

実際、ヴァイオリンの人と一緒に弾いてるとたまに「高いなぁ」と思う場合がありますが(人が居ますが)、ヴァイオリンはほんの僅かでも音程が変わりますし一番下にある様に、ヴィブラートを手先では無く手前へ掛けてる場合、音が高くなりやすいと思いますしヴァイオリン等は高めになりやすいと思います。

チェロで弦楽四重奏をやったりコントラバス1本で室内楽をやる場合、このヴァイオリンの音が高くなる傾向を把握しておいて、自分自身は高めにならない様に敢えて低めに音を取って全体が上に行き過ぎない様に心掛けてるのですが、その習慣が長い為、チェロでソロ等を弾くと「少し低いですよ」と良く師匠から言われます(笑)

自分の中で「あーね」と納得しますが、自分自身やや落ち着いた低めの音程が好みな様ですが、ソロ等ではやはり高めに取る方が良い様です。

話が逸れましたが、逆に、実際弾いてみるとわかりますが、ネックポジションの場合低弦は低い方へ振る方が楽ですし、ハイポジションになって親指が指板の上に出ると逆に低い方へ掛けるのは難しくなります。

又、真ん中の図の場合も、例えば(あまり良くは無いのですが)、パッと音程を取った時にやや低かった、やや高かったと言うケースでは振りながら調整して行く場合もありますし、高い音でやると多少下品な感じになりますが、チェロのC線やコントラバスのE線等の低い弦の場合等は敢えて振り幅を大きくして振動(響き)を増やすして真ん中の図の様に音程のポイントを敢えて明確にしないと言う方法も表現的には有効です。

つまり図の様に杓子定規に考える事そのものがナンセンスであり、音程に対して振る位置や振り幅はケース・バイ・ケースだと思います。

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