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どちらの句点を使うべきか

 前回は「どちらの読点を使うべきか」という記事を書きました。「句読点」という言葉があるように,句点と読点はセットです。今回は句点について書きます。


「。」と「.」

 句点(くてん)とは,「。」(マル)と「.」(全角ピリオド)のことを指します。これらは日本語の文の終わりに用いられます。読点(「、」と「,」)とは事情が異なり,句点に関しては圧倒的に「。」を使う方が多いと思います。「.」があることをまったく知らなかったという方がいらっしゃるかもしれません。私も主に「。」を使っています。「.」は主に理工系の論文で使われているようです。

 前回,Microsoft IMEの「詳細設定」の「全般」タブで句読点の入力設定ができるということを取り上げましたが,その4種類(「、。」「,.」「、.」「,。」)のうちで,「、.」を使っている人を私は見たことがありません。理論上は句点と読点の2×2の組み合わせで4種類になりますが,実際には「、.」はほぼ使われておらず,「、。」「,.」「,。」のいずれかから選択して使われていると思われます。


主に「。」が用いられている根拠

 再び,「公用文作成の要領」を参照します。句点については「。」を用いるように書かれています。

句読点は,横書きでは「,」および「。」を用いる。

(「公用文作成の要領」(内閣閣甲第16号依命通知)より引用)

 仮にここで「。」ではなく,「.」を用いると書かれていたならば,現在の句点表記の慣習に大きく影響していたのかもしれません。さらに,前回と同様に,文化審議会の第72回国語分科会の資料も参照します。

学術的・専門的に必要な場合等を除いて、句点に「.」(ピリオド)は用いない。

(「「公用文作成の要領」の見直しに関する国語課題小委員会の検討状況(案)」より引用)

 このように,「.」の位置づけは「,」と異なっていることがわかります。読点と比較すると,句点は表記の方法について衝突が少ないと考えてよいでしょう。

 なお,日本心理学会の『執筆・投稿の手びき』(2015年改訂版)を参照すると,句点には「。」を用いることになっています。心理学の参考書では,主に「。」が使われています(「.」を使っている参考書もたまにあります)。


 句点に関しては,原稿の執筆ルールに従って「.」を使用する必要がある場合を除き,基本的に「。」を使えばよいということになります。英語ではコンマとピリオドの組み合わせなので,日本語でもこれに合わせて「,.」の組み合わせを使うという考え方は,統一感があってアリだとは思っています。ただし,英語では半角に,日本語では全角にすべきでしょう。

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