[#5データベース研究]レセプトにはどんな種類があるの?
こんにちは、はるです。
前回まで2回に分けて、RWDの種類について、特にデータベース研究に用いられる頻度が高いデータを中心にまとめました。
今回の内容はその中で特に中心的なデータとして、ご紹介したレセプトデータについてどんな種類があるのか?という点を述べていきたいと思います。
1. レセプトの種類
おさらいですが、レセプトは医療機関が保険者に対して、診療費の保険者負担分を請求するための、いわば請求書のようなものです。
このレセプトには5つの種類があります(以下は正式名称ではありません)。
1. 医科入院外レセプト
・・・DPC対象外のクリニック、病院の外来受診時に作成
2. 医科入院レセプト
・・・DPC対象外のクリニック、病院の入院時に作成
3. DPCレセプト
・・・DPC対象外の病院入院時に作成
4. 調剤レセプト
・・・薬局で処方時に作成
5. 歯科レセプト
・・・歯科医院受診時に作成
以下に医科入院レセプトの見本を載せましたが、こんな感じのものです!笑
他のレセプトのサンプルが見たい方は以下のサイトで見ることができるので、確認してみてください。
https://www.ssk.or.jp/yoshiki/yoshiki_01_h30i.html
2. レセプトにはどんなことが書かれている?
ここでは代表的なレセプトとして、医科レセプトを焦点を当て、どんなことが書かれているかをまとめます。
レセプトに書かれていることは大きく分けると以下の5つです。
1. 患者情報(性別、年齢etc)
2. 施設情報(診療科、病床数etc)
3. 傷病情報(傷病名、診療開始日、診療実日数etc)
4. 医薬品情報(医薬品名、投与量、投与日数、投与回数etc)
5. 診療行為情報(検査項目、処置・手術情報etc)
この中でデータベース研究でよくアウトカムに用いられるのは、後半の3つですね!
特にMA部の研究であれば、傷病や薬剤のデータで対象患者や評価項目を組み立てることが多いので、この2つのデータの特徴に関してはぜひ理解していただきたいと思います(別のnoteにまとめます)。
3. レセプトの限界
レセプトデータには上記のようなデータが含まれていますが、データベース研究のでっザインを考えるときに、必ず考慮しなければいけないのが、レセプトデータによる研究限界です。
代表的なものとして、「レセプトに記載される傷病名は、実は患者が発症していない病名の可能性がある」ということです。
いわゆる「保険病名」というもので、ある医薬品を処方するときに保険適用にするために効能・効果が認められている傷病名が記載されるケースがあります。
また、癌の疑いがある患者に対して、検査を実施したが、結果的に癌ではなかったというケースでも傷病名に癌が記載されたりします。
このように実際には患者が発症しているかがわからないというのがレセプトを用いた研究では限界点として残ります。
また、医薬品を処方されている患者が実際に服用しているかが分からなかったり、医薬品が処方されていても、なんの疾患に対して処方がされたという情報はレセプトでは入手できません。
対象とする領域によって、影響度合いは異なりますが、例えばアドヒアランスが低い疾患を対象とする場合には前者の影響は見逃せず、ステロイドの処方を見たい場合は適用範囲が広いので後者の影響は見逃せなかったりします。
レセプトデータを本来、保険請求を目的に作成されたデータのため、このような限界が生じることは仕方ないことだと思います。
いかにこの限界点を踏まえた上で、研究デザインを設計できるか、またデータベースを選定できるかというのが、データベース研究を行なう際の最も重要なポイントと日々業務を行いながら感じるところです。
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