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「色盲」について当事者と世間一般での認識の違い


はじめに

タイトル通りではありますが、色盲 当事者である私と、世間一般での間に、色盲について、かなり認識の違いがあると感じたためnoteを使って、少しでも正しい認識を発信しよう、ということが目的です。
また、お仕事などで資料作成やデザイン等をされている方も多いかと思いますが、そのような方の制作の手助けにもなれば幸いです。

が、私は専門科でも医療従事者でもない、ただの色盲一般人と、言うことを念頭に置いてのんびり読んでいただければと思います。

※(厳密には違うそうですが)現在では、色盲は色覚異常と呼ばれることが多いので、こちらでは以降、色覚異常と呼ばせていただきます。

色覚異常って?

概要

色覚異常とは、簡単に言うと
『正常とは異なった色の感じ方・見え方をすること』の診断名です。
ここで、ん?となった方は、いわゆる世間一般的な認識を持たれている方だと思います。

全盲という言葉はご存じですか?色覚異常と比べると認知度の高い言葉だと思っていますが、こちらは全く目が見えない症状のことを指します。
その全盲の色版、つまり目は見えているけれど、色は全く分からない、白黒の世界が広がっているんでしょ?これが、多くの人が勘違いしている部分だと思います。

しかし、この認識は間違っているのです。では、どのように間違っているのか、見ていきましょう。


認識の違い

答えからいきますが、色覚異常の大部分は色が見えていないわけではなく、色は認識できているが、正しく色を視認できていない、区別がつきづらい色がある、というのが正しい認識です。

下記画像のように、世界が白黒で構成されているように見えるわけではなく、皆さんと同じように私たちにも色は見えています。ただ、視認できる色の中で区別のしづらい色の組み合わせが存在します。

じゃあ、なんで区別のしづらい色があるんだ…?と、気になってくれたあなた、ありがとうございます。
ページはそのまま、下にスクロールで読み進めてください。


色を認識する仕組み

人間が、色を認識できているのは私たちに備わっている錐体(すいたい)細胞のおかげです。
人間の目には桿体(かんたい)細胞と錐体(すいたい)細胞という2種類の感覚細胞が備わっています。この、2つの細胞はどちらも眼に光が入ったときに、それを刺激として受け取る視細胞の仲間です。どちらも網膜の中に存在しますが、それぞれが異なる役割を持っています。

桿体細胞は暗いところでのみ働き、主な役割は光の明暗を感じ取ることです。私たちが、明るくても、暗闇の中でも物の見分けをつけることができるのはこの桿体細胞の働きのおかげです。
対して、錐体細胞は明るいところだけで働き、色彩を感知する役割をしています。また、錐体細胞はさらに、L(赤)M(緑)S(青)の3種類に分けられ、どのような波長の光を主に感じ取るかで役割が異なっています。

つまり、この3種類の錐体細胞が揃って初めて人は正しく色を認識できるというわけです。言い換えると、私たち色覚異常を持つ人は、この3種類の錐体細胞が少なくとも1つは十分に働いていないことになります。

L,M,Sの損失具合によって認識のしづらい組み合わせや、色の見え方が以下のように異なります。

※団体、医学的分野、年代で呼称が異なるので大変分かりにくいですが..

ぱっと見、いろんな種類があるな…と感じると思いますが、多くみられるのは、赤と緑を感じる視細胞に異常がある型(水色背景)で、男性に多く見られます。(男性に多く見られる理由もちゃんとあるのですが、長くなってしまうのでここでは省略します)


区別しにくい色の組み合わせ

下記画像の通りなのですが、隣り合わせた色(例:青,紫 / 水色,ピンク)に加えて、筆者はP型、D型の「緑と明るい茶色」、「赤、茶色」なども区別ができません。

C型:正常色覚
P型:赤を感じる視細胞に異常あり
D型:緑を感じる視細胞に異常あり

出典:「カラーバリアフリー 色使いのガイドライン・サインマニュアル Ver.2 より伝わりやすい情報にするカラーバリアフリーを目指して」神奈川県(平成30年6月)P4

当事者になってみないとわからない感覚なのかもしれませんが、不思議なものですね。
※こちらの画像は、あくまでもシミュレーションの一環として疑似体験するため物である、とご理解願います


おまけ

生活で感じる不便

日常生活で私が実際に不便に感じたこと、また事例としてよく紹介される内容を何点かおまけとしてこちらでも紹介します。

1点目、お肉です。焼けているのか、まだ半生なのか区別ができません。何度焼けていないお肉を食べてきた、食べさせてきたことか。。。

2点目、野菜です。野菜といえば鮮度を気にしますよね。筆者は私生活99%は自炊なので、よく野菜を買いますが、多分スーパーに腐った野菜が置いてあってもわかりません。。。

3点目、信号機です。最近の信号機は、色の認識がしやすいよう様々な配慮がされていますが、全国への展開は追いついていません。

3つ目信号は、青は左、黄色は中央、赤は右、と位置で区別がしやすいですが、一つ目信号だと筆者は赤と黄色の区別ができないので、どちらだろうが関係なく必ず一時停止するようにしています。



皆さんから「不便」を募集したい話

これは、自身の体験談からですが、身の回りで「色」に関する不便は自分でも気が付いていないパターンがほとんどです。
今回、おまけで紹介した3つの例も実際に私が他人から指摘を受けて気が付いたことです。
なんか信号わかりにくいな~、なんか肉焦がしちゃうな~、なんかこの野菜味が落ちてるような…?
指摘を受けるまで、そういうもんなんだろう。と、思っていたことが実際には、自分の目に問題がありました。

私たちが、できるだけ不便を少なく生活するためには自分が持っている特性をよく理解する必要があります。
そのため、もしかしてこれ色覚異常持ちだからなんじゃ…?という事例があれば是非教えて頂きたく思います。


まとめ

色覚異常というものについて少しは理解していただけたでしょうか。
おまけで紹介したように、致命傷にはなりませんが、不便だな…と感じることは、生活の中にたくさんあります。

より多くの人に、この障害についての知見が広がり、私たちにもっと優しいデザインなどが今後さらに広がっていけばうれしく思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました、セシルでした。


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