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大量の缶詰がスーパーに並んでいるわけは

缶詰、といえば日本のスーパーにも置いてあることは置いてあるけど、大量に並んで棚を埋め尽くすということはあまりないと思う。でも、フィリピンのスーパーでは缶詰はメインの商品だ。しかも種類が多いかというとそうでもなくて、同じようなイワシのトマトソース煮の缶詰がズラーっと大量に並んでいるという有様だ。

また別の棚には、フルーツミックスの缶詰がずらーっと並んでいるし、コンビーフやスパムもずらーっと並んで棚を埋め尽くしている。缶詰でなくても、オイルサーディンの瓶詰めがズラーッと並んでいたりと、とにかく缶詰王国の有様なのだ。
果たしてそんなにたくさん缶詰を買う人がいるのだろうか? と不思議に思うのだけど、しばらくフィリピンに暮らしていると、なんとなく理由がわかってくる。

フィリピンは(あるいはセブだけかもしれないけど。いや、きっとマニラだって同じだと思うけど)とにかく停電が多いのだ。

日本では停電なんて数年に一度もないけれど、ここではひどい時は数ヶ月に一度停電がある。そして停電で一番困るのは、もちろん冷蔵庫が使えなくなることで、アイスクリームや氷はもちろん、冷凍食品も肉も魚もみんなパーになってしまう。
これは恐ろしい!

だから、外国人が住むようなコンドミニアム(フィリピンでは日本でいうマンションのことをこう呼ぶのだけど)には必ず自家用発電機が備わっていて、停電になったらすぐに作動するようになっている。

とはいえコンドミニアムに住めるようなフィリピン人はまずいないので、結局、大多数の人たちはスラムのような家に住むことになっていて、そういう所に住む人たちはしょっちゅう停電と付き合わなければならないし、そもそも冷蔵庫を買うお金もないしで缶詰、瓶詰め頼りの生活を送ることになってしまうようだ。

ちなみにフィリピンの貧しさは日本人の想像を超えている部分があって、ある家族は子供が何人もいるにも関わらず、夕食はサーディンのトマト煮ひと缶というような生活を送っている人も少なくないらしい。

ちなみにサーディンのトマト煮にはサーディンは4匹しか入っていなくて、あとはケチャップベースのソースが入っているだけだ。それを5、6人くらいの家族で夕食として食べるらしい。

果たしてそれをどうやって分けるのか?

考えただけでも涙が出てきそうだ。

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