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元カノの死

僕の元カノが死んだ
もう10年前の事
思い出してしまった
は な (これ実名) とは職場で知り合った
僕は 旅館の支配人
彼女は フロントのアルバイトで一緒に働いていた
はな はよく気が付き とても優しいとても良い娘だった
フロントにいる頃は 女性として見ることはなかった
3年ほど一緒に仕事をし 突然アルバイトを辞めてしまった
数年後 ひょっこり事務所に現れ また雇ってほしいと言う
ちょうどその時期 人手不足だったので 来てもらうことにした
フロントではなく 仲居さん として
宿泊業の方はよくお分かりだと思うが とても気を遣う仕事
フロントの仕事もよくできたが仲居さんの仕事にもぴったりだった
僕は 特に大切なお客様や込み入ったお客様は彼女に任せていた
彼女に任せておけば間違いなかった
そんな は な が2年もしないうちに また辞めてしまった
やめる2か月前のクリスマスイブに僕たちは付き合い始めた
たまたま2人の休みが合い 居酒屋で酒を飲んだ
待ち合わせの店で待っていると はな は手に何か持ってやってきた
来るなり はい これ とニコニコして僕にその物を手渡された
何?これ と見てみると メリークリスマス の文字が・・・
僕は しまった 今日はイブだった
あまり女性として意識していなかった彼女にクリスマスプレゼントを
買うという事を忘れていた
僕は ごめん お前とは 所謂そういう関係じゃないから今日はプレゼントを持ってきていない と正直に話した
今考えれば なんてデリカシーのない気の利かない男なのだろう
2時間ほど仕事の話や他愛のない話をして店を出た
翌日2人とも休みだったので この後どうするということに
は な のマンションはその店から歩いて10分
コンビニでワインとケーキを買い は な のマンションで2次会ということになった 
この時点でも は な のことは女としての意識はほぼなくささっと飲んで早めに帰ろうと思っていた
彼女の部屋に入り少し酔いが回ってきたころ 不図と会話が途切れ沈黙が
すると は な は僕の目を見つめ 「私じゃダメかな?」と言った
「え?なに?ん?どういう事?」って僕は聞き返してしまった
すると は な はもう一度「私じゃダメかな?」と同じことを言う
その時点でやっと僕は理解ができた
年が離れていたこともあり全くそういうことを考えたこともなく
正直僕は困ってしまった
以前僕は同じような関係性の女性と付き合いそれが原因で大切な職場を後にしている もう二度と同じ職場 同じ業界の人とは付き合わないと決めていたから でも結局 は な の魅力に負けてしまい付き合うことに
それから2年ほどして 地元紙のお悔やみ覧で は な の死を知ったのだ 結局僕たちは半年もしないうちに 別れてしまっていた
原因は お互いの我儘
何故もっと優しくしてあげられなかったのだろう
何故もっと は な の話を聞いてあげられなかったのだろう
なぜ なぜ???
後悔しかない


は な の死因は 自殺 だった


思い悩んでしまったのだと思う
別れてから誰かと付き合っていたかどうか僕は知らない
その日は  ボーっとして仕事が手に付かなかったのを
今でも覚えている


人の命は儚い


僕は 今もステディな関係の人はいない
怖いのだ 大切な人を失うのが
だから当然 ひとり身だ

これからも 多分 誰かとそういう関係になることはないのだろう

でも 最近 パートナー はいてもいいかなと思えるようになってきた

何時かその日が来るまで自分磨きに ・・・

その人には うんと優しくできればいいな

は な にしてあげられなかった分 その人には無償の愛で何時までも

繋がってゆければいいな と思う

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