中日遊撃手問題

 昨年の10月末に行われた立浪和義監督の就任会見で目指す野球を「センターラインを固め、守り勝つ野球」と言っていたことを覚えてらっしゃる方はいるだろうか。そんな中、ここ数年レギュラーに鎮座していた中堅手の大島洋平と遊撃手の京田陽太が故障離脱。早くも開幕時には絶対的レギュラーと言われていたセンターラインの2人が離脱してしまったが、京田が座っていた遊撃手は絶対的レギュラーを二軍に落とすことができるほど選手層が厚くなってきたということではないか。今回は名手揃いの中日遊撃手にハイライトを当てよう。

遊撃手復帰の根尾昂はやはりスター

 昨年より出場機会のほとんどが両翼となっていた根尾昂が遊撃手再転向。二軍では水を得た魚の如く痛快な打球を連発しており、恐らくすぐに一軍再昇格を果たすのではないかと予想している。

 根尾の魅力は紛れもなく堅実な守備である。強肩から繰り出される一塁送球は速く、正確であり、文字通り矢のような素晴らしいものである。さらに、外野挑戦が功を奏してか、左翼手とどちらが取るかというテキサス・ヒット性の打球を背走で好捕することが目立つのは紛れなく成長した点だろう。涼しい顔でファインプレーをこなすことが多く、井端弘和のような雰囲気のあるいぶし銀の選手である。投手として、「プロ初登板」を果たした直後にチーム内のコロナ禍も相まって一軍昇格したこともあり、京田のいない間に何とかレギュラーを奪取し、同郷の高木守道や立浪監督に次ぐミスタードラゴンズになって欲しい。

ようやく力を発揮しつつある溝脇隼人

 溝脇が10年目のベテランとなり、ようやく自分の持ち味を発揮しつつある。立浪監督に変わり、野球人生を大きく変えた選手の1人である。

 昨年までの溝脇は、身体能力と野球センスはバツグンだがレギュラー奪取まであと少しという所で故障や不振に陥るという、実力よりも体力やメンタルの問題で燻っていた選手だった。そんな崖っぷちとも言える選手を立浪監督はスーパーサブ、代打の切り札や制裁を欠く京田の守備固めとして起用し、これが大成功。スタメンとしてではなく、シブい仕事人として衰えの見える堂上直倫の後継になることを願っている。

三ツ俣大樹、堂上直倫も…


 近年の中日守備の要は間違えなく堂上直であるが、前述の通り昨季後半から守備、特に遊撃手に就いた時に精彩を欠く場面が目に付くようになっており、着々と世代交代の波に飲み込まれているといった感じだ。

 そこで、昨季より力をつけているのが三ツ俣だ。内野手の全ポジションを高いレベルでこなし、打撃は期待できないが犠打や進塁打の際のミート・バッティングは天才的な玄人好みの選手だ。前述の溝脇はここ1番で、三ツ俣はその前のお膳立てをする必殺仕事人として定着してほしいのだ。ビッグ・ベースボールが流行している昨今の球界だが、広いナゴヤドームを本拠地としている中日は繋ぎの野球が浮上の必要十分条件なので、こうした選手は活躍しなければならないのだ。

最後に

 長々と書いたが、僕は基本は根尾、試合展開次第で堂上直、三ツ俣、溝脇を登用して欲しいと思っている。また、京田復帰後もこれを続けてほしい。根尾には京田のような安定感はないが、チームを勢いづける爆発力があるはずだ。

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