立浪監督でどうなるか

 ドラゴンズファンなら誰もが喜ぶ朗報というのは久しぶりなのではないか。久しぶりの純血監督であり、数々の名将の下でプレーした中日の生き字引である。引退後は人気解説者でもあったが、やはり野球選手にスーツは似合わない。ドラゴンズブルーのユニフォームに袖を通すことになりそうな新監督に望むことを考えよう。

コーチ育成が急務

 NPBの人事は流動的となっていて、巨人の石井琢朗三軍監督やロッテの吉井理人投手コーチは色んなチームから引っ張りだこで有名だが、ロッテの森脇浩司総合コーチや平石洋介打撃コーチのように1度一軍の監督として采配を振るった人物でもところを変えて指導者となることが近年目立つ。近年は純血主義のチームは少なくなり、出身は問わずいい人材をどれだけ集められるかという方向にNPB全体で進んでいる。
 今回もそうだが、監督が変わってしまうとコーチ陣が大きく変わってしまうのが中日である。中日新聞社の派閥争いは仕方ないにしろ、所謂星野チルドレンが阪神に行ったり、落合博満監督が招聘したコーチが監督が変わるといっせいに退団してしまったりしては戦力が安定しないのは今までの中日の歴史が物語っている。
 もちろん首脳陣の血の入れ替えは必要だ。長期政権は今年の栗山ハムのようにチーム全体の堕落を招いてしまう。しかし、若手の頃から中堅になるまでの間ずっと選手を見て、スランプに陥った時に相談できるようなコーチも必要だろう。今季、主将を務める高橋周平が絶不調に陥った時にプロ3年目から指導を受けている波留敏夫打撃コーチに指導を仰いだ結果、いきなり猛打賞を記録しそこから打率がうなぎ登りとなったのは記憶に新しい。投手では小笠原孝コーチがその役割をになっているだろう。
 このように、若いコーチを関東でも関西でもない名古屋という土地柄で縛り、長期的に指導を任せることも大事なのではないか。そのために英智外野守備走塁コーチ、浅尾拓也二軍投手コーチ、武山真吾二軍バッテリーコーチは名古屋の出身でもあるので意地でも残しておきたい存在である。コーチが流動的となった今だからこそ、有望な選手を叩き上げることのできる若いコーチを攻守走全ての分野で揃えてもらいたい。

二軍監督には次期監督を

 近年、将来の監督候補に二軍監督を任せ、経験を積ませて満を持して一軍へ、という流れがトレンドである。し烈な優勝争いを繰り広げている高津臣吾ヤクルト監督、矢野輝弘阪神監督は二軍監督上がりであり、巨人では阿部慎之助二軍監督が将来の監督というプランが噂されている。
 中日には残念ながらその流れは全くない。森繁和ヘッドコーチが監督を務めた前例があるが、生え抜き監督を呼ぶには乏しすぎる戦力だったため外様監督の森にドロを被らせたという印象がある。「推しも押されぬ名選手に二軍監督を任せるのはどうなのか」という考えからこのような伝統が産まれているなら一刻も早くこの伝統を打開してもらいたい。
 個人的には次期監督は井端弘和いいと思う。巨人や全日本で指導歴があり、純血ではないが生え抜きの監督として培われた野球脳を存分に発揮してもらいたいのだ。

YouTubeで言っていた二塁打意識を

 CBCYouTube公式チャンネル「燃えドラCH」で井端弘和と立浪和義の対談で言っていた「長打=二塁打」は今の中日打線にピッタリだろう。単打4本で1点をとる野球は見どころがほとんどないが、1つ塁を進めると得点効率は全く違うものだ。また、ホームランを狙う打撃は大島洋平、京田陽太のような打率を残すタイプの選手には無関係だが、二塁打意識となると1つでも先の塁を狙う積極的な走塁が見られるだろう。
 もちろん、力のある打者は必要である。外国人を取るべきであるが、未知数なのが外国人補強の短所である。国産の大砲となると石川昂弥、石垣雅海、郡司智也の3人だ。入閣が噂されている中村紀洋、和田一浩の両氏のような大打者になってもらいたい。

最後に。サラリーマン野球の払拭なるか

 ここ数年中日はこう言われている。大ピンチを抑えても派手なガッツポーズは無し、ホームランを打っても淡々とベンチに戻るのは果たしてプロ野球の魅力があると言えるのか。ポーカーフェイスで有名な落合博満監督時代でも選手にはド派手なガッツポーズがあった印象だ。ヤクルトの田口がピンチを抑えて相手打者を睨みつけてガッツポーズをしたことが物議を醸したばかりではあるが、阪神の「ラパンパラ」のようにお祭り騒ぎがたまにはあってもいいと思う。そんなシビれる場面が1試合に何度もあるミラクルドラゴンズの再来に期待したい。

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