ワイシャツのシミ
夫のワイシャツにボールペンのシミがついて、一晩洗剤のペーストに漬けていても落ちなかった。そもそも、一度洗濯機で知らずに洗って気がついたシミ。除光液も試したけど、ベタっとついたボールペンは取れない。もう濡れてしまって、このまままた洗濯機で洗っても落ちるはずない。そうだ、エンパイアーに持っていこう。
そうして、自転車でエンパイアーに持って行った。思ったより高くないと思う。
その話を、仕事終わりに一緒にラーメンを食べに行った帰り道話した。すると、
「あのワイシャツもう着倒したからもう良かったのに」
と夫が言った。
すごい悲しくなった。エンパイアーに急いで自転車を走らせた私がかわいそう、というのが本音だった。除光液でやったり、全部余計なことだったのかと思うとひどくむなしかった。
すぐに私は露骨に落ちこんでしまった。大人げないし、情けないし、迷惑なのに。
そのあと2人でスーパーに寄り、バスに乗って帰る間、夫は明らかな私の落ち込みようをからかい続けていたが、なかなか頭は切り替えられない。
褒められたいだけ、勝手にやって、ありがたがられない。まさに"良かれと思って"だ。
しかも、前日夫ももう十分着たからというようなことを言っていたようなので、なんでそれが頭に入ってなかったのか、悔やまれる。
こうしたら喜ぶだろう、は、たいてい喜ばれない。"褒められたい"が動機なら、もうやめようと思う。
お読みいただきありがとうございました。