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文書から考える北朝鮮によるEMP脅威への対策

「NORTH KOREA: EMP THREAT」(Dr. Peter Vincent Pry Executive Director EMP Task Force on National and Homeland Security June 6, 2021)では、北朝鮮がEMP(電磁パルス)攻撃による脅威をもたらす可能性について詳細に述べられています。EMPは、高高度核爆発や非核EMP装置によって発生する高エネルギーの電磁波で、電子機器や通信インフラに深刻な影響を与えます。本書は、北朝鮮の核および非核EMPの開発とその潜在的な影響を取り上げ、米国や同盟国の脆弱性を指摘しています。また、EMP攻撃が発生した場合の社会インフラへの影響、具体的には電力網の停止や通信の遮断、経済的混乱などについても詳述されています。

さらに、EMP攻撃に対する防御策として、電磁シールド技術やインフラの冗長性を確保する必要性が強調されています。具体的には、重要インフラのEMPハーデニング(耐久性強化)や、システムのバックアップ計画の導入が求められています。

北朝鮮のEMP能力

  • 北朝鮮のEMP(電磁パルス)攻撃の能力について説明しています。特に、KMS-3およびKMS-4衛星の軌道が、米国に対してHEMP(高高度EMP)攻撃を仕掛けるのに最適であることが強調されています。また、北朝鮮がロシアのスーパーEMP兵器の技術を入手し、それを基にEMP兵器を開発している可能性についても言及されています 。

北朝鮮の衛星とミサイル

  • 北朝鮮が保有する弾道ミサイルと衛星の一覧が提供されており、これらがEMP攻撃を実施する能力を持つかどうかが検討されています。北朝鮮の衛星KMS-3およびKMS-4は、核兵器を搭載していれば、米国全土をEMP攻撃の範囲に収めることが可能とされています 。

EMP攻撃の影響

  • EMP攻撃が社会インフラに与える影響について詳述されています。特に、電力網、通信システム、そして交通機関への影響が取り上げられ、最悪の場合、広範な停電や通信途絶が発生し、社会的混乱が引き起こされる可能性があると指摘されています 。

北朝鮮のEMP戦略

  • 北朝鮮がEMP兵器を戦略的に利用する可能性について述べています。この章では、北朝鮮が米国や同盟国に対してEMP攻撃を行うことで、国際的な力関係を有利に保とうとする意図があると分析されています 。

米国とその同盟国への提言

  • この章では、EMP攻撃から防御するための対策が提案されています。特に、電力網の強化、システムの冗長性確保、そしてシールド技術の導入が重要とされています 。

日本で足りていないことのまとめ

本書の内容から導き出される日本での不足点として、以下が考えられます。

  1. EMP対策の未整備:日本においては、EMP攻撃に対する認識が低く、具体的な対策が十分に講じられていない点が挙げられます。特に、電力網や通信インフラに対するEMPハーデニングが進んでいないため、緊急時に重大な影響を受ける可能性が高いです​​。

  2. デジタル化とアナログの併用不足:日本はデジタル化が進んでいる一方で、アナログシステムとの併用が十分に考慮されていないため、EMP攻撃や太陽フレアなどの自然災害に対して脆弱です​。

  3. 防衛対策の不十分さ:EMP攻撃に対する防衛的視点での対策が不十分であり、特に法的・規制の整備が遅れていることが指摘されます。国際標準や規制の導入、国際協力の強化が求められます​​。

これらの不足点を踏まえ、日本は今後、EMP対策を含むインフラ保護の強化や、デジタルとアナログのハイブリッドアプローチの導入を進める必要があります。

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