見出し画像

60点日記 「なみちゃんとすべり台」


オチない、話の筋を気にしない、誤字脱字も気にしない、「60点日記シリーズ」。台所でのハミングのような、ゆるゆるとしたふつうの日記です。更新も不定期、のんびりです(かなり)。


私は公園の、こういうすべり台が大好き。
正式名称は、「コンビネーション遊具」っていうらしい。

画像1

昼は子どもたちのもの。
でも、今夜は私たちのもの。



9月末、8年ぶりくらいに会った人がいる。名前は「なみちゃん」。本名は「岸田 奈美」さん。とってもすごい、有名な作家さん。(語彙力)だけど、なみちゃんは、なみちゃん。(語彙力)


日記なのに3ヶ月ぶりで、シリーズなのに1記事しかなかった「60点日記シリーズ」、なみちゃんと公園に行って、すべり台であそんだ話を書くことにした。あと、今から書くこと、マナーや食品衛生的にいいのかどうかは、今日は、みのがしてくれたらうれしい。





もともと学生時代からつながりがあった岸田奈美ちゃん。2010年ごろは、私もなみちゃんも、大阪のベンチャーにつとめていた。ふたりとも企画や広報をしたり、独学でデザインに奮闘してた。

そしてふしぎなことに、2020年にはふたりとも、書くお仕事を楽しんでいる。



ある日。
なみちゃんが、私のことをこんな風に書いてくれた。うへえ


なみちゃんと、あそびたいなあと思った。そしたら、なみちゃんがおいしそうなビールをツイッターであげてて、一緒に飲み歩く人を募っていた。


手をあげた。


約束の日。
集合場所は新宿御苑。

駅の出口で待ってたら、「もしかして道路みてる?笑」ってメッセージが来た。振り返ったら、なみちゃんがいた。「いや、人と待ち合わせするのに、そっち向いてる人はじめてみたよ」と笑っていた。

(実は、なんかこう、階段からなみちゃんの顔が見え始めてから、なみちゃんが登りきるまで、私、どんな顔しとこかなーと思ったら照れてきて、道路見てた。笑)


画像2

「久しぶりだねー」、「最後に会ったんいつやっけ」。「本おめでとう!」、「最近は忙しい?」。久々でちょっと緊張しちゃって、当たり障りのない言葉ばかりが口から出てきた。

でも、途中で寄った100円ショップで、クレヨンしんちゃんのおはし見つけて「可愛い!」ってハモってからは、全然だいじょうぶになった。その後は、「さけるチーズ買いたい!さけるチーズ買おう!」と、すっかりはしゃいでいた。

画像3


私達は雑談しながら、腰を下ろせる場所を探していた。グーグルマップを開いて、いい感じの大きさの、緑色になってるところへ向かう。とてもいい公園があった。大好きなコンビネーション遊具もあった。

「ここ入ってみよ!」
「そうね、ベンチもあるしね」

画像4

ベンチに座るか迷ったけど、コンビネーション遊具に登って、なみちゃんを呼んだ。

「ここ、ふたりの居酒屋さんにしたい」

なみちゃんは笑いながら、登ってきてくれた。

画像5


なみちゃんが持ってきてくれたのは、西陣麦酒一乗寺ブリュワリーっていう、京都にある工房が一緒に作ったクラフトビールだった。名前は「ふぞろいの麦たち」

一口飲む。びっっっっっっくりするくらい、おいしい。ほんとに好きな味のビール。いい苦味があるのに、くだものソーダーみたい。毎日飲みたいと思った。

画像6

しかも材料の麦が、むかし一時期住んでいた、宮城県石巻市のものだと聞いた。当時あのまちで出会った人や、乾杯したときの思い出が一気に浮かぶ。愛いっぱいの気持ちで、二口、三口。冷蔵庫をこれで埋めたいと思った。

画像7


このビールに詰まったユニークや愛のことは、なみちゃんが書いてる。すでに読んでる人が絶対に多いけど、もしまだなら併せて、読んでほしい。最初のほうは、すべり台で一緒にあそんだこと、なみちゃんも書いてくれている。同じ時間のこと、違う人が書くの、とっても面白いね。


ちなみにこの時、なみちゃんは、「家にこれしかなくて」と、いちおう栓抜きもできるらしい巨大バサミを、いきなり出してきて面白かった。(それでさっき、100円ショップに寄って、普通の栓抜きを手にいれたのだった)

外で見ると完全に狂気やなあ。でもこれ、実家に絶対あるやつやなあ。

画像8


でも、ハサミもあって、ちょうどよかったよ。たまたまカバンに入れてた郵便物の袋を切り開いて、お座布団とテーブルクロスにした。そこに、ふたりのお菓子をぜんぶ広げた。なみちゃん、笑っていた。

画像9

画像10


ちいさい頃、公園の遊具の中に入って、セーラームーンのカードダスを並べたり、お気に入りのシールを交換しあって、お店ごっこをした。果汁グミとか、ジューCっていうラムネのお菓子も、こそこそ食べた。手、汚いだろうに。

でも、トンネルみたいなところに隠れて、しゃがみこんで食べれば、お母さんにもばいきんにも見つからない気持ちになったし、むしばにもバレないと思ってた。(余裕でむしばになったけど)

だから、夜のすべり台の上で、なみちゃんとしゃがみこんで座って、お菓子やビールを飲んだら、8年越しでも、いろんな話ができるだろうなと思った。どこにも書けないこと、だれにも言えないこと、ここなら、バレずに。






もうすっかり日が落ちた頃、小さな子どもとお母さんが公園に入ってきた。夜に親子が来る公園は、安心できる公園だなと思った。

子どもは、私達のいるすべり台を見上げている。秒でゆずる。滑っていく子どもを愛でながら「やっぱベンチに座る?」となみちゃん。「んー、10回で飽きるとみた。ちょっと待ちたい」と、おとなげない私。

彼は3回だけ滑って、帰っていった。オトナだなあ。いや、私達いたからかも、ごめん。でも、今夜のすべり台は、なみちゃんと私に、ゆずっておくれ。

画像11


それからなみちゃんは、かっこいいライカのカメラで、いろいろ撮ってくれた。私のお父さんも昔、「これええやろ、ライカやで。ライカっていうねん。覚えときや」って何回も言ってたなあ。覚えてたわ。

画像12


「私もなみちゃん撮りたい」と、貸してもらった。

40万円のライカで、100円ショップの『ビックうまかつ』と、プライスレスななみちゃんの2ショットを撮りたい。

画像13

と思ったのに、
なみちゃんはもちろん、ビックうまかつにすら、ピントがあわない。


「なみちゃん、ピントあわへん」
「そりゃそうよ、ビックかつは置いときなよ笑」

画像14


ビックかつを口にくわえて、デニムで右手の指をごしごし拭き、両手で構えて、撮る。でも、やっぱりぜんぜんあわへん。お父さんカメラマンやのに。


「いや、だってめちゃくちゃワキあいてる。腕、水平なってる(笑)」
「うわほんまや、締める」
「いや、今度は締めすぎてるわ(笑)。まあでも、画面で私のところタップしてみて、たぶんそれでいける」
「うわほんまや、いけた」

画像15


なみちゃんきれいー!!いいなあ。

見て、これもいいよ。これはもう、なみちゃんをよく撮ってはる写真家さんにも見てもらえるなあ。(うそですすみません)

画像16


すべり台で、私となみちゃんふたりだけの居酒屋さん、とっても楽しかった。でも、2ショットを撮り忘れてしまった。

画像17

画像18


あ、そうか、合成しちゃお。

画像19


なんか、面白くなってしまった。
まあ、いっか。
今度会ったら、ちゃんと撮ろっと。


なみちゃん、
またあそぼうねー!


追記:なみちゃんと飲んだ「ふぞろいの麦たち」のホップが、なんと、私が石巻に住んでたときに知り合ったお姉さんとこで作ってるやつだった……!「イシノマキホップ」さん。今度、畑にもいくぞ。たのしみ。

画像20


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?