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働き手にとってのコミュニティホスピタル|#04 小澤 匠平 医師の声

こんにちは、CCH協会の村上です。
今回のインタビューは、東京都台東区の同善病院で1年間(2022.10~2023.9)勤務された小澤匠平医師です(記事の時点で医師10年目)。総合診療の経験をもとに、将来、開業を考えている小澤先生にコミュニティホスピタルで働いた1年間の経験を振り返ってもらいました。


小澤 匠平 医師

同善病院 在宅医療センター部門長(2022.10~2023.9)

本日はよろしくお願いします。

━ 最初に先生のこれまでの経歴を教えてもらえますか?

川崎医科大学を卒業して、初期研修は練馬総合病院でした。その後、日赤医療センターで麻酔科として2年間勤務していました。
その後に麻酔科をやめて、総合診療科に転科しようと思って名古屋大学の総合診療プログラムに入り直しました。そこから総合診療プログラムの3年目のときに豊田地域医療センターに行くことになって、藤田医科大学の総合診療科と関わるようになりました。

━ なぜ総合診療科に転科を?

麻酔科は研修医のときに楽しかったので選んだのすが、もともと開業したかったので、内科を全部診られるようになりたいという思いがあったので総合診療科に移りました。

名古屋大学の総合診療科ではすべて病院内での勤務だったのですが、私自身は家庭医を目指していたので、病院の中ばかりの名古屋大学の総合診療科はホスピタリスト的で、自分がイメージしていた働き方と違ったので少し大変でした。
専攻医3年目のときに行った豊田地域医療センターでは在宅医療を中心に担当したのですが、在宅医療にはもともと興味があったこともあって、実際やってみて在宅医療がおもしろくて、さらに開業したいと思うようになりました。


ー 東京の同善病院で働くことになったきっかけは?

同善病院をコミュニティホスピタルに転換するプロジェクトのことは聞いていて、興味は持っていたので軽く返答していたらいつの間にか立ち上げメンバーに入っていました(笑)。
そんなことで、同善病院で在宅医療を立ち上げてから半年後の2022年10月から東京に加わることになりました。その頃は、先に入っているメンバーの様子は半年間聞いていましたが、大変そうだなと思って客観的に見ていました。
それから1年間、同善病院で色々なことに関わらせてもらいましたが、大変でしたけれど楽しい経験でした。これからの在宅医療で開業したいと思っているので、練習ではないですけどとてもよい経験ができました。

ー 同善病院では在宅医療センターの責任者もされていましたね

東京の在宅医療は豊田市とは全然違いました。
豊田のほうが重症な患者さんをたくさん見ていたのですが、同善病院がある台東区やこの近隣の患者さんは、みなさん色々な背景を持っていて、複雑な社会的な課題のある方が多い印象でした。制度の理解も必要でしたし、介護保険サービスを含めて色々なことを調整することがありました。難しかったですが、お陰でとても勉強になりました。

ー マネジメントも経験されました。患者さんを増やす活動とか色々役割も担われていましたがいかがでしたか?

そこがやっぱり大変でした。いままではただ自分の診療だけをこなしていけばよかったですが、周りのスタッフの疲弊具合を見たり、在宅医療センターとしてどう進んでいくのか、それを実際の行動に移していくためにどうすればよいのかを考えたりするのが結構大変でした。この1年間の経験で周りを見れるようになったのは大きな経験だったと思います。

ー 在宅医療センターは看護師、セラピスト、事務さんなど10名以上が関わっていましたが、1人も退職者はいませんでしたね

はい、1年間誰も辞めずに来ることができました。自分が責任者になってから、ずっと考えていたのは「人が辞めない職場」にすることでしたので、常に声をかけやすい存在でいたいと思ってやってきました。相談されたら後回しにせずにその場で応えるようにということは心がけてやっていました。

小澤先生を病院で見ていましたが、話しかけにくいオーラは全く出ていなかったです。

顔に出さずに疲弊していってました(笑)


ー 責任者として難しかったことはどんなことですか?

患者さんを紹介して増やしていくところですかね。どう進めていったら良いか全然分からなかったので最初の頃は大変でした。連携先の挨拶回りも行かないといけないのに、最初の頃は全然行けていませんでしたし。
1年間でどういうところにアプローチすればよいかを学びました。病院に関しては退院先を決めるキーパーソンの方に知ってもらって信頼を得るとかですね。連携する介護事業所にも、患者さんを紹介してもらったり、訪問が始まったときになるべく(医師自身が)お礼の連絡を入れることなどを意識していました。
お陰様で、在宅医療を始めて1年半で150名近い患者数になって、いまも順調に患者数も増えています。

ー 同善病院で働いた1年間を振り返ってみていかがですか?

勤務した1年間の中では、9ヶ月間は週に数コマは病棟にも関わっていました。実際、自分がそれぞれの現場で働いていたことや、限られたメンバーだったこともあって、病院内の連携のしやすさはは豊田地域医療センターのときよりも、はるかに連携しやすかったです。すぐに相談できますし、困ったことを共有したりもできますし。

病院から在宅医療に移行する患者さんは増えましたね。小笠原先生(副院長)や梅沢先生(病棟責任者)が中心になって病棟のスタッフへの教育にも力を入れていたこともかなり効果があったと思います。その取り組みがあったから院内のカンファレンスの中で「こういう患者さんは在宅につなげよう」など、自然に話が出てくるようになってきたのだと思います。

医師同士だけではなく、看護師さん、セラピストさん、事務さんなど他の職種の方と関わりも同善病院に来てすごく増えたと思います。病院の内部も外部もですね。どうしても医師だけで固まりやすくなりますが、朝のカンファレンスでも全員で患者さんの情報を共有して、全員でその患者さんのことを考えて動けるようになっています。
今後、開業した後もこんな風に全員で診療に関わっていきたいと思いました。これからは愛知県に帰って、豊田地域医療センター関連の在宅医療中心のクリニックで勤務する予定です。それに開業にむけてもそろそろ動き出さなければ行けないと思っています。

ー 最後にこれからコミュニティホスピタルで働きたいと思っているみなさんに一言お願いします

コミュニティホスピタルはとても地域との関わりが多い職場です。地域の方と一緒にイベントをするとか、地域の訪問看護師さんたちと気軽に相談するとか、困ったときにお願いするとか、地域の中にたくさんの仲間がいました。こんな関わりが好きな方はとても向いていると思います。医療のことだけでなく、その方の生活のこと、地域のことに関わりたい人にはとても楽しい職場だと思います。

ありがとうございました。そして1年間たいへんお疲れ様でした。
先生のこれからのご活躍をお祈りしています。



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