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医学部 共用試験公的化によって何が変わったか(学生目線)

共用試験公的化によって何が変わったのか。学生の視点で書きます。


全国統一の合格基準ができた

 公的化される前は、各大学が独自の合格ラインを定めていました。大学によって合格基準もバラバラであり、合否も実質的には大学側が判断していました。ゆえに、大学側が進級させてあげようと思えば、甘くみて合格にしてもらうこともできたということですが、公的化された後は、当然そのような融通は一切効かなくなりました。
 一見すると公的化によって難易度上がったようにも見えますが、逆に、これまで普通よりも厳しい合格基準が設定されていた大学では、公的化によって合格基準が下がったということになります。
 良くも悪くも基準が統一されたので、その基準を越えるしかないです。

試験が厳格化された

 公的化によって、不正対策がより一層徹底されるようになりました。公的化以前は受験生控室などに持ち込み可能であった物品が持ち込み不可になっていたり、OSCEでは試験終了前の学生と試験終了後の学生が接触しないように徹底的な統制(窓越しに合図できたりしないように全ての窓のカーテンが閉められる等)がとられるようになりました。かなりピリピリした雰囲気で、いたる場所に監視員がおり、ちょっとしたことで不正を疑われかねないので不必要な行動は避けるべきです。

成績表に正答率、学内順位が記載されなくなった

 公的化以前は成績表(CBT)に正答率(%)と学内での順位が記載されていましたが、公的化以降、成績表に記載されるのはIRT標準スコア(とグラフ)のみで正答率や学内順位は記載されなくなりました(※これまでも成績表のフォーマットは変遷しており、今後また変わるかもしれない)。
 「90%以上正解するぞ!」「学内20位以内に入る!」というような目標を設定したとしても確認しようがなくなってしまったので、何か目標を設定するのであればIRT標準スコアを基準にすることをお勧めします。

共用試験による留年が増えた

 筆者の大学では公的化によって留年者が増えました(といっても数人程度ですが)。逆に、これまで厳しい基準が設定されていた大学では、留年者の減少も考えられると思います。まあ、気を抜かずにちゃんと対策することです。再試験も不合格になったら、いくら大学側に恩赦を求めようとどうにもなりません。

医学生の臨床実習が合法的になった

 医師法第17条に「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定められています。これまでは共用試験合格者に対して全国医学部長・病院長会議という機構が「studend doctor認定証」なるものを発行して行なっていたものの、医師法違反となりかねないグレーゾーンでした。しかし、共用試験の公的化に伴い法改正も行われ、共用試験合格者による医行為が一定の条件下で正式に認められ合法化されました。

医師法第十七条の二
”大学において医学を専攻する学生であつて、当該学生が臨床実習を開始する前に修得すべき知識及び技能を具有しているかどうかを評価するために大学が共用する試験として厚生労働省令で定めるものに合格したものは、前条の規定にかかわらず、当該大学が行う臨床実習において、医師の指導監督の下に、医師として具有すべき知識及び技能の修得のために医業(政令で定めるものを除く。次条において同じ。)をすることができる。”

臨床実習で学生が行なって良い手技が増えた

 具体的にどのような手技を行えるかは大学によって多少異なるでしょうが、公的化前と比べて、胸をはって正々堂々とできる医療行為・手技が増えたことは間違いないです。見学主体だった臨床実習が、実践型へと変化しつつあります。



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