オンラインルームシェア

あの人の不安は、私には救えない。
私が誰かに救われるように、その孤独を埋めることが出来ない。

もともと家にいる時間が長い私は、幸いにもインターネットというものを使って、同じ時間を共に過ごせる友人が多い。
大体の場合、一日中、カメラを付けっぱなしにして、通話状態で過ごす。

そういえば、旦那さんと結婚をする前もそうだった。

仕事から帰宅すると、どちらからともなくカメラをonにして通話モードに入る。
当時の私たちは、恋人ではなく友人だった。
台所に立ち、それぞれの夕飯の支度をしながら、レシピを教えあったり、今日の出来事を話したりする。
出来上がった夕飯を画面越しに一緒に摂って、あとは寝るまで繋ぎっぱなしでそれぞれの時間を過ごす。
大体の場合は、通話を切ることもなくそのまま寝てしまって、朝「行ってきます」と、通話を切って仕事に出る。

他の友人が混ざったり、通話もしない日もあったりしたけど、一人暮らしの友人達でコミュニティを作って、ずっとそういう生活をしていた。

ルームシェアに近い感覚で、今も。
私は幾人かの友人と、画面を通して共同生活のようなものを送っている。

学生や、テレワークなどで家で過ごす友人達と、「おはよう」と声を掛け合い、カメラを起動してそれぞれの時間を過ごす。(仕事の電話の時はミュートにしたりして、繋ぎっぱなしで過ごす。)
昼食を一緒に摂って、またそれぞれの活動をして3時になると声を掛けあって、簡単なストレッチをする。
夕方までで終了することも、深夜や明け方まで通話しながら過ごすこともある。

オンライン飲み会を通り越して、オンラインルームシェアだな、と思う。

珍しく静かな夜。ラジオをつけた薄暗い部屋で、どうにもならない思いを抱えて、目を閉じる。

目を閉じると見える世界もある。
それは、目を閉じないと見えない世界でもあると思う。

私は誰かの支えになれているだろうか?
私が支えてもらえているように。

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