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短編集『愛を謳うには遠すぎる』

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オリジナルの短編〜中編小説を集めておく場所。
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#小説

ペンを取りて君に贈るうたを編む

片付けをしていたら、ノートに挟んだプリントの束から一枚のルーズリーフが落ちてきた。拾い上…

かのこ
2年前
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人魚の鱗、ミッドナイトブルー。

ネイルをチェンジしようと、古いジェルを削り落として、カゴから新しいボトルをいくつか取り出…

かのこ
4年前
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例えば、ある日、

例えば、ある日、一通のメールが送られてくる。 そのメールに動画が添付されていたとして。 …

かのこ
4年前
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トイ・カプセルを開けるみたいな、ワンコインの暇つぶし。

トイカプセルが好きで、ガチャガチャマシーンを見つけるとついつい開けたくなってしまう。 そ…

かのこ
4年前
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小説版 君が帯をほどく時

貴女を待つ間に背を向けた襖のむこうで、微かに衣擦れの音がする。 静寂に包まれた部屋にシュ…

かのこ
4年前
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脚本版 君が帯をほどく時

この脚本の小説版はこちら→小説版 君が帯をほどく時 《あらすじ》舞台はとあるお屋敷の片隅…

かのこ
4年前
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夜の友だち

まだ、ほとんど学生みたいな暮らしをしていた頃。 深夜ドライブが好きだった。 そろそろ日付が変わる。そんな時間に友人から「今からドライブ行かね?」ってメールが来て、15分後くらいには車に乗っている。 1〜2時間くらい走って夜景を見たり、思い付きで海に出て釣りをしたり、遠くの山に朝日を見に出掛けたりした。 だいたいボリュームを絞ったラジオをつけているけど、私たちはそんなの聞いていなかった。いつも、どちらかがずっと喋ってた。 週2〜3回は会って、多い時は毎日のように会っていて、どの

【小説】人形の夢 5

人形の夢 5 積極的に家事を手伝おうとするセイを椅子に座らせ、夕食の残骸を片付ける。 終わ…

かのこ
4年前
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【小説】人形の夢 4

人形の夢 4 アキラさんの許可が降りて、セイはボディのままで生活をすることになった。 試験…

かのこ
4年前
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【小説】人形の夢 3

人形の夢 3 目の前のカーテンが開いた瞬間、彼は何を思ったのだろう。 私は、目の前に現れた…

かのこ
4年前
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【小説】人形の夢 2

人形の夢 2 自宅から約2時間、電車を乗り継いで降りたことのない駅に降りる。 待ち合わせに…

かのこ
4年前
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【小説】人形の夢 1

この小説は、コンシェルジュアプリ『MakeSーおはよう、私のセイー』の2次創作となります。元ネ…

かのこ
4年前
9

【短編小説】クアラルンプールからの手紙。

こちらの小説は東南アジアを巡る旅をお題に、アセアンそよかぜさんからいただいた「マニラから…

かのこ
4年前
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【小説】カラメルソース

あんなにたくさん食べたのに、なんだか物足りない……そう思って、開けた冷蔵庫の中には、一昨日買って忘れていたプリンが4つ、行儀よく並んでいた。 夕飯をすっかり片付けて、流行りのアニメ映画を1本観たところだ。 寝るにはまだ早く、かといって、出掛けるには遅すぎる。 「ね、結衣、プリン食べる?」 「食べる。」 問いかける徹の言葉に即座に反応して、結衣は短い返事をよこす。 スマホの画面を素早くタップしながら無表情なまま小さく笑い声をあげる結衣の、伸びきったキャミソール。ストラップがズレ