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個人的ここが好き!マーラー♪交響曲第1番

今回はマーラー作曲の交響曲第1番をご紹介します。
この曲知らないとおっしゃられる方もいると思いますが、全員知っているはずです!
この曲の3楽章はジブリアニメ『猫の恩返し』で登場したからです。
意外なところで聴き馴染みがあるこの曲について簡単に解説、そして個人的に難しいところと好きなところを紹介したいと思います。

今回も音楽之友社出版のスコアを使用・IMSLPほかを活用し推しどころを解説していきます。

https://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail_sp.php?code=481446

○マーラーとは
グスタフ・マーラー(Gustav Mahler)は1860年の七夕!7月7日ボヘミア(現在のチェコ)生まれで、ユダヤ人の両親から生まれました。15歳のときにウィーンへ移り、ウィーン楽友協会音楽院(現在のウィーン国立音楽大学)に入学しました。無事に卒業し、指揮者と作曲家としての道を歩みます。1898年から3年間、ウィーンフィルの主席指揮者としても活躍していました。

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そういえば、グスタフ・ホルストさんと綴り一緒なんですね。こちらはイギリス人ですが。

○指示が長い作曲家として有名

第一楽章Langsam.Schleppend.Wie ein Naturlaut.
ゆっくりと、だらだらと。自然の音のように。
第二楽章Kräftig bewegt,doch nicht zu schnell
力強く動きを持って、しかし速すぎずに。
第三楽章Feierlich und gemessen,ohne zu schleppen
だらだらしすぎず、おごそかに落ち着いて。
第四楽章Stürmisch bewegt
嵐のような荒々しい動きを持って。

こちらは今回の交響曲第1番の各楽章の指示です。
既にこれだけでも長いですね。

指揮者の藤岡さんのお話です。

こちらはマーラーの指示が長いことからネタにされています。笑

○交響曲第1番1888年に完成、翌年11月に自作自演にて初演されました。当初は「2部からなる交響詩」として発表されました。確かに今弾いてもそのような面影がありますね。
当初は『花の章(2楽章だった)』込みの5楽章構成で1〜3楽章と4〜5楽章の2部を予定。第1稿と第2稿はこの5楽章体制で、第2稿に至っては楽章ごとに副題がつけられていました。

 第1部 青春の日々から、若さ、結実、苦悩のことなど
第1楽章 春、そして終わることなく
第2楽章 花の章
第3楽章 順風に帆を上げて
 第2部 人間喜劇
第4楽章 座礁、カロ風の葬送行進曲
第5楽章 地獄から天国へ

第3稿では『花の章』を削除し、現代に続く4楽章形式に改められます。

現在、マーラーの交響曲作品はその規模の大きさや複雑さにも関わらず世界中のオーケストラにより頻繁に演奏される理由について、ゲオルグ・ショルティさんは以下のように述べています。

マーラーが偶像視されるようになったのは偶然ではない。演奏の質に関わらず、マーラーの交響曲ならコンサートホールは必ず満員になる。現代の聴衆をこれほど惹きつけるのは、その音楽に不安、愛、苦悩、恐れ、混沌といった現代社会の特徴が現れているからだろう


○マーラーの交響曲の中では長さ的に一番聴きやすい曲
まず、なぜ「時間」なのか。
音楽を聴く上で、例えばフレーズがキャッチーか、起承転結がはっきりしているなど、経験をある程度有するもの=主観的な感覚よりも、時間という経験を有さなくても測れる(ものさしのような)意味で今回は「時間」に焦点をあててみました。

こちらのサイトを見てみると(リピートやテンポなどいろいろありますが、おおよその感覚で見てみてください)4番と同程度で、他は1時間超え!10番は30分程度ですね。

古典派の交響曲はだいたい45分〜60分程度でロマン派は60分程度から長くて90分なのですが、マーラーの交響曲は長い部類に入ります。
ベートーヴェンは40分程度で第九が1時間とちょっと。
チャイコフスキーは30〜40分程度
ブルックナーが1時間〜1時間20分程度
ショスタコーヴィッチが4,7,8,10,11,13,14番が1時間程度でそれ以外は30〜40分程度でした。

これには音楽の時代背景に要因があり、このマーラーの時代をロマン派後期といい、古典派の作風を尊重する音楽とワーグナーの流れをくむ音楽の併存・交響曲の大規模化・オーケストラの巨大化・演奏の長時間化があげられます。
また、大学でブルックナーに理論の教えをうけていたことから、オーケストレーションの影響はここからきているともいわれています。

○巨人とは
特に深い意味はなく、友人たちに勧められてつけただけで、のちにそれが適切ではなかったと言っています。
なので現在のはベートーヴェンの『運命』のように我々が勝手に呼んでいるだけなんですね。

○他の曲にもこの曲のモチーフが使われている
1885年に完成?(諸説あり)された連作歌曲集《さすらう若者の歌》です。
この曲は4曲からなっていて、

1.恋人の婚礼の時 Wenn mein Schatz Hochzeit macht
2.朝の野を歩けば Ging heut' morgens übers Feld
3.僕の胸の中には燃える剣が Ich hab' ein glühend Messer
4.恋人の青い目 Die zwei blauen Augen

日本語では『若者』となっていますが、ドイツ語の辞書を引いてみるとGeselleは『職人』という意味で、ここでの職人はドイツのマイスター制度からきていて、必ずしも若者とは限らないという…。日本語訳は難しいですね。

この曲は副題の通りいわゆる恋愛ソングですが、これは自身の恋愛体験からきているといわれています。
のちに作曲された交響曲第1番の第1稿からもしっかり自身の体験が使われているのがわかると思います。

○個人的難しいところベスト3
第3位
4楽章No.11

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早口言葉みたいなところですが、できると楽しいところです!

第2位
2楽章No.11〜12

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ここはずっと細かい音が続くことで集中力が必要なところだなと。とくにNo.12からは7回連続なので高い集中力が必要です。

第1位
3楽章冒頭

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言わずもがなコンバス奏者の最難関です。
滅多にオケではないソロなのでど緊張してしまいます。
でも新しい版は全員で弾く指定があるそうですが、アマオケで1回弾いたきり他はソロでしか弾いたことも見たこともないですね。ちなみに初版はチェロとコントラバス が1本ずつで弾くようです。(今では全くしませんが)

○個人的ここが好き
この曲は全体的に楽しい要素いっぱいでPizzicatoもたくさんあるので個人的やりがいがとてもあります。
1楽章No.18 gemächlich(気楽に、落ち着いた感じで)

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今までなめらかな感じだったのがここにきてスタッカートがつき、まるで踊りのような感じがして、かつ最後の上行が空に向かう感じがやりがいがあります。

1楽章No.22〜25

実際にはNo.22の5小節前から好きで、というのも、そこからNo.26に至るまでの迫るような。古典派やその後にある『暗から明へ』とはちょっと違うかも(No.26の6つ前で急激に明るくなる感じがそうではないと感じている)ですがコンバス弾きとしては楽しいところです。

No.28-6 Allmählich etwas lebhafter.(徐々に少しばかり活発に)

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この上行が好きなのですが、No.28-9小節目の「A」の音を挟んで前半と後半が同じ「短・短・長・短」なんですね。このなんともいえない音程が個人的には推しかなと。(これはなにか旋法とかあるのか調べてみましたがわからなかったです)

4楽章 冒頭〜No.13
冒頭〜No.13までは私の中で例えるならば、ドヴォルザークの新世界4楽章みたくこの1ページはずーっと高テンションでいきたいという思いがあります。ここはまるでジェットコースターに乗っているようで楽しいところです。

4楽章 No.17-11〜18

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私が最も好きなところです!この和声がたまらない!
No.18-8からのベース「As→A→B→G→As」の動きがとても好きなのです。そして甘い旋律が相まってのここが好きです。

最後に、調べていく中でとってもわかりやすい曲解説のサイトがあったので掲載します。


拙い文章ですがお読み頂きありがとうございます! 私の詳しくは https://t.co/c3ikR7p8Ht インスタ: https://www.instagram.com/cbyoshida/