ー2ー 夫婦の板挟み
気付くと父は部屋に引きこもり、菓子を食べながら一日中部屋で過ごすようになった。それは1年間ほど続き、気付くと何やら別の仕事をするようになった。後に知ったのだが、父は何かの会社経営をしており、社長だった。つまり私の家は裕福だったのだ。だが、その会社は倒産し、父は元社員にお金を支払わなければならなかった。人生がどん底になったのだろう。一年引き篭もっても仕方がない。
裕福であった頃、裕福であったからこそ私と兄は私立のカトリック系の小学校に通っていた。電車で1時間弱ほどかけて通学し