タイホせよ

2010年12月12日




忘年会シーズン真っ只中の新宿。
約束の時間まで少し早かったので、JRの南口周辺を意味もなくウロウロしました。

今年も電飾がきれいです。
「去年も撮ったっけなぁ」
と思いつつ、それでも撮らずにはいられません。

人類が人工的な光を得てから、人間の暮らしは一変しました。
まして不夜城の新宿ならば、その電力消費量もハンパないでしょう。
ライトアップされた街は、普段の夜と違って、ちょっとばかりロマンチックです。

少し歩くと、何やら光る四角錐の構造物が…。
何かのモニュメントのようでもあるし、なんちゃってピラミッドのようでもあるし、その正体は不明です。

数歩近づくと、その正体がおぼろげに分かって来ました。
四角錐の真下にカップルが並んで立ち、そこに設置された何やら不可思議なモノに触れているようなのです。
すると四角錐の全体が輝き始め、どうにかなるのです。
曖昧な表現しか出来ませんが、そういうことなのです。
ただそれだけなのに、カップルは満足そうな笑顔を浮かべ、その場から笑顔で立ち去ります。

わからないままでいるのも気持ちが悪く、正面に回ってみました。
こんな仕掛けです。
仲良く四角柱の構造物にタッチすると、色が変わる仕掛けのようです。
カップルは満足そうな顔です。

この機械での作業を終えると、カップルの密着度が、かなりアップすることが判明しました。
私が想像するに、何色かの色が現れ、その色によって吉報が表示されるようです。
クリスマスも近いし、夜だし、電飾はきれいだし、若いカップルだし、何となくロマンチックな気になるし、密着したくなるし、私は面白くないし、このような場合、私の心は激しく乱れ、動揺するのです、原因は分からないけど…。
とにかく楽しそうなカップルは、見ていて楽しくないのです。

順番を待つ列が出来ていました。
やっと自分たちの番が来て、この儀式を終えると、また密着カップルが増えるシステムのようです。
まるで、瞬間接着剤の使用後状態です。
いつまでも見ているこちらも、怪しい変なおじさんと思われているだろうことは承知ですが、とにかく面白くないし、楽しくないし、そのうちに不愉快になって来ます。
これらのアロンアルファカップルを注意したり、指導する人はいないのでしょうか。

昔は風紀委員がいてチクったり、教師が繁華街を巡回補導して、公序良俗は保たれていました。
いまの時代は、多数の本官を動員して、即、現行犯でタイホしてもらうしかないのでしょうか。
石でも投げてやろうかと思いますが、地面はタイル張りで、それも叶いません。
その昔、女性に持てない男どもはヘルメットにサングラス、手拭いで顔を隠し、道路のタイルを剥がして砕き、官権に投げたり角材を振り回して、安保なんちゃらと叫んでいました。

面白くない気持ちを抱えて、指定された忘年会場へ行きます。
はっきりいって、こちらも面白くなかったです。
今月は大小取り混ぜて、まだ三回目の忘年会ですが、飲みたい奴はしこたま飲んで、食べたい私は目いっぱい食べて、面白くない憂さ話を聞かされて、同意を求められて、曖昧に返事をして、それで時間が過ぎて行きます。

年に一度の付き合いだからと強引に拉致され、二次会へゴールデン街まで引きずられて行きました。
カウンターの端っこでビールを飲み、柿ピーと焼き鳥のレバーを黙々と食べながら、時間が過ぎるのを待ちました。

終電も近いので、そろそろ帰ろうということになり、お店の外に出ると、今が一年で一番の稼ぎ時であるにも関わらず、ゴールデン街の路地はこの有り様です。
やっぱり不景気なんですね。
黙って聞いていた会話も同様です。
「自民党が駄目だから、国民は民主党を選択したはずなのに、まさか自民党以下だったとはね」
「どこも、入れる党がないじゃないか」
社会を覆うこの閉塞感、どうにかならないものでしょうか。
世界規模では、地球の人口の1%の人が、世界中の富の40%を保有しているとか。
私は決してリバタリアンではありませんが、どうせ本官たちも薄給で同意見でしょうから、アロンアルファカップル同様、マネーゲームで世界を混乱させている人たちもタイホしてもらえないかと考えてしまうのです。

今年は特に、師走の寒風が身に沁みます。

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