目には青葉 山ほととぎす 初鰹

2010年5月25日




カツオのお刺身を買って来たので、たたきにせず、塩でそのまま頂きました。
暦はまだ初夏ではないけれど、カツオの美味しい季節になりました。
生姜醤油かポン酢をつけて、スライスしたニンニクやオニオンで食べるのもいいものですが、塩ならばカツオ本来の味がわかって、食事が一層楽しくなります。


目には青葉 山ほととぎす 初鰹


素堂の句は禁じ手の季重なりですが、ずっと人口に膾炙され続けているので、初夏のすがすがしさを連想させる名句ということになるのでしょう。
(正確には「目には青葉山時鳥初松魚」です)

肉の場合はもっぱらアンデスのローズソルトやヒマラヤの岩塩をゴリゴリやっていましたが、自宅で肉を食べることが少なくなったので、出番はほとんど無くなりました。
でも塩は必要です。
特にミネラル分が豊富な海水の天然塩は魚料理にベストマッチで、やはり理にかなっているように思います。
昨夜はイサキの塩焼きでしたが、これも美味しく頂きました。
明日は塩でスズキの洗いを食べましょう。

我が家でいつも使っているのがこの塩で、小笠原に仕事で二年間暮らした又従弟から貰っています。
塩といえば伯方や赤穂などが有名ですが、海のきれいな小笠原の海洋深層水から採った塩と聞くだけで、何でも美味しくなるような気がして来るから不思議です。
小笠原は東京都なので、もちろん東京の塩です。
品川ナンバーの車ばかりが走る場所で生産された塩とは、なかなか愉快です。

そういえば事業仕分けでも「塩」が槍玉に上がりました。
公益法人の塩事業センターは、緊急時の塩の安定供給のために10万トンの生活食用塩の備蓄をしているそうな。
所管する財務省は、
「離島も含めて全国に安定的に安価な塩を供給するには、ある程度の資産は必要」
と主張しているようですが、小笠原は離島だし、なに言ってるの? とツッコミを入れたくなります。
運用益で膨らむ正味財産は609億円もあるようで驚きましたが、過剰分は国庫へ返納すべきでしょうね。
阪神淡路大震災の時は14トンを放出したそうで、それくらいの量ならば全国の家庭からすぐにでも簡単に集まるでしょうし、スーパーに置かれている食用塩となると、14トンどころか、おそらくその数十倍、数百倍は在庫としてあると思うのです。

それよりも、10万トンを必要とする災害となると、阪神淡路の7000倍規模以上の災害ということになります。
でも回りをすべて海で囲まれた日本ではまったく説得力がありませんね。
10万トンが最小限必要な数量だと、本当に信じていたなら驚きです。
政権が代わってからの事業仕分けは、パフォーマンスだけの政治ショーだと否定的な意見もあるようですが、国民の知らないところでこんな不可思議なことが行われていたとわかっただけでも価値があるのではないでしょうか。

ダイエットスーツ(私は持っていませんが)で運動をすれば、かなりの汗を集めることが可能です。
暴論は承知で書きますが、その汗を煮詰めれば塩が出来ます。
体内から分泌されたものですから、おそらくミネラル分も含まれているでしょう。
塩が無くなれば、こうして地産地消ならぬ自産自消も出来るのです。
ただし、あくまでも自産自消でなければなりません。
くだらないことを書きましたが、理由は言うまでもないでしょう。
とにかく、10万トンも備蓄せずとも、塩は何とかなるのです。

ミネラルで連想するのは藻塩です。


来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや もしほ(藻塩)の 身もこがれつつ


百人一首でも知られている万葉歌人、定家さんの代表作ですね。
きっとこの人は朝からずっと、来るはずもない女性を浜辺で待っていたのでしょう。
その間にも、海藻を焼いて塩作りに精を出している人がいるのです。
焼かれる海藻に、恋い焦がれる自分の心情を重ね合わせたと解釈しても、そう外れてはいないのではと思いますが、いかがでしょう。
定家さんの恋心はともかく、藻塩はミネラル分たっぷりですし、深みがあって本当に美味しい塩なんだろうなと羨ましくなります。
スズキの洗いは、ぜひこの塩で食べてみたいものです。

料理では塩コショウで味を調えるという表現を使います。
「整える」とはずいぶん曖昧な言い回しですが、調理の場合の常套句で、誰も疑問に感じないようですね。
「整う」とはどういうことでしょう。
整わない場合だって多々あるのを、私は経験上知っているのです。
まあそれは料理の腕が未熟だからであって、誰の責任でもないのですが、塩梅さえ間違わなければ「整う」のでしょう。

塩と梅で「あんばい」というのは、おそらく梅干しを作る時の塩加減から来ているのでしょうし、「塩コショウ」だって、塩がコショウより前にあるのだから、いかに塩が重要かがわかります。
「コショウ塩」とは言いませんし、別物の調味料になってしまいますからね。

今回も相変わらずまとまりのない内容の日記ですが、独法の無駄遣いもこんなところにまで及んでいたのか、廃止や縮減の判定が出ても、どうせ実行されないんだろうな、と行政改革の難しさを思いながら、カツオと冷やしトマトを塩で頂いて、とても美味しかったよというお話でした。

シーフードや野菜たっぷりの塩焼きそばも美味しいので、上手に整えて作ることにしましょう。
幼すぎて記憶が曖昧というか、内容をほとんど覚えていないのですが、食欲がなくて白米が食べられない人に、お釈迦さまが秘薬を与えた、実はそれが塩だったという話を読んだ覚えがあります。
内蔵や血圧などに心配がなければ、塩は最上の調味料でしょう。

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