まぎらわしいぞ!

2010年2月25日の日記から転記。


新宿から久し振りに小田Q線に乗った。
あわてて飛び乗ったので各停か急行か確認しなかったが、いくつか途中駅を通過したから、おそらく急行なのだろう。
小田Qに限らず、電車の車内放送はガーガービャービャーうるさいものだが、この時の車掌は腹具合でも悪いのか、聞き取れないほどの小さな声で、まったくの役立たずだった。

多くの人は、車内アナウンスがうるさいという。
確かにその通りで、ケータイマナー守れよとか、忘れ物すんなよとか、長い座席は7人掛けだからちゃんと詰めて座れよだの、言わずもがなのお知らせばかりでバカである。
ところが、たまにしか利用しない人間にとってはどうしても欲しい情報があるから、どこそこへ行くにはどこそこで乗り換えるべしとか、どこそこ駅は停まらないから注意せよくらいは、日中の空いている時なら、きちんとアナウンスしなければいけない。
今や死語の「TPO」も、わきまえつつ使わなければいけないのは、時代を超えて不変のはずだ。

話は脱線するが、アナウンスの中には「妊娠中の女性にも席を譲れ」というものがあって、妊娠してるとも見えないお姉さんが、
「妊娠してるので、席を譲って下さい」
「そんな風には見えませんが…」
「さっき妊娠したばかりです」
などという古典的ジョークもある。

脱線を復旧させる。
とにかく、鉄道関係の制服は、すべからく不親切である。
正露丸くらいは常に携行するよう、義務付けるべきである。
まあそれでも、乗り込んだ車両は小田原行きの急行であることが、車内の電光表示で判明した。
制服の力を借りずとも、日本語を知っていたお陰で状況は明らかになった。

だが、私が行きたいのは江ノ島線の「大和」なので、途中で乗り換えなければならない。
そして、制服と敵対することもなく、町田駅まで平和的にやって来た。
乗り換えるべく、ホームの表示板を見た。
すると局面は一気に平和的ではなくなった。
特急はわかる。
急行もわかる。
しかし快速急行とは何ぞや?
快適で速いのなら、それは特急ではないのか。

急行は急いで行くから急行という表記なのだと認識している。
これがベースで、間違っていないはずだ。
だから、急行よりも特別に急いで行くから特急。
急行に準ずるから準急なのだろう。

しかしここで、快速急行とか区間準急などといわれるのは混乱に拍車がかかり、大変迷惑な話である。
表示を見ると、快速急行は普通の急行より上位にある。
これは急行より速いということなのだろう。

ところがJRでは、快速よりも急行(懐かしい昔の表記)の方が速いのだ。
これが世間の常識だと思う。
だから私鉄が勝手に列車種別を設定してしまっては、たまにしか利用しない私などは困るのである。
全国私鉄連合会とかの団体があるかは知らないが、日本中の私鉄各社には、ぜひ表記を統一してもらいたい。

もっとも、JRにだってまぎらわしいものがある。
たとえば中央線。
これは大久保と東中野だけを除く各駅に停まるのにすべて快速と名乗り、まことにまぎらわしい。
本来の意味での快速は「特快」と名乗っている。
「特別快速」を略したものだ。
その「特快」だって、「中央特快」と「青梅特快」という種別があって、さらに、一体どこに停まるかわからない「通勤快速」などという不埒なものまで登場して、利用者を混乱に陥れる。
これに「急行」の名が付かないだけでもマシかなと思うから、今回は深く追求はしない。
同じ狭軌同士、快速急行と特別快速のどちらが速いか、勝負してもらいたいと思うだけである。

目的地の「大和」駅に着いた。
大和はヤマトと読み、これだって、なぜ相模の国の江ノ島線沿線なのか、まぎらわしい。
まほろばの大和は関西で、関東ならば武蔵である。
だから関東には武蔵小山、武蔵小杉、武蔵溝ノ口、武蔵中原、武蔵新城、武蔵浦和、武蔵小金井など、武蔵の名が付く地名が多い。

また脱線する。
宮本武蔵には子供がいたか? という、これもまた古典的なクイズがあった。
答えはNo。
「武蔵子が無え」
なのだそうだ。
解説を加えるまでもないことで、もちろん「武蔵小金井」の駄洒落である。
一方、「武蔵小山」から、子沢山だったという正反対の説もあって、バカバカしい。

西武多摩湖線には「武蔵大和」という駅があり、名は体を表すの理で、これはさぞ立派な駅かと思うと、背後に狭山丘陵と多摩湖を控えた単線の小さな駅だ。
また東北宮城県には大和と書いて「たいわ」と読ませる地名があるから、ただ日本語を読み書き出来るからといって威張っていると大恥をかくことになる。

江ノ島線に戻る。
この路線は南北に延びているにも関わらず、駅名がまぎらわしい。
「南林間」の北に「中央林間」がある。
またその北は「北林間」かと思うと、ふざけたことに、なぜか「東林間」なのだ。
どうでもいいことと思われればそれまでのことではあるが、サラリーマン時代、この東林間に一年間住んでいたので、いまだに気になって仕方がない。

どうも話が散らかって収拾がつかなくなって来たので、そろそろ復旧させて締めなければいけない。
今回は列車種別の話であった。
鉄道各社には「すまぬ」の三種を提案したい。

、すごく速い。
、まあまあ速い。
、抜かれるよ。

まぎらわしいことは一切やめて、すまぬすまぬと恐縮しながら走らせる。
これだけで良いのではないかと思うのである。

こんなこと書いて、わしはクレーマーか?
中年の切実な主張でありました。

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