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海外出張のすすめ

コロナが終わったこともあり、周りでも自分自身のプロジェクトでも海外出張が再開し始めました。個人的にも子供が成長して、ママがいなくても数日なら寝られるようになったのも大きいです。

私は現在システム開発プロジェクトを担当していて、主にユーザー側でプロジェクト管理や要件定義のサポートを担っています。海外に支店の多い会社なので、海外支店と協働でシステム開発をすることもよくあります。

コロナ禍では意外と出張しなくても電話会議だけで何とかなってしまい、対面で話すことの重要性が忘れられてしまったように思います。実際、多少のやりづらさはあるものの、何とかなってはいました。(そうするしか無い)
が、久しぶりの出張を経ての結論は、絶対に行った方が良いと思います。出張はプロジェクトをきちんと進めるために一番生産性の高い手段だと、認識を改めているところです。

圧倒的情報量

早ければ飛行機に乗った瞬間から、遅くとも到着後のイミグレからすでにその「国」を感じ始めます。
日本からの旅客はどんな層が多いか。現地在住であろう人たちの機内での過ごし方はどうか。入国審査はどれくらい効率化されているか。空港から乗るタクシーのおっちゃんはどんなキャラか。
もちろん、そんな事で一般化して自分の仕事相手に当てはめるなんてことはできませんが、まずは小さなことでも「行動原理が自分や周囲と全然違うな〜」というマインドを持つことができるのが大切だと思います。

その上で、仕事相手に初めて会う事になります。一人ずつしか話せない電話会議では到底出てこなかった情報がポンポン出てきます。
電話会議って一見効率的ですよね。アジェンダが決まっていてみんなで同じ画面を見ながら認識合わせできて。でも「別にこれはしゃべらないでいいや」って各人がちょっとずつ思っている事があるはずです。そして実はそれが知りたかったんだよ!って事が。
対面で話していればどうしたって間を埋めようとするので喋る内容も増えます。体感としてその時の情報が大事だったケースが多いのです。

表情もキーポイントです。英語が母国語でない場合、お互いなかなか心情をうまく表現できていない可能性があります。特に日本人主催の会議はカメラオフが多いですよね。実際会ってみると、こんなにニコニコしてたんだこの人ー!という嬉しい驚き。それだけで帰国後メール返信の腰が軽くなります。

会議の合間に連れていってもらうランチも超重要です。できれば、会議であまり喋ってない人の近くに座るのが良いです。
「忙しい?残業はどれくらい?」
「それはなぜ?」
「通勤はどれくらい?」

このあたりから始めれば相当な情報が出てきます。
組織が小さいので何でも屋っぽくなり忙しいとか、こういうお客さんをターゲットにセミナーを開くので準備が大変とか。

改めて言うまでも無いかもしれませんが、システム開発をする時、ユーザーの日常がすごく大事だったりします。忙しい時間帯やチーム体制(ワンオペなのか何人もいるのか)がプロジェクト進行だけでなくシステムの作りに直結するからです。
一般化すればここで言う「ユーザー」とはサービスの提供先=顧客 と言えるのかなと思います。

現地ステークホルダーとの関係構築→→スピードアップ

出張の目的の半分はこれかなと思っています。
何かをお願いする時・質問する時・それを受けた時の心理的ハードルが低ければ低いほどプロジェクトも成功に近づくと思っています。「あーちょっとこれ嫌だな」と思ったら後回しにしてしまうのが人間で、そうなったらどんどん遅延への悪循環に陥ります。
直近の木下斉さんのVoicyでも言われていましたが「仕事の速度」が仕事そのものだなと思います。

そしてスピードアップの手段としての人間関係構築はとても生産性が高いと思うのです。
前の章でも書いた通り、電話会議だと表情が見えなかったり、カメラオンにしたとしても、なんだかよそゆきの表情になりがちだと思います。
やっぱり対面で会うと距離感が一気に近づくなと感じます。
一人ずつしか喋れない電話会議とは違って、ちょっと遮って喋ったり、誰かの発言にニヤッとしたり(?)、ちょっとしたうっかりで場が和んだり。それぞれのキャラが見えるのもめっちゃ楽しいです。
お土産を差し入れしたり、先方もディナーのお店をアレンジしてくれたりと、「仕事でなくあなたのために(ほんとは仕事だけどw)」が重なっていく先に強い信頼関係が生まれます。
そして「一緒に仕事をしているのは人間同士なのだ」という超当たり前の事を思い出します(忘れるな)。

ソフト面の事前準備

情報収集と関係構築をブーストするためにやっている事を紹介します。

・現地の歴史は最低限勉強しておく
 だいたいローカルフードのお店に連れて行かれるので、歴史を知っていると食事の時にかなり話を広げやすい(質問しやすい)ですし、勉強したこととリンクするので単純に自分も楽しいです。
 また、アジア圏の場合は、日本が侵攻していた可能性が高いので、そのあたりのセンシティブな情報も最低限知っておいた方が良いと思います。

・現地出身の現代アーティストについて調べる
 歴史とも被るのですが、現代アートはほとんどが既存概念や思想に疑問を投げかけたり、弱者にスポットライトを当てているものが多いので、現地でどんな事が社会課題となっているのかがわかりやすいです。作品を見てどう思ったかとかを、現地の人と話す事もできたらなお良いですね。

・空港以外でお土産を買う
 いきなりレイヤの低い内容ですが、キットカットは大体の国のスーパーで売っています。空港で売っていないお菓子が吉です。

・ロジをしっかり
 簡単に旅程表をつくります
 現地での会議室やプロジェクターの準備もしっかり現地スタッフにお願いします

なぜ行きたくないのか?

こんなにメリットのある出張ですが、現地駐在員から「もっと来てほしいのに皆なかなか来ない。なぜなんだ」と言われたので、理由と対策を考えてみました。

・言語の壁
 これは頑張るしかないですね。頑張ればどうにかなります。私自身、帰国子女でも留学経験もなく、受験英語だけの状態で仕事を始めましたが、大体何とかなっています。そのうち勉強方法も投稿しようかと思いますが、勉強よりも「しゃべらないと無理」な環境に身を置くのが一番効率が良いかなと思っています。

・周囲からの目
 これは私自身も気にしていたことを後から気づいてハッとしました。気にしすぎです。数十万円使って行かせてもらうからには相当に成果を出さなきゃとか、こんなに忙しいのに良く行けるなと思われないかなとか、久しぶりの出張の前には頭をよぎっていました。
でも杞憂でした。きちんと目的を持って行ってそれを遂行すれば良いだけです。目的が「関係構築」でも私は良いと思います。関係構築がプロジェクトの生産性を高めるからです。何にしても目的が明確であれば、自信を持って「行った甲斐ありました」と報告できます。

・予算不足
 これも昨今の世知辛いJTCでは無視できないファクターです。。またあの予算担当に「必要性」を説明しないと、、と腰が重いですよね。
最近の私の作戦は、「出張素晴らしい論」を啓蒙して仲間を増やす事です。出張すればプロジェクト生産性爆上がりなんだぜ!という意識を醸成して予算担当を説得しやすい状況に持っていこうとしています。

もしこの投稿に共感してくださったら、「出張素晴らしい論」ぜひ周囲にも広めてみてください。


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