見出し画像

【デッキ紹介】YCSJ2024、本気で考えた【天盃】解説~確率調整編~

割引あり

「閉ザサレシ新幹線ノ半島(サロス=エレス・ナガサキケン)」よりこんにちわ。C.Bです。
今回は続き物の記事になります。
前回は確率を算出する上での、大前提。
「どれくらいの確率を正解とするか」「どれくらいの確率を求めていくか」を定めていきました。
まだ読んでない方は先にそちらを読んでから本記事を読み始めることをオススメします。

【デッキ紹介】YCSJ2024、本気で考えた【天盃】解説~構築方針編~|C.B (note.com)

それでは始めていきましょう!


おさらい

まずは前回挙げた構築目標です

目指すのは
①初手5枚中、手札誘発を2枚以上引く。
②後攻手札6枚中、初動札を2枚以上引く。

そしてそれらに対して「それぞれ75%以上の確率を目指す」が目標になります。

手札誘発の確率、調整

手札誘発を2枚以上引く確率

先攻の手札5枚で手札誘発を2枚以上引く確率は上記の通りです。
縦軸が「手札誘発の枚数」、横軸が「デッキ枚数」です。
そして目標確率をだいたい達成している箇所は太文字にしています。

これを見ると40枚デッキでは18枚以上、42枚デッキでは19枚以上、44枚デッキでは20枚以上の枚数を採用することが求められることが分かります。
これらの枚数を入れることで目標としては達成しますが、それだけで終わったらモッタイナイ!
もう少し踏み込んだ検討を今回行いました。

手札誘発不発確率

皆さんは「灰流うらら」が手札でダブったことはありますか?
「増殖するG」が3枚も来て絶望したことは?
手札誘発による空中戦が求められる現環境、枚数を確保することでダブりが発生してしまうことは仕方の無いことです。

しかし、YCSJという大会ではそれを無視することは命取り。
1つの手札事故により予選落ちへリーチがかかる関係上、最大限事故回避の動きは取るべきと考えました。
そこで、以下の数字を元に「手札誘発のダブり」=「手札事故」と捉え、その確率を求めました。
なお、「エフェクト・ヴェーラー」「マルチャミー・プルリア」「無限泡影」のダブっても使える手札誘発は対象から除くこととします。
「無限泡影」はなんぼあってもいいですからね!

例として、実際に私がYCSJに持って行ったデッキの手札誘発構築と、同じ枚数だが可能な限りカードをダブらせた構築を比較してみましょう。

こちらがYCSJに持って行った形式です。
この中でダブっても問題ない手札誘発は「マルチャミー・プルリア」「無限泡影」の2種類。
ダブると使えなくなる手札誘発は「灰流うらら」「増殖するG」の2種類が3枚採用されており、「浮幽さくら」「幽鬼うさぎ」「ドロール&ロックバード」「屋敷わらし」の4種類が2枚入っております。

YCSJのデッキは42枚デッキだったため、参照するのは42枚の縦列です。

「灰流うらら」を2枚以上引く確率が3.3%、「増殖するG」を2枚以上引く確率が3.3%それぞれある訳ですから、これらを加算した数値が手札誘発で事故を起こす確率です。
値としては

3.3% × 2(うらら、増G)+1.2% × 4(さくら、うさぎ、ドロバ、わらし)=11.3%

となり、手札誘発で事故が発生する確率は11.3%になります。
これが「手札誘発を2枚以上引く確率」の中に含まれているわけですから、42枚デッキで手札誘発を20枚採用している場合の「手札誘発を2枚以上引く確率」である79.7%から減算して

79.7% - 11.3% = 68.4%

手札誘発を2枚以上引いて、それらが有効に使える確率と考えて良いでしょう。(厳密に言うと他にも手札事故なパターンはありますが、低確率なため一旦ここまでで計算します)

これを上記の事故率最大の条件で考えてみます。
こちらでは3枚採用のカードが6種類、2枚採用が1種類のため

3.3% × 6 + 1.2% × 2 = 21.0%

となり、手札誘発で事故が発生する確率は21.0%まで増加することになります。
こうなると手札誘発を2枚以上引く確率が高くとも、事故を起こしてしまう確率により相殺されてしまう形になりことが分かるでしょう。

79.7% - 21.0% = 58.7%

となり、何と手札誘発を2枚以上引いて、それらが有効に使える確率は60%を切ることになります。
この有効な確率の低下が非常に気になったため、YCSJの構築ではそこを気にして構築を行いました。

最終的な調整

最終的な形としてはこちらになります。
重ね引きも有効な「無限泡影」は3枚、手札誘発に妨害を頼るコンセプト上「増殖するG」も3枚、全てのデッキで使用タイミングが存在する「灰流うらら」も3枚です。

2枚採用のカードは”重ね引きしたくない”のと”手札誘発の組み合わせで妨害を行う札”という認識で採用しております。
「深淵の獣マグナムート」は制限故の1枚採用、初動にもなるのでもっと入れたかった・・・

手札誘発の種類をバラけさせるということは仮想敵が分散してしまうリスクがありますが、YCSJは参加が8000人想定であり、どのようなデッキが出てくるか分かりません。
シェア率が高いデッキを対策するのはもちろんですが、それでいつつ広いデッキへの対応力が求められると考え”散らす”採用としました。

最終的な調整形としては
初手手札誘発2枚以上の確率:79.7%
→目標達成!

有効な2枚以上の手札誘発を引く確率:68.4%
→妥協(-6.6%)

という構築としました。
「エフェクト・ヴェーラー」に置き換えることでさらに重ね引きOKな手札誘発を採用することで確率を高めることもできましたが、相手ターンの妨害にしか使えない用途の低さ、先攻を押し付けられた時に「無限泡影」であればセットすることで追加の妨害の可能性を残せることから不採用としました。

【天盃】としての初動の確率、調整

後攻に初動を2枚以上引く確率

手札誘発の方でやった確率検討と同様に、後攻6枚の手札で初動を2枚以上引く確率はこのようになっています。
【天盃】は初動=ワンキルの構図になっているため、この確率を高めることがそのまま勝利に繋がります。
そしてこれは初動を2枚以上引く確率な訳ですから、1枚を妨害で止められても踏み越えてワンキルができる確率になります。
より勝利の確実性が高い確率を見据えて、デッキを構築することとしました。

40枚デッキで15枚以上、41枚デッキで16枚以上、44枚デッキで17枚以上となりますね。

ここからさらに不発確率を見ていきましょう。

初動不発確率

本デッキの初動カードとしては上記のカードと定めました。
正直完全な”初動”として数えて良いか微妙なカードが「深淵の獣マグナムート」「仇すれば通図」の2枚あります。
特に「仇すれば通図」は初動がめくれるかどうかに依存しますが、このカードを初動とカウントしなければいけないということはデッキ内に初動カードが多数存在するということ。
デッキ36枚(初手6枚引いてる想定)内に初動カード16枚が存在している場合、2枚めくると初動をめくる確率69.8%、3枚めくると84.0%の確率、4枚めくると91.8%の確率で初動をめくり当てることができるため初動と定めております。

この中で「パイドラ」「チュンドラ」「盃満ちる燦幻荘」「燦幻開門」が3枚、「幻禄の天盃龍」が2枚入っておりますのでこれらがダブってしまうことを不発と定めます。

手札が6枚になったことでダブってしまう確率もUPしています。
こちらを本デッキに当てはめると

4.9% × 4 + 1.7% × 1 = 21.3%

となり、21.3%はダブりが不発に終わる確率であることが分かります。
これが「初動を2枚以上引く確率」の中に含まれているわけですから、42枚デッキで初動を18枚採用している場合の「初動を2枚以上引く確率」である82.8%から減算して

82.8% - 21.3% = 61.6%

が「有効な初動を2枚以上引く確率」、つまり1回の妨害を貫通した上でワンキルを決めることができる確率になります。

「パイドラ」+「幻禄の天盃龍」や「仇すれば通図」+「盆回し」などの有効と言えない初動の組み合わせもありますが、固定の組み合わせで引く確率はさらに小さくなるためここでは無視します。

最終的な調整

最終的な調整形としては
初動2枚以上の確率:82.8%
→目標達成!

有効な2枚以上の初動を引く確率:61.6%
→妥協(-13.4%)

という構築としました。
後攻の手札6枚という条件から初動を2枚以上引くことは容易でしたが、手札誘発のように2枚採用を多数行うことが難しかったためダブりで引いてしまう確率も高くなってしまい、有効な2枚以上を引く確率は目標を満たしているとはいえない状態となってしまいました。

この状態を改善する手として、「パイドラ」の枚数を抑え「ドラ・ドラ」を採用するという手段があります。
「ドラ・ドラ」は「パイドラ」と召喚権を食い合うため3枚ずつ採用はダブりを引き起こす可能性を高めてしまう危険性がありますが、2枚採用を散らすことの有効性は[手札誘発]の項目で述べた通りです。
YCSJでもその形にするかは直前まで悩みました。
しかし、YCSJでは私のこだわりと願掛けという論理的でない理由で「ドラ・ドラ」不採用としました。
私は「パイドラ」3枚を全て25thシークレットレアで揃えていました。
どうしてもこれを3枚全部使いたかったのです(笑)

ここまで【天盃】の確率を詰めに詰めて構築していたのです。
このこだわり1点だけならもう仕方ないと諦めがつきますし、「ドラ・ドラ」+「25thパイドラ」と引いて頭を悩ませるより「25thパイドラ」を2枚引いた方が精神的なダメージは少ないと判断しました。
だってこっちの方が眺めてて楽しいですし。

多少の人間臭さが残りつつも、必要な確率はしっかり抑える。
これが今回の私の【天盃】の構築でした。

捲り札を引く確率

一応捲り札を引く確率も載せておきます。
今回の構築では「禁じられた一滴」「コズミック・サイクロン」「無限泡影」の7枚が後攻の自ターンで使用できる相手の妨害を剥がすための捲り札としました。

42枚デッキで後攻手札6枚中これらのカードを1枚以上引く確率:69.1%、予選8試合中5試合は捲り札が引ける見込みありと判断しました。
ちなみに
後攻で初動2枚以上+捲り札1枚以上を引く確率:54.2%
後攻なら半分の確率でワンキルを通すパワーがさらに高まるため、捲り札を入れている価値が充分にあると言えるでしょう。

また、「禁じられた一滴」「コズミック・サイクロン」「無限泡影」は押し付けられた先攻で引いても妨害として活用できる点で、採用を決めております。
捲り札に求めたのは”役割を2つ以上持てること”
サイドデッキの無いルールにおいて、先攻で使いようのない「サンダー・ボルト」よりも役割が多いカードの方を採用することを意識しております。

結果:3回戦負け

まあ、ここまで御託を並べておいて結果は振るいませんでした。
3回戦敗退。
1戦目【天盃】ミラー:×
2戦目【海造賊キマイラ】:〇
3戦目【オルターガイスト】:×
でした。
全体的に手札の質は問題なく、理論立てて構築した甲斐はあったと感じましたが、それだけで勝てないのが遊戯王、カードゲーム。
だからこそ楽しいなと感じました。

くっっっそ悔しいけどな!!

1回戦【天盃】✕
じゃんけん負けで先攻を押し付けられる。
「パイドラ」に「ヴェーラー」を合わせられて「無限泡影」セットエンド。
相手の初手に「パンクラ」がいて「無限泡影」が機能停止。
「盃満ちる燦幻荘」に「うさぎ」を合わせるも初動2枚目があり超えられる。
「増G」でドローして追加の誘発を狙いに行くも有効打無く負け。

2回戦【海造賊キマイラ】○
ドローフェイズに「マルチャミー」を投げて圧をかける。
「キマイラフュージョン」に「わらし」を合わせてリソースを削ると「トップハット」登場、「ミメシスエレファント」がセットされる(「トップハット」は「うさぎ」で破壊、「盃満ちる燦幻荘」があったので除去できてよかった)。
手札に「幻蝋館の使者」、セット「ミメシスエレファント」+1枚、墓地に「キマイラ」がある状態でターンを迎える。
相手から誘発が無かったため「盃満ちる燦幻荘」でサーチした「パイドラ」から展開しバトルフェイズ「オッドアイズメテオバースト」を出してモンスター効果封殺、ワンキル。

3回戦【オルターガイスト】✕
後攻が取れて手札誘発も「泡影」、「わらし」、「うらら」、「うさぎ」と誘発の握りは充分だったが相手が2枚のセットでエンド。
「パイドラ」から動いたが「ダルマカルマ」により後攻1ターン目を凌がれる。
返しのターンは誘発で妨害したが「魔法族の里」を貼られる。
後攻2ターン目を迎え、「灼熱の火霊使いヒータ」を出すことでロックを解除して「盃満ちる燦幻荘」を発動して展開を始めたが相手の初手セットの2枚目が再び「ダルマカルマ」。
「ダルマカルマ」の『「盃満ちる燦幻荘」がある場合「天盃」モンスターは全て墓地へ送られる』という特性を利用され、フィールドをがら空きにされターンエンド。
相手の3ターン目にしてこちらの妨害が尽き「オルターガイスト」リンクモンスターを2体並べての総攻撃力12100キルパターンに持っていかれ負け。

1いいねが付いたので「私を見送ったデュエリストからかな?」と思ったらいいね元が「株式会社 五月ヶ瀬(さつきがせ)
お菓子の販売元からでした(笑)

まとめ

結果は振るいませんでしたが、大会形式に合わせた目標確率を定め、そこを目指してデッキ構築を行うという他にやっている人が中々いない構築を行うことができたのは私にとって大きな成果だったと感じております。

また、その構築理論表に出すという大きな挑戦も果たすことができたため、非常に満足のいく大会となりました。
6月になっても大会を楽しんでいたという意味では、私がYCSJ TOKYO2024を最も長い期間楽しんだと言ってもいいのではないでしょうか(流石に暴論)。

今回はシングル戦に特化した形での構築を行ったため、マッチ戦とはまた違った構築となっていることを強く感じておりました。
シングル戦を見据えた確率によるC.B式デッキ構築理論はひとまず形になったため、次はマッチ戦に向けた理詰めがしたいな~と思いつつ、本記事を締めさせて頂きます。

余談

以下余談です。
デッキ構築にあたっての採用理由や悩んだ点など。
本文に入れると冗長的になると判断して省いたものを書きだしております。
SNSプロモーションを利用するとタダで見れるようにしておりますので、ご興味のある方は是非該当ポストをリポストしてってください。

ここから先は

3,580字 / 3画像

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

もし記事に書いてない内容で、何か他にも知りたい情報があれば是非教えてください! 記事を更新してお答えしたり、今後の記事に盛り込んだりでお応えします!