「文章を書く」こと

 「文章を書く」こと.現在私は大学院の博士課程に所属しており,日々論文執筆を目標に研究活動に励んでいる.「文章を書く」ことが,学位取得への第一歩であるし,一種の生業のようなものとなっている.しかし,私は「文章を書く」ことに対する不安,自身の執筆力に対するネガティブな感情を強く感じてしまいがちである.
 例えば研究助成金の申請書.原稿を作成し,指導教官に添削をお願いする.すると論の展開から細かな「てにをは」に至るまで,真っ赤に修正指示が入って返却される.これ自体は非常にありがたい学習機会である.しかし,正直なところ好みの問題であるような細かな表現についても教員の添削通りに修正してしまう瞬間,MS Wordの校閲機能の「すべてを受け入れて編集を終了」ボタンを押し,自分の文章を破棄する瞬間,少し悲しい気持ちになる.なぜ私はここで我を通せないのかと.つまるところ私には自分の文章への自信がないのであろう.

 思い起こせば子供の頃,趣味は小説を書くこと!と話し,人を楽しませるお話をどんどん書き上げていく姉がうらやましかった.大学の一番の友人は文学,歴史学を学ぶ学生で一緒に観に行った映画の感想をそれはもう素敵な言葉を駆使して見事に言語化していた,うらやましかった.

 私は自身の能力全般に対して自信のない人間である.どうしてもネガティブで内向きな性格をしてしまっている.だが,文章を書くこと,発表することへのあこがれはずっと抱き続けている.この場では,自分を飾らず,過小評価もせず,自分の思うままを書き連ねてみたい.書くことを通して少し自分を好きになれたらいいな,と思っている.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?