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サバ旅@小浜 早起きは三尾の得?!「鯖街道」の起点界隈で“サバ朝活”してみた。

2024年、ハードな年明けとなりました。
令和6年能登半島地震により、被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。
1日も早くみなさまが安心して過ごせますようお祈り申し上げます。

さて、新年1発目のnote更新です。
皆サバ、今年もよろしくお願いします。

さかのぼること、2023年10月某日。
サバやしはサバ関係の仕事で、福井県の美浜町を訪れることになっていた。そこで、せっかくなので前乗りして、同じ福井県の小浜市街から車で20~30分のところにある田烏(たがらす)という土地に、「よっぱらいサバ」を養殖する方を訪ねた。その話はまた今度紹介するとして、
今回は、出張のプチごほうび(自分に)として小浜市街で楽しんだ“朝活”について書いてみたい。
 
と、その前に。
小浜市は、福井県の南西部(嶺南)に位置し、若狭湾に面した人口約3万人の市である。読み方が「おばま」であることは、米国元大統領の就任時(2009年1月)に全国レベルで認知されることとなったが、サバ好きの皆さんにとっては“そんなの常識”でしたよね。古くから日本海側の主要な港として栄え、特に京の都へサバなどの海産物を供給した「鯖街道」の起点として名高い土地であり、なんといっても2016年の「第3回 鯖サミット2016 in 若狭おばま」開催地!ともなった“サバ食推進地”なのだ。

さて、小浜市街の宿を8時すぎにチェックアウトしたぼくは、小浜新港(漁港)の方へ向かって散策を開始した。小浜駅から新港までは徒歩20分ほどで、泊まった宿はその中間地点に立地していた。
快晴の秋空の下を10分も歩けば、係留してある漁船が揺れる港の風景が広がった。

※JR小浜駅から来る場合は、駅正面の「若狭おばま観光案内所」でガイドマップなどを入手しよう。

港の風景の写真
港の風景

そして、朝活第一弾は「若狭小浜お魚センター」だ。

若狭小浜お魚センターの写真
若狭小浜お魚センター

ここは新鮮な魚介、干物や加工品を並べる店が集まった一般客向けの魚市場で、市民はもちろん観光客にも人気のスポット。この中に朝6時から開いている食堂「五右衛門」があるので、朝食を食べるために、宿泊を素泊まりにして早めに出てきたのだ(物販店舗は朝7時から営業)。

焼きサバ定食の写真
焼きサバ定食

朝からこんな旨いものを食べられるとは…。はー朝活最高。焼きサバはもちろん旨いが福井は米どころでもあるためか、ご飯もめちゃ美味で、この後おかわり(自由)した。

食堂「五右衛門」の写真
食堂「五右衛門」

ユニークな五右衛門の外観。大将らしき人物画の右に唐突にいる猫は「さばトラななちゃん」といって、小浜商工会議所が開発したゆるキャラ。街歩きをしているとしばしば会えるので探してみよう。

おさかなセンター売り場の写真
おさかなセンター売り場

大満足の焼サバ朝食の後、市場内をぶらぶら。魚好きには見ているだけでもたまらん品揃えで、この後仕事のため移動するため爆買いできないのが残念すぎた。

浜焼き鯖の写真
浜焼き鯖

小浜を歩いていると割とあちこちで見かける「浜焼き鯖」。
サバを丸ごと串に刺し、直火(炭火の店もある)でじっくり焼き上げる、小浜の家庭で昔から食されている郷土料理である。
若狭湾でサバの漁獲量が激減した現在では、ノルウェーサバを使っている店がほとんどだが、じっくりと焼き上げられた大振りのサバは脂が程よく落ちて香ばしく旨い!
食べ歩きにはいささか大きすぎる気もするのだが、地元の人に聞くと、1尾を買って帰り、大皿でほぐして、家族みんなで「おかず」として食べることが多いそうで、生姜醤油をつけるとも。これも独特の食文化だな。

次に立ち寄ったのは、「若狭フィッシャーマンズ・ワーフ」。若狭の味を集めた土産物屋やレストランのほか、観光名所「蘇洞門(そとも)」めぐりクルージングの発着地もある、小浜の観光拠点の一つだ。

海鮮レストラン「海幸苑」の写真
海鮮レストラン「海幸苑」

この中の海鮮レストラン「海幸苑」は、以前訪れたことがあり、当然ながらとびきり新鮮で旨かった。サバメニューとしては前述の「浜焼き鯖」が御膳スタイルで食べられるほかサバ寿司もある。そして、田烏で養殖されている「よっぱらいサバ」が食べられることもある。

よっぱらいサバの刺身の写真
よっぱらいサバの刺身

それから、サバやしが密かに大好きなのが「サバ醤油干し」。見てくれは素っ気ないが、これが旨い。小浜の伝統加工品で、塩干しとは一味違う旨味が楽しめる。穴子や連子鯛、エソなんかでも作られる。前述のお魚センターにあった穴子の醤油干し、食べたかった。

サバ醤油干しの写真
サバ醤油干し

さらに歩いていくと、ひときわ目立つモダンな建物があった。
「御食国若狭おばま食文化館」。

御食国若狭おばま食文化館の写真
御食国若狭おばま食文化館

御食国(みけつくに)とは、古代から平安時代まで、都の朝廷に海産物などを納めていた土地の呼称で、すなわち、ここはそれほど古くから上質な食材の宝庫だったのだ。
ミュージアム(展示)や体験施設のほかに、「濱の四季」という地産地消レストラン(鯖メニューも豊富)と、「濱の湯」という温浴施設もある複合施設だ。ここだけでも一日過ごせちゃうほどの充実っぷりだが、今日は仕事があるので先を急ごう…。

鯖街道の起点のプレートの写真
鯖街道の起点のプレート

2015年、「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国若狭と鯖街道~」が、文化庁の「日本遺産」第一号として認定された(初年度に認定されたのは18件)。それとともに小浜市ではこれらの歴史文化の伝承と観光での地域活性化をめざして、さまざまなプロジェクトが進んだ。

ぼくが始めて小浜を訪れた10年ほど前には、鯖街道の起点は「いづみ町商店街」というレトロなアーケードの中の道に、割とひっそりめにプレートが埋められていたのだが(街道が商店街になっていたのだ)、今では商店街のアーケードは取り払われ街並みが整備され、起点のプレートや看板が観光客にもわかりやすく佇んでいる。

同時に整備されたのが、「小浜市鯖街道ミュージアム」だ。
ここは2020年3月8日(鯖の日)にオープンした、「鯖街道」のガイダンス施設。文化庁の日本遺産である鯖街道や北前船についての展示、小浜市の文化財や伝統芸能などを紹介している。

「飛び出すサバ」のトリックアートの写真
「飛び出すサバ」のトリックアート

小浜市鯖街道ミュージアムのエントランス前には、「飛び出すサバ」のトリックアートが。ついにサバも“映え”写真になる時代が…。
ただサバやし的には若干…いやかなり引っかかるところがあった。

(いやいやいやいや、ノルウェーサバでんがな!)
(日本のマサバにしてくれよぉ!!!)

若廣 本社の写真
若廣 本社

都内でも店舗展開し、羽田空港の“空弁”でも不動の人気を誇る焼き鯖寿司の有名店。ここが本社である。鯖サミットにも毎回出店していただき、ありがとうございます!

マンホールアートの写真
マンホールアート

たまには下も見て歩いてみよう。こんなマンホールアートを発見したら小躍りするよね?

小浜駅前の「はまかぜ通り商店街」のシャッターアートの写真
小浜駅前の「はまかぜ通り商店街」のシャッターアート。サバサバ~♪
さばトラななちゃん!の写真
さばトラななちゃん!

小浜は、もともと酒井氏の城下町として発展した歴史があり、昔ながらの街道の風情を残す街並みが保存されているエリアも。中でも「三丁町」は、NHKの朝ドラ「ちりとてちん」(2007年)ロケ地として人気となり、今も案内板が点在している。

三丁町の街並みの写真
三丁町の街並み

8時過ぎにホテルを出て、12時前に小浜駅から美浜行の列車に乗るまでの間に焼きサバ朝食をゆっくり食べたり、海産物店を見て回ったりとぶらぶら歩き回った今回の朝活。いや~充実してましたね。
今回訪ねたスポットは駅から徒歩圏内(10~20分程度)に集中しているため、効率よく見て回れました。今度は御食国若狭おばま食文化館の展示をゆっくり観て、なんならひとっ風呂浴びて、蘇洞門めぐりクルージングも組み込んで、のんびり楽しみたいなあ。とにかくサバをはじめ海産物は何でも旨いしパラダイスである。
そして、脚に自信がある方は、鯖街道を起点から京都まで歩くウオーキングコース※はいかがですか? 峠道を2日間かけ、昔のサバ運搬人の気持ちを追体験できると人気が広がっているとか。
サバやしもいつかは踏破してみたいと夢見ているが・・・その前に、ちょっとジム行ってきます!

※ガイドマップを市内の観光拠点各所で販売しています。

小浜駅のホームの写真
小浜駅のホーム

ローカル線の常としてJR小浜線も本数は少ないので、必ず時刻表をチェックしてから動こう。小浜駅から美浜駅までは10駅・約40分。

この小浜を含む若狭湾沿岸は古代から海の幸に恵まれ、都人たちの食を支えてきた土地。やはり鯖文化の奥行きも深く、サバニストにとっては何度でも訪れたくなる“聖地”の一つだと思う。
小浜市や商工会議所など関係機関も、鯖街道の日本遺産登録を機に、さらに国内外へ発信していこう!と頑張っているなあ、という印象を受けた。誘致していただいた2016年の鯖サミットも、僅かでもその一助になったとしたら嬉しいです。

<サバ旅メモ>
小浜への旅は、鉄路だとJR小浜線の小浜駅がゲートとなります。
JR小浜線は、福井県の敦賀と京都府の東舞鶴を結ぶ路線で、サバやしが愛する「へしこ」の一大産地・美浜町の美浜駅もこの路線上にあります。敦賀側からなら進行方向右側、東舞鶴川からなら左側に座ると、若狭湾や三方五湖の素敵な車窓が楽しめます。
2024年3月16日、北陸新幹線の金沢~敦賀間延長開業によって、首都圏からのアクセスがちょっとよくなります。

<おまけ>

田烏の「よっぱらいサバ」生産者の方々と小浜市街の店で食べた「若狭ぐじ」の唐揚げ。
ぐじ とは甘鯛の当地での呼び方。小浜を代表する魚の一つだ、驚いたのはその調理法。うろこを引かず、そのまま素揚げしているのだ。うろこごとバリバリ食べたのは初体験・初食感。美味しい!

「若狭ぐじ」の唐揚げの写真
「若狭ぐじ」の唐揚げ。揚げたうろこが毛羽立っているのがおわかりいただけるだろうか…。(一部、齧った後に撮りました。。)

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