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アルファパーチェス

12/26上場予定

MRO(maintenance, repair and operations)を主に大企業向けに、顧客先のERPシステムと連携させたうえで販売。システム連携しない中小企業に関しては親会社であるアスクル経由で販売している。

<ポイント>
・今期計画の増収率は13.3%
・2012年以降、2022年計画までのCAGRについて、2017年~2020年を海外子会社清算とコロナ下の影響ゆえ度外視して評価した場合、16.8%
・1年後EPSは今期と同じ増収率・営利率の前提で80円ほど
・「営業益÷粗利益」は21.7%→22.1%→計画22.3%と安定している
・オーダーを受けてサプライヤーから顧客へ配送させるマーケットプレイス方式であり、在庫リスクや市況による利益率の極端な変動は無い
・親子上場である点は、機関投資家に評価されにくい側面。比率から将来のプライム上場も視野に入らない

取扱商品が修理や維持に供する消耗品中心であるがゆえ、売上推移は長期的に安定している。かつ、長期的な成長も遂げている。

2017年~2020年は増収率が鈍化しているが、20年についてはコロナ下、19年以前については「東アジアにおける現地顧客相手の販売を断念」したことが一因と考えられる。
2012年~2022年計画までのCAGRは上記4年を除くと16.8%。

粗利益が実質的な販売手数料でありスプレッドだとすると、「営業益÷粗利益」が全社費用も考慮した実質的な収益性ということになる。
この数値は過去2年21.7%→22.1%、計画22.3%と安定しており、収益性が確立されている反面、利益率の向上も考えにくい。

EPSは、23年12月期を今期計画と同じ増収率・営利率とした場合、81円。

スタンダード市場上場だけあって完成されたモデルで、業績見通しに関してこねくり回す意義は薄そうに思える。

以上から本件の評価を左右するのは偏にPERであるということが言えそう。

ビジネスモデルはトラスコ中山やミスミグループよりもMonotaROに近い。しかし、本件のビジネスには『顧客のERPシステムと連携する』という実質的な縛りがあり、それなくしては強みが曖昧である。この点、MonotaROのような拡張性はなく、あくまでもニッチ。
ここまでのCAGRは長きに渡って再現可能なものではない、との見地に立てばPERは20倍もあれば割安感は全く無いということになるだろうか。
以上からはアップサイド1,600円、ダウンサイドはトラスコ中山並みPER12.5倍の1,000円と見立てておく。

アップサイドへの修正可能性は、親子上場ゆえ機関投資家の介在が期待しにくいことからそう高くはないが、反面、海外配分のような需給の歪みもないことからダウンサイドは限定的、と評価して肩の力を抜いてエントリーするようなイメージか。

小型株、いまはとりわけグロース株の評価を業績面から行い、見た目のPERではわからない「成長性に鑑みて割安な銘柄」の発掘を目指しています。IPOセカンダリーなど。