Trailmakers 初心者ビルドガイド 車編② ちょっと速い車を作る
0.前置き
ステップアップガイド第二弾、ちょっと速い車を作ります。
今回は「重心」と「モーメント」という要素を説明します。この要素は車以外のマシンを作る際にも非常に重要になる要素です。
移動や探索にちょうど良い車を前回の知識を踏まえて作ってみましょう。
1.強いエンジンを積む
はい、身も蓋もないですね。パワーコアが許す限りエンジンを積みましょう。とはいえ積みすぎると説明しにくいのでパワーコア5個としましょう。
ドラゴンエンジン1個、RAUエンジン1個。コア5個であればこれが最もスピードの出る組み合わせでしょう。
ではこれをバンパーカーにポン積みします。
バンパーはジャマなので外しちゃましょう。
ただのカーになりました。
はい、曲がることもできず横転しました。これでは使えませんね。車は曲がることもできて一人前です。
では、何が起こったのか分析して解決していきましょう。
前回でも言いましたが、最も重要な事は「どのような物理が働いているか観察すること」です。
やっていきましょう。
2.何が起こったのか
まずは観察しましょう。ということで真後ろからカーブ時の挙動を確認しましょう。
真っすぐ走っているときは問題なさそうです。
これがカーブに差し掛かると、
こうなります。左のタイヤが完全に浮いてしまって転がる一歩手前ですね。
この後は、このまま横転してひっくり返ると。
どのような動きがあったのか分かりましたね。
3.横転の原因
車を横転させた原因、それは「遠心力」です。
車が曲がる時、カーブの外側の方向に体が引っ張られますね。あの力です。
遠心力がどうやって車を転がすのかを考えるために、まずは「重心」と「モーメント」を知る必要がないあります。
ここから重心とモーメントの講義を長々と始めます。かなり砕いて細かいことを飛ばして説明しますが、まあまあ難しいです。手っ取り早く対策が知りたい人は8まで飛んでください。
4.重心とは
重心は簡単に言えば「重さの中心」です。
例として、画像のような左右に重量の違うブロックをおいたシーソーを用意しました。
上から見て、このシーソーの中心は青ブロックの場所です。そこに足をつけて立ててみましょう。
重い方に倒れましたね。では左右の重さが釣り合うように足の位置を移動させます。
しっかり立ちました。これが「重さの中心」です。
あらゆる物理現象はこの重心を中心にして起こります。
重心は前後左右、上下方向にも存在します。
5.バンパーカーの重心位置
ということでバンパーカーの重心位置を求めましょう。
やり方は簡単。さっきみたいに足をつけて倒れない場所を探すだけです。
左右方向は対称形のため、中心=重心です。
前後方向で探すため、当てずっぽで足をつけてみます。
ここら辺みたいですね。
上下方向も同様に探します。ここですね。
バンパーカーの重心位置が分かりました。
先程も言ったように、あらゆる物理現象は重心を中心にして起こります。
車重も、カーブの際の遠心力もこの重心にかかってきます。そして重心がここにあるからカーブのときに転倒する原因となります。
6.モーメントとは
「ある点を中心とし、物体を回転させる回転力」です。
モーメントが発生するとき、必ず支点、力点が存在します。
つまり、遠心力が車を回す時にも、必ず支点と力点が存在します。
そしてものを回す力は、支点と力点を繋いだ線の直角方向の力しかものを回す力になりません。
簡単に言ってしまえば、支点と力点を繋ぐ線と、掛かる力の角度が直角から離れるほどモーメントは小さくなります。
支点力点をつなぐ線と力がかかる方向に注意しましょう。
7.原因を突き止める
では学んだ「重心」と「モーメント」を使って遠心力がなぜ車を横転させるのかを見ていきましょう。
車が曲がり始めてまだ左タイヤが浮いていないときを想定して、重心、力点、支点、遠心力、車重等の力関係を書き込んだのが以下の図です。事故直前に何が起こったのか。
支点は車が回転している中心である、右タイヤになります。ここを中心に回転運動が起こっています。
遠心力は重心にかかります。真横方向にかかりますが、その力のすべてがモーメントになるわけではありません。重心と支点を線(緑の線)で結び、その直角方向の力の成分がモーメントになります。
重心には遠心力だけでなく、車重もかかっています。
車重も遠心力と同じく右のタイヤを支点に車を横転させまいとモーメントを発生させています。
つまり、右のタイヤを支点に、重心位置にかかった遠心力モーメントが、車重モーメントを超えたため車が横転した、ということですね。
8.横転を防ぐ方法
横転の原因が完全にわかりました。ということは取るべき対策もわかります。
・車幅を増やす
車幅を増やすと遠心力モーメントが減り、車重モーメントが強くかかります。
支点が遠くなり、重心と支点をつなぐ線の角度が浅くなるからです。
・重心を下げる
こちらも遠心力モーメントを減らし、車重モーメントを増やす効果があります。
こちらも、重心と支点をつなぐ線の角度が浅くなるからです。
・車重を上げる
おもりを積んでしまえば、車重モーメントが上がり、遠心力モーメントに対する力も上がります。
ですが、重いと加速が悪くなります。
・スポイラーをつける
空力で車を押さえつけることで、車重を上げた時と同じ効果を得られます。
ですが空力は速度に比例して発揮されるため、速度が遅い時には横転の危険があります。
・サスペンションをつける
サスペンションをつけると、カーブの時に支点側のタイヤが沈み込みます。重心と支点の角度が浅くなり、カーブのときだけ重心を下げたときと同じ効果が得られます。
浮いてしまう側のタイヤはサスペンションが伸びて、タイヤが完全に地面から離れないように動くためより安定してカーブできます。
しかも地面の凹凸にも強くなり、いいことづくめです。
ではこの中のいくつかをバンパーカーに実装してみましょう。
9.改良型バンパーカー
・車幅を増やす
・重心を下げる
・サスペンションをつける
これらを実装してみましょう。
できました。
車輪とボディの間にサスペンションを入れました。ついでに車幅も増えて一石二鳥です。
エンジンをボディの構造を変えて1ブロック下げました。重心が下がります。
では曲がってみましょう。
横転せず曲がれました。やりましたね。
10.おわりに
長くて難しくなりました。この方向性でいいのだろうか…?
Trailmakersの記事のはずなのにただの車の物理講座になっています。
簡略化されているとは言え、現実の物理をよく反映している証拠と言えるでしょう。
次回はスピードを追い求めるのはやめて、重量物を運搬する車の作り方をやろうと思います。
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