【読書記録】ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ-イリーナ・メジューエワ (著)

こんばんは。たまたまKindleセールでみつけたこの本。今回はこの本を読んだ感想を書きます。

わたしは、芸術を言葉で言い表すことがとても苦手です。
「なんかすごい。」「なんかうまい。」「なんかきれい。」「なんか上手。」
・・といった事しか感想が出てこず。。

例えば旅先で有名な美術館は、せっかくなので入ってみますが、
良い感想を言うことができないです。
「ほう、、これがあの有名な・・・。」

こちらの本は、ピアノ曲について書かれています。
読んでみると、私が今まで感想を述べることができないと感じていたのは、その事についての知識が不足していたためではないかと。そして、感想は別に何でも良いのかもしれないと。

作曲家の人となり(残っている手紙を読むなどもしている)、歴史的背景、技巧的な話、おススメの演奏CDなど色々な要素が詰まった本でした。特にベートーベンの章が印象に残ったので、いくつか紹介します。

例えばショパンの作品は、どれだけ難しくても最終的に手にとって自然に書かれている。  --中略--  でも、ベートーヴェンは、たぶん四つの声部の論理、ハーモニーの動きを優先するんです。  --中略--  弾く人のことは考えてない(笑)その一方でピアノという楽器の可能性をフルに使う。だから技術的にちょっと独特な世界。楽器をフルに使いながらも、楽器を超えている。  --中略--   テンポについてもおもしろいですね。例えば、「ハンマークラヴィーア」第4楽章のフーガでベートーヴェン自身が書いたメトロノームの数字は4分音符=144。速過ぎて、とても弾けない。  --中略--  このテンポで弾けないと、ベートーヴェンもわかっていたと思います。でも書いてしまう。理想的にはこうあるべき、あるいはこうしたい。その気持ちが強くて、物理的には無理なことでも理想を書くわけです。「ハンマークラヴィーア」に限らず、すべての曲について共通するのは、ものすごいパッションが流れていること。ゲンリヒ・ネイガウスの有名な言葉ですが、「才能とは何か。それはパッションと知性である。」ベートーヴェンの作品の深みを表現するためには、膨大な知識と強烈なパッションと優れた演奏技術が必要です。
「月光」という分かりやすいイメージがうけた。もっともこのソナタはベートーヴェンの生前から人気があったんですね。でも、ベートーヴェン自身は弟子のツェルニーに「私はもっといい曲を書いているのにどうしてみんなこの曲ばっかり弾くのか」と文句を言っていたという話が残っています。

ツェルニーはベートーヴェンの弟子だったのか!という細かいところから、ベートーヴェンのパッション的なところまで印象的でした。ほかの作曲家についても沢山書いてあるので、よかったら是非読んでみてください!


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