波止場

虚栄の町から孤独の砂浜へ
深夜の通りを歩いていく
かもめの眠る波止場では
牧場に羊が閉じ込められている

蚤が住み着いた波止場の中央には
恐ろしい夜を通して明滅する光があり
そこでは毎晩人々の泣き声が聞こえる
かけがえのない心はどこにいってしまったのかと

白昼、父と息子は路頭に迷い
恐ろしい影が彼らを見つめている
それは恥にまみれた亡霊で
噂話や物語を食べては吐き出している

傷心埠頭の光の上には
幸せに隠れて見えないものがある
冷たい絶望の中に見つけた喜びを
振り返って友と語り合う
それでも平和に生きられる方がずっと幸せだから
わたしはわたしの鍵を持っていてよかったと思うのだ

ハートブレイク・インから音が聞こえてくる
かつていたこの場所に、いま回帰する
この第二の家は、わたしの感情の
小さな小さな破片からできている

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