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clusterワールド制作記録【電脳都市トロットミュージアム】

どうも、カティアです。今から二年半余り前、clusterに常設ワールド機能が追加されて間もないころ、私も新天地を求めいち早く参戦していました。

今回制作したのは、この時制作したワールド「UNBIPED MUSEUM」のフルリメイク版。2年半分の蓄積に加え、乗り物機能を筆頭としたclusterの機能向上の恩恵を受けて、大幅アップグレードを目指します。

電脳都市「トロットミュージアム」オープンです!

◆バーチャルと博物館

本館。ボクセルで組んだモックアップと、それをもとに制作した乗り物。

バーチャル空間を博物館、美術館といった展示場にする試みは、それほど目新しいものではありません。

まず、空間の大きさに左右されません。数百mの物体でも実物大で配置出来ますし、物理的な博物館では可動壁や仕切りで調整するところを、間取りそのものを調整できます。
そもそも壁をなくすことだってできますし、展示物に合わせて非現実的な建築物にすることも出来ます。

身の丈を超える巨大な画像や3Dモデルを見上げたり、のぞき込んだり。デスクトップ勢やスマホの方は時に一人称視点に切り替え、VRの方は首が自由に動くのを生かして色々な視点で観察できます。この博物館の展示がそれに堪えるかは別として。

オカヤ車両製競技用四脚車両、アマルガ号。この博物館で最速のマシンだ。

とは言え、置物CGだと説得力に欠けるかもしれません。ましてや、実在しない架空の存在ならなおさら。そこで今回は、「体験」としても楽しめるよう実際に動かせる乗り物アイテムとして組みました。

◆4つの仮想メーカー

ボクセル多脚戦車アバター「バンクス」。

前身である「UNBIPED MUSEUM」は元々、バーチャルマーケット4に展示予定の多脚戦車アバターを実物の戦車並みの大きさで展示したワールドでした。もちろんそれだけを並べるのは寂しいので、同時期に制作していた同種のボクセルマシンを並べました。

今回はフレーバーテキスト面でも強化。特色を出すため、運用母体サークルが制作中の世界観を元に四つのメーカーを設定。世界観顕現ワールド、第二世代電脳都市として生まれ変わらせます。

◆ソロモン・テクノウインズ

テーマはワンダー,トイ,ビックリ。命名規則は幻獣

ホビー向けの大型メックに特化した超企業派のメカニック集団で、比較的安価かつ奇抜なモデルが多い。過酷な運用こそ向かないが普及モデルではバイク並みの価格帯を実現、個人の趣味レベルでの所有を可能としたことでも知られる。

技術力自体はありそうなのだが、どことなく漂うやられメカ感。今少し時間と予算を頂ければ。この文章を信じるなら、普及モデルの価格帯は30万~50万円ほどだろうか。

◆オカヤ車両

テーマはレトロ,ディーゼル。命名規則は恐竜

軍用多脚ユニットを民生化したトロットシステムを生み出し、市場に乗せることに成功したパイオニア。現在は市中行動に強い、大型バイクほどの大きさの小型機が中心。

元々のコンセプトは「歩くトラクター」。座席後ろの安全フレームにその名残が見て取れます。エントランスにいたタルキア号が軍需受注競争に敗れたことが、この方面を切り開くきっかけとなったとか。

◆テトラ・クローバー

テーマはサイバー,骨,バイオ。命名規則はクラゲの学名。

非人間型に強い遠隔義体メーカーで、ペンデュラムアームの支援を受けて参入。大型多脚義体を中心としたラインナップを揃えている他、制御プログラムを転用したサイバービークルも展開している。

構想自体はカタリナ・プロジェクトよりも古く、サイバークリスマス,ベルベットラグーン,オービタルブルーなどにいた多脚マシンは皆ここの系譜。
義体メーカーで乗り物は本業ではない一方、フレーバーテキスト上では全メーカーのマシンのサイバービークル化はここが一括して行っている。

◆ファランクス

テーマはパンツァー。命名規則は樹木。

軍事用多脚車両を展開していたメーカーが、需要の激減した戦後に民間向けの業界に参入したもので、現在も大型の警備車両が中心。その実、軍用車両の民需改装モデルも多い。

前述の多脚戦車アバター「バンクス」からモチーフを派生させた軍事企業。民生拡大を目指して親しみやすいマシンを揃えるも、「戦車無いの?」との声に大型警備車両を置く羽目に…。

◆歩く乗り物たち

別館、動態展示区画に並ぶサイバービークル

さて、今回の目玉である動態展示。いわゆる乗り回せるアイテムです。乗り物自体は昨年の辺銀諸島で実装したものの、タイヤの無い乗り物を馬鹿力で押して文字通り滑らせていた代物でした。

そこで半年ほど前、Character Itemを利用して歩く乗り物を実証しました。今回展示しているアラクネⅡ世はこの時制作したマシンのリメイクです。

ジャンプするアマルガ号。中央にあるトンネルの屋根にすら飛び乗ってしまう。

この時の記事の最後でも書いていますが、特にジャンプするマシンを作りたい人は着地判定が非常に複雑なので、テンプレートのポニーを改造することを推奨します。あるいはガス圧で跳ね上がるイメージで、何秒かのインターバルを必要にすると処理が簡易になります。

◆乗り物に多様性を

ドロメウス号。まだトラクターの名残がタイヤカバーなどに見られる。

さて、色々車両を揃えましたが…普通に考えて、一番速いのに乗るでしょうね。歩くより遅い乗り物なんて、よほどなウリがないと厳しいと思われます。何しろ、動態展示区画自体が速い子に合わせた大きさなのだから。
そこで最速のアマルガ号には「旋回半径が大きく、信地旋回できない」「後退が極端に遅い」というデメリットを持たせました。

カシオペア号。本来は無人機で、座席の場所に筒形の砲塔があるらしい

6脚のカシオペア号はこれを踏まえて、「超信地旋回が可能」「前後同じスピードで動ける」「両脇の機銃から銃撃できる」と真逆のモデルを提示しました。銃弾を当てられるボールも用意しようと考えていたのですが、フィールドが広すぎて地味だったので止めました。

アラクネⅡ世。初代にあったジャンプの代わりに、爆弾投射機能が。

アラクネⅡ世は「脚が長い」をコンセプトに。クモは足が8本ですが、最初の一対と最後の一対の動きを4足で模しました。今回はオーソドックスな動きですが、根元の関節は最大90度動くので横歩きや獣歩きも可能です。

カルキノス号。設計は野心的ですが…。

カルキノス号は二人乗りかつ、移動担当は縦横移動と旋回がある(しかも横移動のほうが速い)ため暴発の危険がある一番のじゃじゃ馬。もし試したいなら、移動はデスクトッププレイヤーに任せた方が無難かも。

マホガニー号。某企画のMVでは楽器を積んで踊っていた。

マホガニー号は特殊な操作はないものの、程々に速く旋回もできる子。結局デバッグの時はこれに乗ってた気が。実は本当にトロット走法してるのはこの子くらいなのは内緒。

◆もっと大きなマシンを!

マホガニー号とバンクシア号。

動かせる乗り物という新たなコンセプトを得たものの、ある問題が。最適化すればするほど、アバターのサイズに近づいていくのです。

セコイア号。当初はこれも動かすつもりだった。

それは本質的にRPGでキャラを動かすのと変わらないCharacter Itemとの相性だったり、足元が見えなくて折角の歩行モーションが意味をなしていなかったり、そもそもカメラを最大まで引いてもメカ全体が映らなかったり…。

しかし最初のコンセプト的に大きなメカも展示したいので、静態展示室には動かさない(一応動ける設計にはしてある)マシンも置きましたが…どうにか、ならないものか。

運転手は車体の移動、砲手は砲塔旋回と砲撃。車長は…指示してください!

というわけで我々が提示するソリューションがこちら。遠隔操縦システムです。前方のスクリーンには、バンクシア号砲塔のカメラ映像(かなり解像度が悪い)が映っています。運転手と砲手のレバーは操作に応じて動きます。

即席で組んだにしてはそこそこ遊べるかもしれません。かなり遅いですが、下手に走り回られても他のメカの邪魔なのでこれでよしとします。

◆大きく、強く、を実現する存在

本館を暗くしての撮影。ナイトミュージアム感を出したかったが現実は無常だった。

この半年ほど、犬や馬、昆虫やクモのように歩く色々な歩行ビークルを作ってきました。現実的に走らせると全然出ないスピード、脚のせいで詰められない横幅、どうしても高くなる車高とこうした機械の難しい側面も垣間見ました。

それでも映画やゲームでしか見ないような乗り物を作って遊ぶのは、とても楽しいものです。また今度、歩行ロボット型の乗り物のTips集でも作ってみるかもしれません。

それではまた。ここまでカロリーの高いワールドはもう当面ごめんですが🦙

◆動画

◆BGM

脚一本失っても、立って歩いてやがる。